トランプ氏(右)とソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
(12月16日、米南部フロリダ州の私邸マールアラーゴ)=AP
【シリコンバレー=山田遼太郎】
米CBSテレビは21日、トランプ米大統領が民間企業による米国の人工知能(AI)開発事業への巨額投資を表明する予定だと報じた。
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長や米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らが同日午後、ホワイトハウスを訪れ投資計画を表明するという。
報道によると、SBGとオープンAI、米オラクルの3社は「スターゲート」と呼ぶAI開発の共同出資事業を計画している。
当初の投資額は1000億ドル(約15.5兆円)で、今後4年間で最大5000億ドルに膨らむ可能性があるという。3社以外からも出資を募る見込みだ。米南部テキサス州などでAI開発に使うデータセンターの建設を計画している。
孫氏とアルトマン氏、オラクルのラリー・エリソン会長が21日午後にホワイトハウスを訪れる。孫氏とアルトマン氏は20日のトランプ氏の就任式にも出席した。エリソン氏はかねてトランプ氏を支持してきた。
孫氏は2024年12月、米南部フロリダ州でトランプ氏の私邸を訪れ、トランプ政権の4年間で1000億ドルの対米投資を表明した。投資額の多くはAI関連が占めるとみられる。
トランプ氏は当時の共同会見で孫氏を「偉大なリーダーであり、投資家だ」と持ち上げ、投資額の上積みを求めた。
オープンAIが開発するChat(チャット)GPTのような生成AIの開発は大量の計算処理を必要とする。その中心拠点がサーバーを備えるデータセンターだ。AI向け計算需要の急増を受け、米テクノロジー大手はデータセンター投資を増やしている。
米マイクロソフトは25年6月末までに世界でデータセンターに800億ドルを投じ、半分以上を米国の投資に充てると発表した。AIの開発インフラとしては半導体や電力の確保も欠かせず、整備には多額の費用がかかる。
オープンAIは24年にSBGから投資を受けた。これまでAI開発では提携する米マイクロソフトのクラウドサービスを利用している。
マイクロソフトが提供する計算能力がオープンAIの需要に追いついていないとの見方があり、AI開発のインフラでSBGやオラクルと組むのはオープンAIにも利点がある。
報道を受けて21日の米株式市場で、前週末に比べてオラクル株が6%高、データセンター向けにAI半導体を手がける米エヌビディア株が3%高となる場面があった。
