ペプシコは消費減退に加え、原液やアルミ缶のコスト増など逆風が強まる=AP
米消費関連企業の1〜3月期決算の発表がピークを迎え、業績予想の下方修正や撤回が相次いでいる。トランプ政権の関税政策などによるコスト増や需要減が、幅広い業種で影響を及ぼし始めた。
政権からは軌道修正を模索する動きもあるが、このまま不透明感がぬぐえなければ値上げや消費減退が本格化する可能性がある。
ペプシコ、通期利益見通しを引き下げ
米消費者の景況感は「まっさかさまに落ち込んでいる」。食品・飲料大手ペプシコのジェイミー・コールフィールド最高財務責任者（CFO）は24日の決算説明会で懸念を隠さなかった。
同社の1〜3月期の決算は、売上高が179億1900万ドルと前年同期比2%減った。25年12月通期で「1桁台半ば」としていた調整後の1株当たり利益（EPS）の伸び率を「おおむね横ばい」に引き下げた。
関税をめぐる消費者の景況感の悪化で北米市場でのスナック菓子が不振だった。これに加えて、今後はアルミへの追加関税などで資材コストが上昇する。
同社はコーラなどの原液の多くをアイルランドで製造しているとみられ、相互関税の導入でも打撃を受ける。
政策変更が様々なルートを通じて企業業績にマイナスの影響を与えている。製薬大手メルクは関税導入による原薬などの輸入コスト上昇で、利益面で2億ドルの押し下げ要因になると織り込む。
同社は25年12月期通期について、売上高予想を据え置いたものの、1株当たり利益を従来予想の8.88〜9.03ドルから、8.82〜8.97ドルに引き下げた。ロバート・デイビス最高経営責任者（CEO）は長期的な対策として米国内の生産拡充する方針を示した。
中低所得層の航空需要「かなり弱い」
アメリカン航空は24日発表した1〜3月期決算が減収・最終赤字となった。12月期通期の業績見通しを撤回し、見通しが明確になるまで更新しないこととした。
決算説明会で「景気の影響を受けやすい層や支出を限定している人たちの需要がかなり弱い」とし、特に国内線のエコノミークラスの需要が弱まっているという。
航空大手ではデルタ航空も見通しを取り下げたほか、ユナイテッド航空は4〜6月期の国際線の予約が大きく減少したと明らかにした。連邦政府予算の削減で公務出張が減ったほか、移民取り締まり強化を受けた嫌米感情の高まりも旅行需要に打撃となっている。
収益計画に狂いが出たことで、投資計画の変更も余儀なくされている。
1〜3月期に3億700万ドルの最終赤字に転落した化学大手ダウは「今後の需要環境が見通せない中、経営資源の確保を優先する」として、予定していたカナダのエチレン処理工場の新設の延期を決めた。
25年に設備投資額を従来予定の35億ドルから25億ドルに引き下げた。
関税によるコスト競争力の回復が見通せないため、ドイツと英国で合計3拠点の操業停止や閉鎖を検討する。
既に進めているリストラ策とあわせて「予想される景気後退期」に向け60億ドル規模の現金節約につなげると説明した。
P&G、7月以降に値上げ
「必要な値上げは（7月から始まる）来年度に始める」。日用品大手の米プロクター・アンド・ギャンブル（P&G）のジョン・メラーCEOは24日、テレビ番組で、関税によるコスト上昇を転嫁するために値上げもやむを得ないとの見方を示した。
同社も25年6月期通期の売上高と利益の予想の上限を引き下げた。
同社によると、顧客は「お買い得品」を求めてオンラインショッピングやコストコなど格安な量販店での購入が増えているという。
株式市場の見方も厳しくなっている。英LSEGによると、S&P500種株価指数を構成する企業の4〜6月期の前年同期比増収率のアナリスト予想は、23日時点で7.8%増と1日時点から2.4ポイント低下した。必需品以外の裁量消費財を扱う企業は3.4ポイント低下し、0.3%増だった。
（ニューヨーク=朝田賢治、西邨紘子、吉田圭織、弓真名）
2025年1月に就任したトランプ米大統領が、関税引き上げの政策に動き出しました。中国などとの関税の応酬が激しくなるなど世界経済への影響が懸念されています。最新ニュースと解説をお伝えします。
日経記事2025.4.25より引用
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（関連情報）
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・ロスチャイルド財閥-111 国際金融財閥の序列
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