17日、イラク首都バグダッドで開いた首脳会議に出席した各国代表=ロイター
【アブダビ=岐部秀光】
アラブ諸国は17日、イラク首都バグダッドで首脳会議を開いた。
トランプ米大統領の13〜16日の歴訪中に、パレスチナ自治区ガザへの激しい攻撃で多数の死者を出したイスラエルを批判し、即時の停戦や無条件での人道支援再開を求めた。
エジプトのシシ大統領は「パレスチナ国家の設立がない限り中東における永続的で公正かつへ包括的な平和は実現しない」と述べ、国際社会にパレスチナ国家設立承認への理解を呼びかけていく必要性を強調した。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ガザのイスラム組織ハマスに対し統治権を放棄し武装解除に応じるよう要求した。
現地からの報道によると、トランプ氏の訪問を歓待したサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など主要国の指導者の多くが首脳会議の出席を見送り閣僚級などの代理を送った。
首脳会議の重要な議題のひとつとなったシリアもシャラア暫定大統領は参加せずシャイバニ外相が代役を務めた。
トランプ氏が歴訪中に米国による対シリア制裁の解除を表明したことについてシャイバニ氏は「重要な一歩」と歓迎した。
イスラエルとハマスは17日、カタールで停戦をめぐる協議が進行中であると発表した。イスラエルがガザへの人道物資の搬入を停止してから2カ月以上が経過しており、ガザの人道危機は深刻さを増している。
トランプ政権発足と同時に成立した停戦合意は事実上崩壊した。
イスラエル軍はトランプ氏の歴訪終了のタイミングで軍事作戦のさらなる拡大を計画している。
トランプ氏の中東歴訪では、産油国による米国への巨額投資の商談が成立する一方、ガザの危機解決に向けた議論はほとんど前進がみられなかった。
米NBCテレビによるとトランプ政権は最大100万人のガザの住民をリビアに移住させる計画を策定中だ。アラブ諸国はガザ住民の強制移住構想に激しく反発している。

2023年10月にイスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの衝突が始まって以降、中東情勢が大きく揺れ動いています。
地域大国イランとイスラエルが直接、交戦する事態に発展し、シリアでは半世紀以上続いたアサド家の政権が崩壊しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。
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