
バイナンスコイン、ソラナ、カルダノ――。米証券取引委員会(SEC)が6月、コインベース・グローバルなどの交換所大手を証券法違反で提訴した際に、未登録の有価証券と名指しした暗号資産(仮想通貨)だ。
いずれも時価総額で1兆円を超え、上位に入る。SECに名指しされたことで価格は急落し、足元の戻りは鈍い。
SECのゲンスラー委員長が狙うのは、ビットコイン以外の仮想通貨を株式や社債のように規制の下で登録制にし、従来の取引所のような場で取引されるようにすることだ。
実現すれば「登録や報告、情報公開ができないような仮想通貨は日の目を見なくなるだろう」(マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリスト)。
麗沢大学の中島真志教授も「価値のあるものはビットコインのみになり、そのほかの仮想通貨には規制が強まっていく」と話す。仮想通貨の淘汰が現実味を帯びる。
世界に約2万種類ある仮想通貨の時価総額は全体で100兆円を超し、うち3分の2をビットコイン、イーサリアムの2種類で占める。
初めて誕生したビットコイン以外をアルトコイン(altcoin=alternative coinの略)といい、イーサリアムやバイナンスコインなどがこれだ。さらに知名度が低く用途がはっきりしないものは「草コイン」と呼ぶ。
ゲンスラー氏が、ビットコイン以外の仮想通貨を規制しようとしているのは、昨年の交換業FTXトレーディングの破綻を受け、多くの同業者が本来守るべき証券法の規制をすり抜けて投資家の資金を危険にさらしていると問題視しているためだ。「仮想通貨ほど法令順守を欠く分野はない」と強調する。
にもかかわらず、今もなお用途がはっきりしない仮想通貨にマネーを投じ、一発逆転を夢見る投資家は後を絶たない。
柴犬(しばいぬ)がモチーフの「ドージコイン」が一例だ。
米テスラのイーロン・マスク氏のお気に入りで20年末に「ドージ」とSNS(交流サイト)に投稿した後に急騰し、半年で約200倍になった。
かつては草コインだったが、時価総額でトップ10に入り、今年に入ってもマスク氏の言動に投資家が一喜一憂する。
混沌とする仮想通貨の世界に秩序を取り戻そうと、当局が次の標的にするとみられるのが「分散型交換所」だ。コ
インベースなどの交換所と違い運営主体が明確でなく仮想通貨の上場審査などがないケースが多い。制限のないレバレッジ(少ない元手で大きな金額を取引)が個人の投機マネーを呼び寄せている。
情報サイトのザ・ブロックによると、世界に21カ所ある分散型交換所の7月の月間取引高は約480億ドルだった。
バイナンスやコインベースなど38カ所の主要交換所は計4470億ドルで、世界の取引金額の1割近くが分散型交換所で取引されている。コインベース単独の取引高よりも多い。
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ECは今春、ブロックチェーン(分散型台帳)のネットワーク上に構築される分散型金融(DeFi)について、従来の証券取引所と同じ規則を適用できるようにする提案を可決した。
DeFiは仮想通貨の分散型交換所としても使われているため、さらに仮想通貨の取引を絞り込む狙いとの見方がある。
DeFiを巡る提案には一部のSEC委員が反対した。
技術革新に不可欠なブロックチェーンのエコシステムにも影響が出る懸念があるという。もっともゲンスラー氏がひるむ様子はない。革新の芽まで潰されやしないか。市場では警戒と反発も強まっている。
日経記事 2023.09.06より引用