ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

クリスマスの物語

2020-12-18 | クリスマス

fluentu.com

 

 

クリスマスには物語がつきものだ。それは少年と犬、少女とお人形、針に糸、そんな風なコンビネイションである。

 

この少年のクリスマスへの3番目の期待は、この凛々しいエリー。

この少女と科学セットは切っても切れない関係、らしい

 

子供達に読んで聞かせる絵本や物語と言えば、アメリカではまず、クレメント・クラーク・ムーアの1823年の詩、The Night Before Christmas日本語で「クリスマスの前のばん(よる)」やYes, Virginia, there is a Santa Claus「サンタクロースはいるんだ」は、定番中の定番かもしれない。

私自身サンタクロースにばかり焦点をあてるクリスマスは軒を貸して母屋を取られるの譬え(たとえ)のごとくに感じるので、子供たちにサンタクロースに重点を置いたり、強調することはしなかった。それは決してその存在を否定したり、揶揄することではなく、奉仕のお手本として教えていた。サンタクロースは立派なクリスチャンとして人々を助けたことは有意義で敬意を表するが、あまりに商業的に利用され、前面に押し出されすぎているような気がしてならないのは否めない。

それはさておき、この二つの物語は、長い間アメリカ人には愛されているし、暖炉の前で子供たちに読み聞かせることは、楽しいクリスマス行事の一つでもある。

まずは、「サンタクロースはいるんだ」をご紹介。実在した少女ヴァージニア・オハンロンが1897年ニューヨーク・サン新聞に投書したことから始まり、答えを書いたのは、社説担当者のフランセス・ファーセラス・チャーチである。以下は青空文庫から。(参照:aozora.gr.jp)

 

サンタクロースはいるんだ

YES, VIRGINIA, THERE IS A SANTA CLAUS

ニューヨーク・サン紙社説(担当:フランシス・ファーセラス・チャーチ) The New York Sun (written by Francis Pharcellus Church)

大久保ゆう訳

ニューヨーク・サン新聞 1897年9月21日 社説欄


 本紙は、以下に掲載される投書に対してただちにお答え申し上げるとともに、このようにまっすぐな方が読者におられることを、心から嬉しく思います。

「こんにちは、しんぶんのおじさん。
 わたしは八さいのおんなのこです。じつは、ともだちがサンタクロースはいないというのです。パパは、わからないことがあったら、サンしんぶん、というので、ほんとうのことをおしえてください。サンタクロースはいるのですか?
ヴァージニア・オハンロン」


 ヴァージニア、それは友だちの方がまちがっているよ。きっと、何でもうたがいたがる年ごろで、見たことがないと、信じられないんだね。自分のわかることだけが、ぜんぶだと思ってるんだろう。でもね、ヴァージニア、大人でも子どもでも、何もかもわかるわけじゃない。この広いうちゅうでは、にんげんって小さな小さなものなんだ。ぼくたちには、この世界のほんの少しのことしかわからないし、ほんとのことをぜんぶわかろうとするには、まだまだなんだ。
 じつはね、ヴァージニア、サンタクロースはいるんだ。愛とか思いやりとかいたわりとかがちゃんとあるように、サンタクロースもちゃんといるし、そういうものがあふれているおかげで、ひとのまいにちは、いやされたりうるおったりする。もしサンタクロースがいなかったら、ものすごくさみしい世の中になってしまう。ヴァージニアみたいな子がこの世にいなくなるくらい、ものすごくさみしいことなんだ。サンタクロースがいないってことは、子どものすなおな心も、つくりごとをたのしむ心も、ひとを好きって思う心も、みんなないってことになる。見たり聞いたりさわったりすることでしかたのしめなくなるし、世界をいつもあたたかくしてくれる子どもたちのかがやきも、きえてなくなってしまうだろう。
 サンタクロースがいないだなんていうのなら、ようせいもいないっていうんだろうね。だったら、パパにたのんで、クリスマスイブの日、えんとつというえんとつぜんぶを見はらせて、サンタクロースをまちぶせしてごらん。サンタクロースが入ってくるのが見られずにおわっても、なんにもかわらない。そもそもサンタクロースはひとの目に見えないものだし、それでサンタクロースがいないってことにもならない。ほんとのほんとうっていうのは、子どもにも大人にも、だれの目にも見えないものなんだよ。ようせいが原っぱであそんでいるところ、だれか見たひとっているかな? うん、いないよね、でもそれで、ないってきまるわけじゃない。世界でだれも見たことがない、見ることができないふしぎなことって、だれにもはっきりとはつかめないんだ。
 あのガラガラっておもちゃ、中をあければ、玉が音をならしてるってことがわかるよね。でも、目に見えない世界には、どんなに力があっても、どれだけたばになってかかっても、こじあけることのできないカーテンみたいなものがかかってるんだ。すなおな心とか、あれこれたくましくすること・したもの、それから、よりそう気もちや、だれかを好きになる心だけが、そのカーテンをあけることができて、そのむこうのすごくきれいですてきなものを、見たりえがいたりすることができる。うそじゃないかって? ヴァージニア、いつでもどこでも、これだけはほんとうのことなんだよ。
 サンタクロースはいない? いいや、今このときも、これからもずっといる。ヴァージニア、何ぜん年、いやあと十万年たっても、サンタクロースはいつまでも、子どもたちの心を、わくわくさせてくれると思うよ。

※ そのあと、ヴァージニアはニューヨークの学校の先生になって、四七年間子どもたちを教えつづけたそうです。
 
*******
二つ目は、「クリスマスの前のばん」で、伊藤サム氏の英和対訳で。クレアモント・クラーク・ムーアのこの詩は、サンタクロースブームの火付け役かもしれない。学校やクリスマスの寄り集まり等で、子供達に暗唱させて発表させることも多い。
 

The Night Before Christmas  
クリスマスの前の夜

By Clement C. Moore

訳 伊藤サム

'Twas the night before Christmas, and all through the house,
クリスマスの前の夜 家じゅうどこにも
Not a creature was stirring, not even a mouse.
生きものひとつ 動いていない ネズミさえ
The stockings were hung by the chimney with care,
靴下はかけてある 煙突横に 念入りに
In the hope that St. Nicholas soon would be there.
サンタクロース 早く来て 
The children were nestled all snug in their beds,
子どもたち ぬくぬくベッド 寝そべって
While visions of sugar-plums danced in their heads.
お菓子が踊る 夢見てる
And Mama in her kerchief, and I in my cap,

ママはスカーフ 私はキャップ
Had just settled our brains for a long winter's nap;
ちょうど頭を休ませた 眠りは長い 冬だから

When out on the lawn, there arose such a clatter,
その時だ 外の芝生で すごいガチャガチャ
I sprang from the bed to see what was the matter.
私はベッドを 跳ね起きた いったい何が起きている?
Away to the window I flew like a flash,
窓のところへ すごい速さで 飛んで行く
Tore open the shutters and threw up the sash.
雨戸こじ開け サッシをサーっと 持ち上げた
The moon, on the breast of the new-fallen snow,
月がある 新たに落ちた 雪が抱き
Gave the luster of midday to objects below —
真昼みたいに ピカピカ光る この世界
When, what to my wondering eyes should appear
その時なんと 不思議に思う目の前に 現われたるは 
But a miniature sleigh and eight tiny reindeer.
小さいそりと 小さなトナカイ 8頭だ!
With a little old driver so lively and quick,
一緒に小さな おじいちゃんが御者(運転手) 生き生き素早い
I knew in a moment it must be St. Nick.
すぐに分かった これはサンタに 違いない
More rapid than eagles his coursers they came,
ワシより速く 俊足トナカイ やって来た
And he whistled and shouted and called them by name —
サンタ 口笛吹いて叫んだ 名前を呼んだ
“Now, Dasher! Now, Dancer! Now, Prancer! Now, Vixen!
「さあ突進! さあ踊り子! さあ軽跳ね者! さあキツネ!
On, Comet! On, Cupid! On, Donner and Blixen!
行け彗星! 行け天使! 行け雷と稲妻よ!
To the top of the porch! To the top of the wall!

ポーチのてっぺん! 壁のてっぺん!
Now, dash away! Dash away! Dash away, all!”
さあ突進だ! 突進だ! みんな突進!」

As dry leaves before the wild hurricane fly,
枯れた葉が 台風来れば 舞うように
When they meet with an obstacle, mount to the sky,
何かあっても ぶつかる前に 空へとひらり
So up to the housetop the coursers they flew
屋根めがけ 俊足トナカイ ひとっ飛び 
With the sleigh full of toys, and St. Nicholas, too.
そりにはおもちゃ サンタもね 
And then in a twinkling, I heard on the roof
またたく間 うちの屋根から 音がする
The prancing and pawing of each tiny hoof.
軽く跳ねたり 足で蹴る 小さなひづめが あちこちで
As I drew in my head, and was turning around,
頭を引っ込め 振り向いた
Down the chimney St. Nicholas came with a bound.
煙突通って サンタさん ズドンと落ちた  
He was dressed all in fur from his head to his foot,
着ているものは 毛皮だね 頭から 足まで全部
And his clothes were all tarnished with ashes and soot;
服はすっかり 灰まみれ 煤(すす)まみれ
A bundle of toys he had flung on his back,
おもちゃの束を 背中に乗せてた
And he looked like a peddler just opening his pack.
まるで旅する行商人 まさに袋を開けるとこ
His eyes — how they twinkled! His dimples, how merry!
おめめキラキラ! えくぼウキウキ!
His cheeks were like roses, his nose like a cherry;
頬はバラ色 鼻はチェリー
His droll little mouth was drawn up in a bow,
おどけた小口 口角アップで 弓みたい
And the beard on his chin was as white as the snow.
あごには髭が 雪の色
The stump of a pipe he held tight in his teeth,
パイプの吸い口 しっかりくわえ 
And the smoke, it encircled his head like a wreath.
煙がモクモク 頭の周り 花輪の形
He had a broad face and a little round belly,
顔は広くて ちょっとだけれど 太鼓腹
That shook when he laughed, like a bowlful of jelly.
笑うとプルプル まるでボウルの ゼリーだね 

He was chubby and plump, a right jolly old elf,
ぽっちゃり ふっくら まさしく陽気な おじいちゃん妖精
And I laughed when I saw him, in spite of myself.
サンタを見たとき 思わず笑って しまったよ
A wink of his eye, and a twist of his head,
サンタはウィンク こちらを向いて
Soon gave me to know I had nothing to dread.
それで分かった 怖がることは 何もない 


He spoke not a word, but went straight to his work,
何も言わずに まっすぐ仕事
And filled all the stockings — then turned with a jerk,
靴下に おもちゃいっぱい くいっと振り向く
And laying his finger aside of his nose,
鼻に指置き 満足そうだ
And giving a nod, up the chimney he rose.
うなずくと 煙突をまた 登って行った

He sprang to his sleigh, to his team gave a whistle,
そりに飛び乗り チームに口笛
And away they all flew, like the down of a thistle;
飛んで行ったよ まるで綿毛だ ふわりとね
But I heard him exclaim ere he drove out of sight,
でも叫んでくれた 視界の端で


“Merry Christmas to all, and to all a good night!”
「すべての人にメリークリスマス。おやすみなさい!」

 

19世紀アメリカの本、クレアモント・C.・ムーア(1779-1863)作の詩’T was  The Night Before Chrstmas「クリスマスの前のばん」の挿絵(Corbis/Getty Images)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする