ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ポール・ハーヴィ・和訳付き

2017-10-27 | アメリカ事情

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8a/Agriculture_%28Plowing%29_CNE-v1-p58-H.jpg

 

 

http://www.eransworld.com/wp-content/uploads/2013/02/paul-harvey.jpg

ポール・ハーヴィ氏

 

日本の方にはおなじみがないかもしれないが。。。2009年2月28日アリゾナ・フィニックスでボール・ハーヴィ(Paul Harvey; 本名はPaul Harvey Aurandt)はその90歳の生涯を閉じた。彼はABCラジオネットワークスで、The Rest of the Storyという番組をおよそ30年に渡り、週日(土曜日もあった)の昼間、私のいた地域では正午に30分程度放送していた。

彼の特異な声音や読み方は聴く者の耳に心地よく、何かをしていても、ふと手を休めて聞き入ることもしばしばあった。人々、事象、物事などのそう知られてはいない裏話を味わい深く、話していた。大学時代に聴き始め、それこそ彼の没年近くまで暇があればラジオをつけて聴いたものだ。

特に育児期間は、子供の昼食を作り、食べさせ、その後歯磨をさせ、昼寝にベッドに送る、そんな単調な時間に、昼食に帰宅した夫と一緒に聴いていた。そしてポール・ハーヴィの話していたことについてお互い意見を述べたものだ。毎朝、朝刊を拾いにドライブウエイに出る、植物に水をやる、いつまでも続くような日々のリチュアル(儀式)のようなことの一つは、彼の放送を聴くことであった。

ポール・ハーヴィの話題は、様々で、独立戦争のことやケネデイの暗殺、コカコーラの由来、歴代大統領、あるいは市井の人々、と盛りだくさんなことだった。彼は、いつも"And now you know the rest of the story.  Good day!"と締めた。ほとんどの話は、しばらく心に余韻を残したものだ。

おそらく彼の死後その名を再び合衆国に知らしめたのは、あの有名な”So God Made A Farmer”だろう。”So God Made A Farmer"は1978年Future Farmers of America*のコンベンションでポール・ハーヴィが演説したものだが、1986年にハーヴィの新聞コラムで出版され、2013年のSuper Bowl XLVII用のDodge Ram Truck(ダッジ・ラム・トラック)のコマーシャルに使われたことによって再び脚光を浴びたのだった。

コマーシャルのナレーションには、オリジナルのまま、ポール・ハーヴィの朗読音声を用い、Future Farmers of Americaと提携してアメリカ各地の農夫たちの写真を使用した。YouTubeヴィデオのこのコマーシャルを鑑賞した百万人毎に10万ドルをFFAに寄付すると、ダッジは約束した。これはたったの5日もかからずして、達成された。

*Future Farmers of America(アメリカの未来の農業従事者)は、略してFFA。合衆国の中高生を対象に農業の推進と支援を進める公的な青年組織である。下図はFFAの紋章。

 

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これは、多くの人を感動させた。そのコマーシャルは今でもYouTubeで観られる。彼が逝って四年後に思いがけなく耳にしたあの特異な口調に、懐かしさとその詩の美しさに感動したのは、私だけではなかろう。ポール・ハーヴィは、アメリカーナと言っても差し支えない人物だった。

その詩So God Made A Farmerの全文が下である。要は、いかに農夫は力強く開墾し、その農場を手入れし、農作業に励み、家畜の世話をし、そんな忙しさの中でも家族や友人など地域社会の万事に協力的で一市民として出来ることあるいはそれ以上の助けをし、草刈機を止めて牧場に見つけた足を怪我した小さなヒバリの手当てにも余念がない、そんなアメリカの農業従事者について謳っている。

 

       

By Paul Harvey

And on the eighth day, God looked down on his planned paradise and said, “I need a caretaker.”  So God made a farmer.

 

God said, “I need somebody willing to get up before dawn, milk cows, work all day in the field, milk cows again, eat supper, then go to town and stay past midnight at a meeting of the school board.” So God made a farmer.

 

“I need somebody with arms strong enough to wrestle a calf and yet gentle enough to deliver his own grandchild…somebody to call hogs, tame cantankerous machinery, come home hungry, have to wait for lunch until his wife’s done feeding visiting ladies – then tell the ladies to be sure and come back real soon – and mean it.”  So God made a farmer.

 

God said, “I need somebody willing to sit up all night with a newborn colt… and watch it die, then dry his eyes and say ‘Maybe next year.’  I need somebody who can shape an ax handle from a persimmon sprout, shoe a horse with a hunk of car tire, who can make a harness out of hay wire, feed sacks and shoe scraps. Who, planting time and harvest season, will finish his 40-hour week by Tuesday noon and then, painin’ from tractor back, put in another 72 hours.” So God made a farmer.

 

God had to have somebody willing to ride the ruts at double-speed to get the hay in ahead of the rain clouds and yet stop in mid-field and race to help when he sees the first smoke from a neighbor’s place.  So God made a farmer.

 

God said, “I need somebody strong enough to clear trees and heave bales, yet gentle enough to yean lambs and wean pigs and tend the pink-combed pullets, who will stop his mower for an hour to splint the broken leg of a meadowlark.”

 

It had to be somebody who’d plow deep and straight and not cut corners. Somebody to seed, weed, feed, breed, and brake, and disk, and plow, and plant, and tie the fleece and strain the milk, and replenish the self feeder… and finish a hard week’s work with a 5-mile drive to church.

 

Somebody who’d bale a family together with the soft, strong bonds of sharing… who would laugh, and then sigh… and then reply with smiling eyes when his son says that he wants to spend his life doing what Dad does.  So God made a farmer.

 

だから、神は農夫をお作りになった!
ポール・ポール・ハーヴィ
 

そして8日目に、神は計画によって造られた楽園を見下ろして「管理人が必要だ。」とおっしゃった。だから、神は農夫をお作りになった!


夜明け前に起き、乳牛の搾乳をし、畑で一日中働き、再び搾乳をすませ、夕食を食べてから町へ行き、教育委員会の会議で真夜中まで過ごす者が必要だ、と神はおっしゃった。だから、神は農夫をお作りになった!
 
腕っ節のよい誰かが必要だ。子牛と取っ組み合える強さだけではなく、自身の孫息子を分娩するに十分なほどのもの柔らかな強さ。豚を呼び寄せ、気難しい機械を使いこなせ、空腹を抱えて帰宅し、妻が御婦人方と食事をし、その帰り際に、真意を込めて近いうちに又いらっしゃい、と言うまで、自身の昼食を待つのを厭わない。だから、神は農夫をお作りになった!

 

神はおっしゃった。生まれたばかりの仔馬に一晩中寝ずに付き添い、その仔馬が死ぬのを見て、涙をぬぐいながら、「多分来年は...」と言う者が必要だ。柿の若木から、斧の柄を作ることができ、車のタイヤの切れ端を使って蹄鉄を馬に付け、干し草を束ねる針金、飼料袋、靴の断片で、ハーネス(馬具)を作れるような誰かが必要だ。そして...植え付け期と収穫期に、週40時間分の仕事を火曜日正午までに済ませられる者が必要だ。その後、 日々の農作業からの背中の痛み(トラクターバック)を押してさらに72時間働ける者が必要だ。

 

雨雲がやってくる前に二倍の速さで干し草を刈り入れる激務を行い、けれど畑の真ん中まで来て、隣家から煙の出初めを目にするや否や、大急ぎで助けに向かう、そんな者を神は必要となされた。だから、神は農夫をお作りになった!

 

神はおっしゃった。樹木を切り払い、(厩の仕切りの)横木を持ち上げられるほど力強く、しかも子羊を馴らせ、子豚を離乳させ、ピンク色をしたトサカの雛の世話ができ、足を折った草原のヒバリを手当するのに、草刈り機を一時間止めるほどの優しさを持つ者が、必要だ。だから、神は農夫をお作りになった!

 

手を抜くことなく、深く、まっすぐに畑を耕やせる者でなければならなかった。
種を蒔いて雑草を引き抜き、飼育して繁殖させる...そして馬鍬で土を破砕し、ディスクティラーで耕し、植え付け、羊毛を縛り、牛乳を濾せる者でなければならない。 自動食餌器を補充し、一日の重労働を終えて、教会へ5マイルの運転をする者。家族をお互いに分け合うように柔和に力強くまとめ、自分の息子が、「お父さんと同じこと(農業)をして人生を過ごしたい」と言う時、笑い、ため息をつき、そして笑みを浮かべた目で答える誰かが必要だ。だから、神は農夫をお作りになった!

 

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