ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

屋根裏部屋に

2017-09-30 | 系図のこと

https://i.pinimg.com/originals/5a/ba/45/5aba45870df7516ab699df408ffb9b67.jpg

屋根裏部屋や地下室に、埃を被っているスティマートランク、フットロッカー、ホープチェストがあり、その中には見ず知らずの人々の古い写真や手紙や書類が入っていたら。日本ならば仏壇の普段使わない引き出し、押入れの棚、納戸に、あるいはお蔵に、たくさん写真の入った箱やトランクなど眠っていたら。系図家にとっては、胸ときめく瞬間である。

http://brienne.org/unlockedbriennearchive/

1926年に、17世紀製のトランク(上の写真)が、オランダ・ハーグにある通信博物館(the Museum voor Communicate)に遺された。オランダ・ハーグはヨーロッパの情報伝達網(郵政)の中心地であって、このトランクは、当時の郵便局長夫妻、サイモンとマリー・ド・ブリエンが所有していたものである。トランクは思いがけない古文書を保管していた。ヨーロッパ各地から情報伝達の中枢オランダ・ハーグに届いたが、開封・未開封の書簡が2600通も入っていた。一通とて宛名先に手渡されていない。

17世紀、書簡受け取り人も郵便代と配達料を支払わねばならなかった。もし受取人が死亡していたり、たまたま留守をしていたり、あるいは受け取ることに興味がなければ、勿論料金徴収は出来なかった。こうした“死んだ”書簡は、通常破棄されるものだが、ブリエン夫妻は、いつか受取人が取りにきて、料金を支払ってくれるだろうと考えて、この未配達書簡を保存していたのである。それ故このトランクは、Piggy Bank(豚の貯金箱)、オランダ語でspaarpotjeと呼ばれた。

このトランクの中で、歴史は凍結されていたおかげで、初期現代期の日常生活を今、垣間見ることができるのである。書簡は無検閲、未編集で、600通ほどは、未開封である。ごく最近、再発見されるまで、古文書そのものは、歴史家による調査など、実質的にされずにきた。オランダ・ハーグの通信博物館では、国際的かつ多分野にわたる研究調査員チームが、未封書簡のレターロッキング*のフォーマットとカテゴリーを保存、デジタル化、写本、編集、そして識別する作業をすでに開始している。

*Letterlockingとは、第三者やその他の人々に知られずに差出人が受取人にメッセージを確実に伝える際に、精巧な手紙の折り方や、封蝋の仕方、あるいは勝手な開封をさせない工夫を手紙に施すこと。

このトランクはまさに歴史の宝庫と言って差し支えない。何故なら、この書簡類には、フレンチ・ユグノー教徒(French Huguenots)によるものがあるからである。ユグノー教徒は1715-1787に、迫害を逃れて英国、ウェールズ、スウェーデン、オランダ、そしてアメリカなどへ逃れた人々で、その子孫は世界中に広まっている。もしあなたの伴侶にユグノー教徒の先祖がいたら、この書簡類に名前を見つけることができるかもしれない。今後の展開は、www.brienne.org で随時わかる。

もしお宅に古い書類や写真や手紙があった場合、燃やさないで、断捨離の前に、是非近くの大学歴史学部や図書館の館員にご相談なさることを願っている。




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