ろごするーむ

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「天に一人を」植村正久訳

2007-05-30 18:18:50 | 今日の祈り
天に一人を増しぬ

家には一人を減じたり 楽しき團欒は破れたり
愛する顔 平常の席に見えぬぞ悲しき
されば天に一人を増しぬ 
清められ救はれ全うせられしもの一人を

家には一人を減じたり 歸るを迎ふる聲一つ聞こえずなりぬ
行くを送る言一つ消え失せぬ
別るゝことの絶えてなき濱邊に 一つの霊魂は上陸せり 
天に一人を増しぬ

家には一人を減じたり 門を入るにも死別の哀れに堪えず 
内に入れば空しき席を見るも涙なり
さればはるか彼方に 我らの行くを待ちつゝ 
天に一人を増しぬ

家には一人を減じたり 弱く浅ましき人情の霧立ち蔽ひて 歩みも四度路に眼もくらし
さればみくらよりの日の輝き出でぬ
天に一人を増しぬ

實に天に一人を増しぬ 
土の型にねち込まれて 基督を見るの眼も暗く 愛の冷かなる此処
いかで我らの家なるべき 顔を合わせて吾が君を見奉らん
彼所こそ家なれまた天なれ

地には一人を減じたり 其の苦痛、悲哀、労働を分かつべき一人を減じたり
旅人の日毎の十字架を擔うべき一人を減じたり
されば贖はれしたましひの冠を戴くべきもの 
一人を天の家に増しぬ
天に一人を増しぬ 

曇りし日も此一念輝かん
感謝賛美の題目更に加はれり

吾らの霊魂を 天の故郷に引き揚ぐる
鏈の環更に一つの輪を加へられしなり
家には一人を増しぬ 分るゝことの断えてなき家に
一人も失はるゝことなかるべき家に

主耶蘇よ 天の家庭に 君とともに座すべき席を 我ら全てにも あたへたまえ

【原文はSarah Geraldine Stockによる】