華氷~はなごおり~

氷上に咲く花・・・フィギュアスケート。
ここは、そんなスケーター達にエールを送るブログです。(でも、時々脱線話もアリ)

ピート・バーンズ考 【Big Brother編】 2

2009-11-14 00:00:58 | ピート・バーンズ
ピートファンの皆様、お待たせしました。

【Big Brother編】、続きです。
今回はピートがハウスに入室するまでのお話です。



ピートが顔面崩壊した顔の再建手術をし、入院生活をしていた18か月の間、彼の傍にいてくれたのはマイケルでした。

リンとは別居状態で、スティーブはでも、何らかの形でその頃までピートの世話をしていたようですが、
その長かった再建手術もあと重要な手術を一つ二つ残すのみというところで、その機会はやって来ました。

Big Brotherのスタッフから、出演のオファーがかかったのです――。




オレはこの特別な日には、重要な手術をしていてまだ入院中だった。

だが、マイケルがインターネットでビッグブラザーの人間とコンタクトを取ってくれた。そして、番号を受け取り、1週間後に2人のプロデューサーが急遽やって来た。
彼らは明らかに興味を持ち、やがてそれは、そこからちょっとした雪だるま式にふくらんでいった。

オレは、彼らに何故自分を選んだのかと尋ねた。すると彼らは、オレが魅力的だからだと答えた。
オレは彼らが、オレが自動車事故に遭ったとでも思っているんじゃないかと考えた。だが、彼らは既にオレに会った時、明らかにそうではないということを知っていた。

オレは拍子抜けするような感じがした。

なぜなら、自分がその時、突飛で変わった行動を取らなかったからだ。

オレは言った。
「オレがあまりに精神的に不健康だからだろう?」

「いえいえいえ。我々はあなたを愛しています」彼らは言った。


神よ、オレには金が必要だったのだ。
オレがマトモじゃなかったので、マイケルが全ての契約に携わった。
オレはマジでいい取引をしたと思う。
ショーのプロデューサーはオレ達がイギリスに戻ってきても家がないことを知っていたので、ショーが終わる日までの1か月間、オレ達をサンダーソンホテルの特別スウィートに滞在させてくれるという親切さだった。

物件を探していたオレは、一週間後にハウスから出たとして、それから三週間の間はサンダーソンにいられたから、それで新しい家を探す時間が持てるだろうと思った。
オレはまだ相変わらず出演料を持っていたからだ。


ところで、イタリアではオレは、死んでいるようだった。

オレは、そこから立ち去ることが出来ず、自分が腐っていくような感じがした。
ドクターはこんなことを言った。
「おお、あなたはここを出てはいけない」
それはオレにもわかっていた。
だが、突然、その契約義務、マイケルのそれに向けての助言――「君には出来る」という言葉――それから、金のせいで自暴自棄になっていたこと、
それら全てが、オレが快復するための素早い助けとなってくれた。

オレは起き上がり、外に出た。

オレは自分がやらなければならない時になると、己自身を引き上げることが出来る。

オレは今、自分の人生のストレス要因を見ている。
離婚、家の売却、破産申請、税の請求・・・。
家が売りに出されていたのでどこにも住むことが出来なかったこと、イタリアにずっといたので財産も残っていなかったこと。

それはクリスマスイブの前日のことで、何もすることが出来なかったこと・・・。


けれど、オレは、もうストレスを感じていなかった。オレはそれに、完全に専念していたから。
そして、イタリアでの出来事のあと、ビッグブラザーなんて公園で散歩するようなものだった。


それはニセモノだ。
・・・それは、セットアップされたもの。
精神的な拷問の一種で、一連の行動心理学者によって考え出された。

そして、オレ達はみんな役を与えられた。
彼らはオレ達がその役に入り込むまで、オレ達を料理し、それから彼らのニーズに合うようにジグソーを編集する。
おれにはそれがよくわかっていた。

オレはフィルムクリップを見た。そして、それが天才的な編集だと思った。
それはちょうどウッディ・アレンの映画のようだったが、ちょっと不快でもあった。

それは原因と結果だ。

なぜなら、アンタは素晴らしいテレビを観ることが出来、素晴らしいインタビューを受け、素晴らしい写真を撮ってもらうことが出来る。アンタが原因を作らなければだ。
知っているだろうが、ショーン・ペンが話題になっていた頃、パパラッチがこう叫んだ。
「マドンナ、この太った毛深い売女め!」
すると、例によってショーン・ペンが彼らを殴る――それは、素晴らしい“画(え)”だ。
だが、アンタはもう、決してカメラマンの言葉を聞かなくなる。

ジャーナリストが尋ねる。
「あなたはモリッシーを相当イヤなヤツだと思いませんか?」
オレは言う。
「そうだな、彼はちょっと・・・」
すると見出しには、
『バーンズはモリッシーのことをイヤなヤツだと思っている!』

全ては原因と結果だ。

そして、オレは今、それが人生においても言えることを本気で学んでいる最中だ。

オレは無垢なんかじゃない。
オレは自分にとって、良くないことの原因を作ってしまった。
その上、オレはそれに対して、より消極的なやり方でそれに応えようとした。


だが、それは難しくはなかった。
オレは考え続ける。「今日はもうすぐ終わるんだ」
オレは日にちにマークをつけた。

オレが、毎日毎日皮膚をはがされていた頃以前は、そんなことはしていなかった。
それは疲れるし、骨がおれることだったからだ。
そして、最後の12日間は感情的にもひどかった。
大事に育てられた睡蓮だった者には、それはすごく残酷だった。

オレはそうじゃなかったが、そこにいた何人かはとても脆かった。


一方で、オレは三週間もマイケルと離れることなど、考えることが出来なかった。
イタリアでの地獄の期間でさえ、彼がオレから離れていた最も長い間で一週間だった。
それでもオレは、彼に対してとても刺々しくなったのだ。

それは片手落ちだった。オレは彼に対して極端な孤独感を抱いていた。
マイケルがオレの目の届かないところへ行っている時、それが2,3時間でさえ、オレがすることといったら全て彼について考えることで、やがて、めちゃくちゃ心配になる。
それがもっと長い間になるなら、オレはバラバラになってしまうだろう。

それはとてもおかしな状態で、オレは彼にすごく辛くあたったりしてしまう。
激しく、非情なオカマとして・・・。

この愛はとても極端だ。

オレはマジでそれをあしらう方法がわからない。


だが、オレは別れに直面しなければならなかった。
ビッグブラザーの製作チームは、オレのためにマジで助け舟を出してくれた。
それだけでなく、オレが挑戦しようとしていたことよりも遥かに高い出演料を払ってくれたし、ホテルも用意してくれた。

オレは最初の週の後、ハウスを立ち退くことになるだろうが、それでもオレとマイケルは、三週間が過ぎるまでそこに滞在することが出来た。
オレは、イギリスの大衆はチャンスがあり次第、自分を嫌い、追い立てるに違いないと決めつけた。
そしてオレは、マイケルと天国のようなスウィートに閉じ込められ、贅沢な二週間を過ごす。オレ達はルームサービスとセックスのみで暮らすのだ。

オレは、イタリアではほとんど何も持っていなかったので、彼との良質な時間、プライバシーを必要とした。
オレは、それが欲しかったのだ。そして、それを得ていると確信していたのだが、
けれど、それは間違っていた。


オレは、何かを知っていたに違いない。
なぜなら、とても怖かったから。
それが何なのかはわからなかったが、とにかく異常に怖かった。

だがオレは、それをマイケルに話すことが出来なかった。
彼はオレといてとても幸せそうだったし、大衆がより沢山の写真や整形フリークのオレを見て、愛してくれるだろうと確信していた。

彼は、誇らしげな父親のようだった。
そして、彼の娘をグラマースクールに行かせた。

オレはそのことを決して忘れない。
彼のオレに対するプライド、オレがオレであるならば、人々はオレを愛するだろうという確信を。
オレは彼をがっかりさせたくなかったので、何も言わず一緒にそれをしようとした。

結局、オレ達が共にいられたのはわずか一週間ばかりだった。

オレ達がホテルを出た時、古い家は売られる。
ショーから出演料をもらい、オレ達は賃貸のフラットを見つけるつもりだったが、買える余裕が持てるまで、オレ達にはもっと多くの休日が必要だった。
そこで、もう少しホテルに滞在した。

それが、どれほど間違っていたんだ?


オレはハウスに入る朝を、ほとんど軍のような精密さを持ってして、事を始めた。

オレ達は夜明けに起き出し、マイケルは落ち着いてオレが必要とした衣類や化粧品を全て詰め込み、入室時間まで隠された秘密の場所への長いドライブに間に合わせるため、オレをサンダーソンホテルから連れ出そうとした。

オレは行きたくなかった。

それは、学校へ行く一日目のような感じだった。
オレは二つに引き裂かれていた。そして、すぐに、自分が彼から分離していることを知った。
オレは彼が孤独なんじゃないかと心配になった。
彼が、自分の感覚を取り戻してオレから去っていくんじゃないかと心配した。
細かく言うと・・・、オレは沢山のものを与えることが出来ない。
オレは彼に出逢って以来この方ずっと、時間を止めることに忙しかった。

まるで、オレ達がやがて別れを言うことを知っていたみたいに。

そして、オレ達はホテルに着き、部屋へ案内された。
それはまだ朝早くのことだった。

荷物をほどき、チェックをし、それからショーが手配してくれたケースに詰め直さなきゃならない。
マイケルはこれらを全部やってくれた。

オレは、自分の服の何枚かに「FUCK」と書いてあったので、その服を持って行くのを諦めなければならなかった。それは、オレのためのヴィヴィアン・ウェストウッドだった。
これが普段なら、オレは叫んでいただろう。
だが、そうしなかった。

オレがその時考えていたことは全て、自分がもうすぐマイケルから離れるということだった。


何とか、朝は過ぎていった。

そしてマイケルは去らねばならず、オレはまだ、もう一つ秘密の場所に行かなければならなかった。
だが、誰かから、オレがハウスに入る前にもう一度彼に会うことが出来ると聞かされた。彼も同じことを言われたらしい。

オレは、彼らが自分をハウスに連れて行く2,3時間前、その秘密の場所のフィルムスタジオの控室の、少し汚れた床で寝入ったのを憶えている。
オレは自分が閉じ込められる前に、マイケルにさよならを言うことが出来るかどうか尋ねた。
次にわかったことは、オレは起き、急がなくちゃならないと言って自分の衣装に袖を通し、車に飛び乗ったということだ。
そして、ビッグブラザーのテーマを何度も繰り返し流し続けるヘッドホンを自分の頭に固定した。

車はものすごいスピードで走った――マイケルに、最後のさよならを言うために?

No。

やがて、車のドアが開いた。
オレは混乱と人々の群れとカメラに後ずさりしてしまった。
そして、何とかキャットウォークをしながら金属製の階段を上り、ハウスに入った。

ところで、オレが後ずさりしたので、靴のヒールが折れてしまった。
オレは歩道いっぱいを、片足だけつま先歩きしなければならなかった。
歩き回り、オレは叫び立てる群衆の中にマイケルがいないか探した。
彼は確実にそこにいるのか?

彼はいた。

だが、オレは彼に会うことが出来なかったし、彼はオレに近寄ることが出来なかったと、その後オレに話した。
彼は取り乱し、すすり泣いてしまったので、連れて行かれてしまったのだ。

オレも心の中で泣いた。

オレは、自分がそんなに長い間、彼から離れることに同意したのが信じられなかった。


オレはまだ群衆の中にマイケルを探しながら、階段を歩き、回って手を振った。

やがてドアが開いた。
オレは中に入った。
(この入室シーンの様子がわかるのが以下の動画です。ただし、埋め込み無効になっているので、「You Tubeで見る」のところをクリックして下さいませ)






沈黙。

もう、後戻りは出来ない。

そこに何がやって来るかわかっていたら、オレはどんな時でも素直に回って歩き出す、コンテストの一番最初の人間になっていただろう。

アンタらはそこに誰がいたかわかっている。
そして、これを書く目的は、他の同居人達の全面的な暴露ものをやることにあるわけじゃない。それは、他の本がやってくれるだろう。

オレが言うことが出来るのは、
彼らはマジでいいヤツらだったということだ――。