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華氷~はなごおり~

氷上に咲く花・・・フィギュアスケート。
ここは、そんなスケーター達にエールを送るブログです。(でも、時々脱線話もアリ)

ピート 再始動!

2010-09-10 21:22:32 | ピート・バーンズ
ピートファンの皆様、またまたご無沙汰しておりますm(__)m


てか、

余りにご無沙汰過ぎて、前回最後に書いた記事はいつかと遡って見てみたら、

なんと今年の1月



いや、申し訳ない~~~

きっと、もう皆さん、当ブログのことなんて忘れてらっしゃいますよね

なんせ、オリンピックシーズンからこっち、大輔くん一色だったからなあ


でも、私自身はまだピートのことは気にしてるし、時々サイトも覗いておったりして、
いちおー引き続き記事は書いていこうかなと思っとりますので、
ピートファンの皆様にはたま~~に思い出して覗いていただけると有難いです



で、その記事の中身はとゆーと他でもない、

ピートのNew Singleについてです


今日たまたま公式サイトを覗いてみたら、
トップページが変わっているではありませんか~~~


お姿はここ最近のピートのまんま。
(ま、多分修整は入ってると思いますけど


そして、ニュースを開いてみるとそこには新曲の紹介が!!


私、早速i TUNESで購入して聴いてみましたよ~~~






・・・でも。


うむむむ・・・



これは・・・、どーなんスかね?

メロディはともかく、私がちょいと気になってしまったのは、
あのヴォイスチェンジャーってゆーんですか
(専門用語がわからないので、誰かわかる方教えてつかーさい

あれを終始一貫使って歌っているので、
最初聴いた時は「え?ピートの声ってどこから入ってるの
って思ったくらい、別人の声に聴こえてしまって、

あの、ピート独特の骨太の魅惑のヴォイスが、

一度聴いたら忘れられないあの節まわしが、


全然生きてないよ~~~~!!!(>д<。)


と。



なので、

皆さんももし、新曲聴かれた方がいらっしゃいましたら、
ぜひにもご感想をお聞かせ下さい


出来れば、ピートにはあの曲だけじゃなくて他の曲もリリースして欲しい。


でないと、せっかく待ちに待った新曲なのに、
なんか、今ドキの流行りに迎合してるみたいでちょっとガッカリしてしまいそーなんですもの



ま、とは言え、

こうしてまた歌ってくれるだけでも涙ちょちょぎれるほど嬉しいんですけどねー



取りあえず、アルバム発表を待ちましょう!!

ピート、この夏にライヴ!

2010-01-31 19:01:26 | ピート・バーンズ
ピートファンの皆様、ご無沙汰しております!

もうお気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、
今日久々にDOAのHPを覗いてみたら、とうとうこの夏にライヴをやるとの嬉しいニュースが

何でも、『You Spin Me Round(Like a Record)』が発売されて25周年経ったのを記念してのショーみたいですけど、新しい曲も聴けるっぽい

合わせてバンドメンバーも2月からオーディションで募るようですね!


これは、超楽しみ~~

以前見た直近のピートの、余りの普通っぷりと太りっぷりに、
薬のおかげでメンタル的にだいぶ疲弊したのか、もう、ショービズ界には戻って来ないのかなーと、ちょっと落胆しかけてたので
この知らせは何より嬉しい


音楽自体は、またスティーブとの2人3脚みたいだし、それもホッとしました



――ということで、
次のニュースは一体いつになるかわかりませんが、また期待して待つことにして、

これだけじゃあ何ですから、ピートとDirty Discoとのコラボ曲の動画があったので、
それをUPしておきまーす


*【Big Brother編】は今少し、お待ち下さいませm(__)m






ピート・バーンズ考 【Big Brother編】 3

2009-11-20 13:33:02 | ピート・バーンズ
『Celebrity Big Brother』はイギリスのTV、チャンネル4の目玉番組『Big Brother』の有名人バージョンです。

「BBハウス」と呼ばれる秘密の場所にいろんな有名人をオーディションで集め、約3週間の共同生活をさせますが、
1週間ごとに視聴者の投票で人気のないメンバーが脱落していき、最後の週まで残った者が賞金を獲得出来るという何ともケッタイな番組であります(^_^;)

で、ピートが出演した時の同居人メンバーは自叙伝から抜粋すると、以下の通り。

マイケル・バリモア
ジョディ・マーシュ
プレストン
ルーラ・レンスカ
トレーシー・ビンガム
チャンテル
ジョージ・ギャロウェイ
デニス・ロッドマン
ファリア
マゴット
ジミー・サヴィル
(フルネームでない人物は、ピートが書いているのをそのまま表記してあるためです)


以上かな?

何せYou Tubeを見ても細切れ映像でしかないので、今となってはなかなかその全貌を知るのは難しいですねー

ピートは自叙伝の中で、ビッグブラザーでの生活や心理的な状況以外に、同居人達についてもいろいろ記述しているのですが、
暴露ものにするつもりはないと言いつつ、かなり辛辣な人物評に終始しているものもあり、また、ここを読まれている多くの方にしてみれば、上記のメンバーの中で知っている人物がデニス・ロッドマン以外はほとんどいない(のはひょっとして私だけかも知れませんが^_^;)と思われ、そんな人物の人となりを詳しく書いてもあまり面白くもないでしょうから、ここは動画を交えながら簡単なピート評を書くのみにして、さっさとメインの話に持っていきたいと思います(笑)
(ただ、今回あげる動画のほとんどが埋め込み無効になっているため、皆様にはお手数おかけしますが、よろしくお願いいたしますm(__)m)

では、どうぞ。



ライト・・・鏡。

それらから逃れられることはなかった。
ライトはビッグブラザーの家では目も眩むようだった。

オレは最後までそこにいた。
オレの網膜が最後まで無傷だったのは奇跡だ。

やたら退屈で、くだらないおしゃべり。陰口。すばらしく愚かな仕事。

オレは自分が一体全体どうやってそれらを何とかやりこなすことが出来たのか、未だによくわからない。

オレは自分がそこに加わる前に、それらが何をどうもたらすのか考えた。

カメラ。はく奪。有名人の怪しい共同生活。
静かなヤツ、おしゃべりなヤツ、結構な有名人、必至なヤツ、被害妄想、そしてマトモじゃないヤツ――。
自分達が一日中やることについてと、自分が友人や恋人なしでどう対処出来るのかということについても不明だった。


だが、そんなバカなプログラムをしなくてもいい正当な理由は沢山あったのだ。

誰かがこう言ったよ。
「自分は現実を生きていないのか?」

ああ、そうだ。オレもさ。


それは、実生活じゃなかった。


◆Micheal Barrymore



彼はアルコール依存症と中毒症状で苦しんでいた。

そして、彼の死んだ先妻のこととカミングアウトしたことをばらされたことでも。
彼の人生は全てこんな風――それは下り坂を転がり、より大きくなる雪玉のようだった。

彼は職を失ったのだ。

だが、オレは彼は教師としては二流だと思う。
彼は全てを経験してきた。そして向こう側の人間であることもカムアウトした。
けれど、彼はそのせいで一生懸命働かなくてはならなくなった。

それは、永遠の修行だ。


ところでオレは、ハウスではあまりベストな健康状態とは言えなかった。
とても疲れていたし、感情的にも不安定だった。
それはサイアクな組み合わせで、オレは初日の夜からあまり眠れなかった。
そして、それがオレとマイケル・バリモアを結束させたと思っている。

彼はいつも起きていた。
そして、オレと同じくらい機能亢進で、ヒステリックに見え、少ししか眠らなかった。
だが、誰でもベッドの上を這いまわっているカメラマンや、他の同居人のイビキと一緒に寝るのは難しいだろう。
オレにとっても、それは不可能だった。



*ピートとバリモアがキッチンで歌を歌い、ハモッているところ。
他に、2人がベッドで話をしている動画もあるのですが、あの機関銃のようにまくし立てるピートが珍しくバリモアの話を黙って聞いていて、確かに、この2人には穏やかな連携があるように見えます。


◆Preston

ある同居人達にとって、オレは真の脅威だったようだ――特に、多くの女性達とプレストンにとっては。

オレが思うに、プレストンはそこでポップスターになりたかったのだ。
そしてオレは、彼に対する敬意がなかった。オレは彼に自分の話を沢山した。

オレはプレストンのやる、くだらない、調子っぱずれで気チガイじみた、モリッシーの演技とポーズをマネしたような歌を決して聴かなかった。






*プレストンくん、この傾きながら歌う仕草は確かにちょっとモリッシーっぽいですね(^_^;)
(その後にピートが続くのは罰ゲームか?笑)

ただ、ピート、後で貼る予定のトレーシー・ビンガムの動画の中では、ソファに座っているプレストンのところに腰かけようとして実にわざとらしく倒れ込んだりしてますし(笑)
それに、最初の方のプレストンの紹介動画では、ピートは彼のことを「Such a sweet boy」なんて言ってるから、案外お気に入りだったのかも!?
憎めなさそーな、小動物系の愛くるしい顔してるからかな。


◆Rula Lenska

女性達に関して言えば、ルーラはオレを嫌った。



彼女はオレの美容整形について、非難し続けた。
オレはそれが美容整形ではなく、再建手術だったということをそのバカなメス犬に説明しようとした。
彼女は言った。
「じゃあ、あなたに従ってあげるわ!」

けれど、それと同時に彼女はオレに、スキンクリームについて聞いてきた。
オレに、彼女がまだ35歳に見えるようにすることの出来る、外科医のアドレスがあったか?

ルーラはオレと口論している時に、一度こう言った。
「私は二度とあなたには会わないわ。でも、電話はするかも知れない。何故かっていうと、私はあなたが知っているクリニックのアドレスが欲しいから」

彼女は何かに取り憑かれていた。


◆Traci Bingham

トレーシーは典型的なロサンジェルス人だった。



彼女は『in development』というホームコメディを作っていて、それは全部が魅力的で素晴らしかった。

オレは、基本的に彼女は知的だったと思う。
だが、ロスから来ているほとんどの人間が知的だとも思う。

そして、彼女はマジで酒グセが悪かった。
彼女は朝起きると、既に3,4杯のワインを飲んでいた。

トレーシーはどんな整形手術も認めなかった。

オレは、彼女の髪がつけ毛ではないかと言い続けたが、彼女は否定した。
けれど、二週間目になると彼女はそこにシラミがわいていると言って、頭をかきむしり出した。そのつけ毛は洗濯することが出来なかったからだ。

オレは言った。
「トレーシー、オレはそれが何か知っている――オレがそれを洗う方法を教えてやるよ」
だが、彼女は断った。「これは私の髪よ」

もちろん、それは彼女のものだった・・・彼女が買ったのだから!

やがて、彼女はすぐにハウスを出た。



*ここでは、ピートの速射砲弾丸ライナーのようなトークが聞けます(笑)
最初は負けてなかったトレーシーも段々タジタジ(~_~;)
何やら放送禁止用語も飛び出してるし、どんなことをしゃべっているのか、やっぱ気になりますよねェ~。
無表情でまくし立てるピートがコワイ


◆Jodie Marsh――オレは、彼女の根性が嫌いだった。

彼女が何かをやって注目を集めようとしたこと、それは、意図的で同情票を得ようとしてやったことだが、無駄なことだった。

彼女は聞く耳を持たない。
ハウスを立ち退かされた時でさえそうだった。

「ああ、1月は私の親友の4回目の命日だから、とてもよくない月なの!それに、私が赤い絨毯を歩いて来た時、彼らは私の父が病気だと伝えて来たのよ!」

彼はお腹をこわしていた。

「No、no、あなた達にはわからないわ・・・彼らは父が死ぬかも知れないと、ハウスにいる私に緊急の番号で連絡を取って来たのに!」

彼はどこが悪かったのか?
彼は食中毒だった。

大衆は彼女を非難した。

彼女の親友の死についての話も奇妙だった。
それはジョディだけが言っていたことで、葬式にいた人間は誰も彼女がその親友のことを知っていることを知らなかった。

「私は5つの慈善団体の大使をやっているの。私は学校でのイジメに反対するわ」

だが、にも拘わらず、彼女自身がいじめっ子だった。

ジョーダンをボロクソにけなし、ピーター・アンドレはジョーダンとファックしたがっていたとか、ジョーダンは彼と離婚するつもりだったとか、そして、ジョーダンが『Hallo!』という雑誌をやる前に妊娠テストをするのを延期したとか――、
そんなことをしゃべる彼女はとても醜かった。

「彼女はお金のためなら何でもやるのよ。けがらわしい売女だわ」

「彼女はどんな風に見えるんだ?」オレは聞いた。
「あら、彼女ははたから見たらマジで醜いわ。彼女、魔女みたい」

オレは、「アンタは自分が何をやっているのか、わかっていないんじゃないか?彼女は、多分向こうでコラムを書いているんだぜ?」と言った。

「でも、私はインタビューでそれを言ったわけじゃないわ」ジョディが言った。
「私はただ、一部の友達と家でしゃべっていただけだもの」

彼女は、ものすごく精神を病んだ人間のようだった。
オレが会ったヤツは、みんな彼女についてそう言う。彼女は半分狂っていた。

彼女は我慢が出来なくて、バリモアに怒られた。
そして、彼女は出て行った。「私は悲しんでいるのよ!」と言って。


彼女との戦いにオレが参戦する必要は全くなかったね。何故なら、彼女はいつも自分で自分を傷つけていたから。
彼女の親は彼女をメンタルヘルス法によって隔離させないし、電気ショック療法もやらない。
彼女の舌を切りもしないから、とても無責任だ。

だが、それはもう十分だ。終わったこと。

――トイレに流そう。









*え~、彼女に関しては、動画を見てもやっぱりちょっと不穏な感じです。
(コメントでもかなりキツイことが書いてあるし)
でも、真ん中の動画は、『Impersonates Jodie(ジョディのマネ)』というタイトルからもわかる通り、ピートが彼女をかなり誇張してマネしてる動画みたいで、これを見るとちょっとやり過ぎの感があるかも
まァ、彼女もピートのマネしてるみたいなのでおあいこなんでしょうが、少し離れたところから傍観してる、チャンテルとプレストンの微妙な嫌悪感を示す表情が何とも言えません


◆Chantelle

オレは、彼女がオレを恐れていたとは思わない。
けれどもオレは、彼女の中に自分がいたということをわかっていたと思う。



彼女はいつも鏡の前でポーズを取っていた。オレは言った。
「アンタはよくわかっているみたいだな。自分がちっともバカでウブじゃないって」
彼女は冷たい目をした。

オレは何度も言ってやった。
「アンタは冷淡なサメみたいだ。アンタは自分が何をしてるかわかってるんだろ?自分が勝つことを知ってる筈だ」

そして、彼女はいつも自分の胸を強調するポーズを取っていた。

オレは言う。「プレストンに見せろよ」
すると彼女はこう言った。
「それ、どういう意味?何が言いたいの?

*なんか、ここら辺、オンナ同士のさや当てみたいでコワイですゥ~~
(実際、チャンテルとプレストンはハウスの中でけっこーいちゃいちゃしてる)

彼女は多分、いいオンナだ。
けれど、オレにしてみればそれは見せかけの売春だ。

彼女はとても若く見えるし、オレは彼女については何も知らない。
だが、新聞であらゆる写真を見た――むき出しの胸、広げられた足――それは、まるでパリス・ヒルトンのようだと彼女は言った。

彼女はパリスというより、パリス・スティルトンのようだ!



*ベッドに横たわりながら、チャンテルの仮装パフォーマンスを見ているピート。
どこか体調でも悪かったのかな?
チャンテルの中途半端なノリは、ちょっと見ているこっちが気恥ずかしくなりますね(~_~;)


◆George Galloway

競争相手の中で、オレが本当に好きだったヤツはいたのか?

ジョージ――彼は素晴らしいヤツだった。



オレは、いろんな人間が彼のことを「何てバカなヤツだ!」と言っていたので、そう見えるように編集していたことを知っている。
だが、オレにとって彼は師匠であり、教師であり、政治的な事柄について深い見識を持ち、人間の行動の特徴についても学識のある人間だった。

彼はブッシュ政権とクリントン情勢、それら全般的な政治や黒い票を無視したことなどについて説明してくれた。それはオレが本を読む必要があるということのようだったが、オレは内容の充実したものが欲しかった。

人間としての品行、人のあしらい方、道徳観、そして彼の激励はオレが歌手―偉大なシンガーになるためのものだと言い、彼はオレのこの出演に対して完全な承認をしてくれた。

彼はオレに言った。
「ここに本物の男が2人だけいる。その2人は両方とも、ドレスを着ている」

それは、オレとデニス・ロッドマンのことだった。



*何とも笑えるピートとジョージのロボットダンス。
さりげなく肩衣脱いでるピートに、彼のファッションへのこだわりが見て取れます。
最後の腰振りダンスがThe Pete!!


◆Dennis Rodman



オレは、デニス・ロッドマンのことをとても好ましく思う。彼は素晴らしい人間だ。彼は、人生のほとんどをホームレスとして生きてきた。

アンタ達は彼の人生を知らなければならない。
彼の母の育児放棄と、プロジェクトでの生活、家がなかったこととドラッグの問題、貧困・・・。
そこから彼がどうやって這い上がったか。
そして、今まで黒人に会ったこともない白人の家庭にどうやって理解されたかということ。

だが、それは彼が語る話だ。

彼は、スポーツ選手の文化においての物事を進化させている。

オレはデニスがどうして好きだったのか?

オレは彼の、監獄の中の男娼だった。
彼はオレにタバコをくれるために、よその人間から盗み続けていたんだ!

彼はオレを尊敬していた。
彼はデカかったから、誰も手を出せなかったが、デニスは本当の紳士だった。


彼は自由だ。

そして、世界はデニスのやることに驚いてばかりで、まだ彼の自由な力を理解していないのだ。



*2人で仲良くダイアリールームにいる動画。ピートが男娼とゆーよりはマダムで、デニスは世界最強の下僕(しもべ)のようにも見えますね~


◆Faria



オレは彼女が綺麗なエネルギーをまとっていたので、毎日彼女がいなくて寂しいと言っていた。
そんな彼女はどれくらい魅力的だった?

彼女はメディアの嵐に巻き込まれた純粋な魂だ。
それは、彼女の行いを通してではなく、誰かがプレスにリークし、後を尾け、彼女のeメールを盗み、電話に盗聴器を仕掛けたからだ。

彼女はイスラム教徒で、kicking post(すみません、この言葉の適当な訳がどうしてもわかりませんでした)として使われていた。
それがアメリカにいる彼女の母親を悩ませた。
そして、家族をもめちゃくちゃにした。

何故なら、彼女がセックスした人間が、偶然サッカーのコーチだったからだ。

だが、オレ達は全員セックスをする。
今更職務内容の説明なんか、必要ないよな?
もし、彼女がゴミ収集人とセックスしたなら、ヤツらはそんなに騒ぎ立てただろうか?
そう、彼女は基本的な人間の機能を果たしただけだ。

けれどそれは、別の問題から逸らすために、他の人間の動機に利用され、リークされたのだ。

きっと次からは、彼女は全てのサッカーチームとセックスしなければならないだろうが、彼女はそれを楽しむだろう。



*ピート、ファリアと放送禁止用語だらけの会話をしてます(笑)
でも、上のスキャンダル(?)についての話は、彼女のバックグラウンドがわからないのでイマイチ理解できませんザンネン。


◆Maggot



彼は立派なヤツだった。オレは彼のレコードが好きだった。
彼はどんな形であれ、全然不快なヤツじゃなかった。

それは、オレがジミーサヴィルのことを話すより多い。

*と言いつつ、一番ピートの感想が少ないマゴットは、確かにどの動画を見てもあまりしゃべったり目立ったことをしてないので、ほとんど空気です・・・(泣)


◆Jimmy Savile

オレは、実のところ、彼が死んでいるものとばかり思っていた。そして、オレはまだそれを信じる理由を見つけられないでいる。

その頃オレは、3日間眠れず、ほとんど何も食べていなかった。

だから、オレがドアを開けた時、オレはそいつがバーバラ・カートランドだと思ったのだ。

オレは見当がつかなくなっていた。
オレは、ジミー・サヴィルのことをそんなに知っていたわけじゃなくて、長い間ずっと彼が死んでいると思っていた。

そして、オレ達が聞いたことといえば、
「わしはエルヴィスに会った。ビートルズにも会った。あー、うー、うー、みんな、皆だ。わしがアンタ達のために取りなしてやるよ!」

God!






*上のエピソードはこの二つの動画を見てもらえば、なんとなーくピートの言ってることがわかります(特に、あー、うーのとことか 笑)
二つ目の動画の、ピートのものすごーーーーーく退屈そうな顔が笑える
10日目の時点でジョディがいないことにも気付きますね。




――さて、さて。

簡単にと書いた割には、動画を挟んだりしてるうちに結局字数いっぱいになってしまいました(汗)

でもこうして文と突き合わせて動画を見てると、おぼろげながらも同居人達の人となりがわかって面白くありませんか?

なので、興味がおありの方はあの膨大なCBBの動画を通しで見るのもいいかもですね!


では、メインディッシュは次回ということで~~

ピート・バーンズ考 【Big Brother編】 2

2009-11-14 00:00:58 | ピート・バーンズ
ピートファンの皆様、お待たせしました。

【Big Brother編】、続きです。
今回はピートがハウスに入室するまでのお話です。



ピートが顔面崩壊した顔の再建手術をし、入院生活をしていた18か月の間、彼の傍にいてくれたのはマイケルでした。

リンとは別居状態で、スティーブはでも、何らかの形でその頃までピートの世話をしていたようですが、
その長かった再建手術もあと重要な手術を一つ二つ残すのみというところで、その機会はやって来ました。

Big Brotherのスタッフから、出演のオファーがかかったのです――。




オレはこの特別な日には、重要な手術をしていてまだ入院中だった。

だが、マイケルがインターネットでビッグブラザーの人間とコンタクトを取ってくれた。そして、番号を受け取り、1週間後に2人のプロデューサーが急遽やって来た。
彼らは明らかに興味を持ち、やがてそれは、そこからちょっとした雪だるま式にふくらんでいった。

オレは、彼らに何故自分を選んだのかと尋ねた。すると彼らは、オレが魅力的だからだと答えた。
オレは彼らが、オレが自動車事故に遭ったとでも思っているんじゃないかと考えた。だが、彼らは既にオレに会った時、明らかにそうではないということを知っていた。

オレは拍子抜けするような感じがした。

なぜなら、自分がその時、突飛で変わった行動を取らなかったからだ。

オレは言った。
「オレがあまりに精神的に不健康だからだろう?」

「いえいえいえ。我々はあなたを愛しています」彼らは言った。


神よ、オレには金が必要だったのだ。
オレがマトモじゃなかったので、マイケルが全ての契約に携わった。
オレはマジでいい取引をしたと思う。
ショーのプロデューサーはオレ達がイギリスに戻ってきても家がないことを知っていたので、ショーが終わる日までの1か月間、オレ達をサンダーソンホテルの特別スウィートに滞在させてくれるという親切さだった。

物件を探していたオレは、一週間後にハウスから出たとして、それから三週間の間はサンダーソンにいられたから、それで新しい家を探す時間が持てるだろうと思った。
オレはまだ相変わらず出演料を持っていたからだ。


ところで、イタリアではオレは、死んでいるようだった。

オレは、そこから立ち去ることが出来ず、自分が腐っていくような感じがした。
ドクターはこんなことを言った。
「おお、あなたはここを出てはいけない」
それはオレにもわかっていた。
だが、突然、その契約義務、マイケルのそれに向けての助言――「君には出来る」という言葉――それから、金のせいで自暴自棄になっていたこと、
それら全てが、オレが快復するための素早い助けとなってくれた。

オレは起き上がり、外に出た。

オレは自分がやらなければならない時になると、己自身を引き上げることが出来る。

オレは今、自分の人生のストレス要因を見ている。
離婚、家の売却、破産申請、税の請求・・・。
家が売りに出されていたのでどこにも住むことが出来なかったこと、イタリアにずっといたので財産も残っていなかったこと。

それはクリスマスイブの前日のことで、何もすることが出来なかったこと・・・。


けれど、オレは、もうストレスを感じていなかった。オレはそれに、完全に専念していたから。
そして、イタリアでの出来事のあと、ビッグブラザーなんて公園で散歩するようなものだった。


それはニセモノだ。
・・・それは、セットアップされたもの。
精神的な拷問の一種で、一連の行動心理学者によって考え出された。

そして、オレ達はみんな役を与えられた。
彼らはオレ達がその役に入り込むまで、オレ達を料理し、それから彼らのニーズに合うようにジグソーを編集する。
おれにはそれがよくわかっていた。

オレはフィルムクリップを見た。そして、それが天才的な編集だと思った。
それはちょうどウッディ・アレンの映画のようだったが、ちょっと不快でもあった。

それは原因と結果だ。

なぜなら、アンタは素晴らしいテレビを観ることが出来、素晴らしいインタビューを受け、素晴らしい写真を撮ってもらうことが出来る。アンタが原因を作らなければだ。
知っているだろうが、ショーン・ペンが話題になっていた頃、パパラッチがこう叫んだ。
「マドンナ、この太った毛深い売女め!」
すると、例によってショーン・ペンが彼らを殴る――それは、素晴らしい“画(え)”だ。
だが、アンタはもう、決してカメラマンの言葉を聞かなくなる。

ジャーナリストが尋ねる。
「あなたはモリッシーを相当イヤなヤツだと思いませんか?」
オレは言う。
「そうだな、彼はちょっと・・・」
すると見出しには、
『バーンズはモリッシーのことをイヤなヤツだと思っている!』

全ては原因と結果だ。

そして、オレは今、それが人生においても言えることを本気で学んでいる最中だ。

オレは無垢なんかじゃない。
オレは自分にとって、良くないことの原因を作ってしまった。
その上、オレはそれに対して、より消極的なやり方でそれに応えようとした。


だが、それは難しくはなかった。
オレは考え続ける。「今日はもうすぐ終わるんだ」
オレは日にちにマークをつけた。

オレが、毎日毎日皮膚をはがされていた頃以前は、そんなことはしていなかった。
それは疲れるし、骨がおれることだったからだ。
そして、最後の12日間は感情的にもひどかった。
大事に育てられた睡蓮だった者には、それはすごく残酷だった。

オレはそうじゃなかったが、そこにいた何人かはとても脆かった。


一方で、オレは三週間もマイケルと離れることなど、考えることが出来なかった。
イタリアでの地獄の期間でさえ、彼がオレから離れていた最も長い間で一週間だった。
それでもオレは、彼に対してとても刺々しくなったのだ。

それは片手落ちだった。オレは彼に対して極端な孤独感を抱いていた。
マイケルがオレの目の届かないところへ行っている時、それが2,3時間でさえ、オレがすることといったら全て彼について考えることで、やがて、めちゃくちゃ心配になる。
それがもっと長い間になるなら、オレはバラバラになってしまうだろう。

それはとてもおかしな状態で、オレは彼にすごく辛くあたったりしてしまう。
激しく、非情なオカマとして・・・。

この愛はとても極端だ。

オレはマジでそれをあしらう方法がわからない。


だが、オレは別れに直面しなければならなかった。
ビッグブラザーの製作チームは、オレのためにマジで助け舟を出してくれた。
それだけでなく、オレが挑戦しようとしていたことよりも遥かに高い出演料を払ってくれたし、ホテルも用意してくれた。

オレは最初の週の後、ハウスを立ち退くことになるだろうが、それでもオレとマイケルは、三週間が過ぎるまでそこに滞在することが出来た。
オレは、イギリスの大衆はチャンスがあり次第、自分を嫌い、追い立てるに違いないと決めつけた。
そしてオレは、マイケルと天国のようなスウィートに閉じ込められ、贅沢な二週間を過ごす。オレ達はルームサービスとセックスのみで暮らすのだ。

オレは、イタリアではほとんど何も持っていなかったので、彼との良質な時間、プライバシーを必要とした。
オレは、それが欲しかったのだ。そして、それを得ていると確信していたのだが、
けれど、それは間違っていた。


オレは、何かを知っていたに違いない。
なぜなら、とても怖かったから。
それが何なのかはわからなかったが、とにかく異常に怖かった。

だがオレは、それをマイケルに話すことが出来なかった。
彼はオレといてとても幸せそうだったし、大衆がより沢山の写真や整形フリークのオレを見て、愛してくれるだろうと確信していた。

彼は、誇らしげな父親のようだった。
そして、彼の娘をグラマースクールに行かせた。

オレはそのことを決して忘れない。
彼のオレに対するプライド、オレがオレであるならば、人々はオレを愛するだろうという確信を。
オレは彼をがっかりさせたくなかったので、何も言わず一緒にそれをしようとした。

結局、オレ達が共にいられたのはわずか一週間ばかりだった。

オレ達がホテルを出た時、古い家は売られる。
ショーから出演料をもらい、オレ達は賃貸のフラットを見つけるつもりだったが、買える余裕が持てるまで、オレ達にはもっと多くの休日が必要だった。
そこで、もう少しホテルに滞在した。

それが、どれほど間違っていたんだ?


オレはハウスに入る朝を、ほとんど軍のような精密さを持ってして、事を始めた。

オレ達は夜明けに起き出し、マイケルは落ち着いてオレが必要とした衣類や化粧品を全て詰め込み、入室時間まで隠された秘密の場所への長いドライブに間に合わせるため、オレをサンダーソンホテルから連れ出そうとした。

オレは行きたくなかった。

それは、学校へ行く一日目のような感じだった。
オレは二つに引き裂かれていた。そして、すぐに、自分が彼から分離していることを知った。
オレは彼が孤独なんじゃないかと心配になった。
彼が、自分の感覚を取り戻してオレから去っていくんじゃないかと心配した。
細かく言うと・・・、オレは沢山のものを与えることが出来ない。
オレは彼に出逢って以来この方ずっと、時間を止めることに忙しかった。

まるで、オレ達がやがて別れを言うことを知っていたみたいに。

そして、オレ達はホテルに着き、部屋へ案内された。
それはまだ朝早くのことだった。

荷物をほどき、チェックをし、それからショーが手配してくれたケースに詰め直さなきゃならない。
マイケルはこれらを全部やってくれた。

オレは、自分の服の何枚かに「FUCK」と書いてあったので、その服を持って行くのを諦めなければならなかった。それは、オレのためのヴィヴィアン・ウェストウッドだった。
これが普段なら、オレは叫んでいただろう。
だが、そうしなかった。

オレがその時考えていたことは全て、自分がもうすぐマイケルから離れるということだった。


何とか、朝は過ぎていった。

そしてマイケルは去らねばならず、オレはまだ、もう一つ秘密の場所に行かなければならなかった。
だが、誰かから、オレがハウスに入る前にもう一度彼に会うことが出来ると聞かされた。彼も同じことを言われたらしい。

オレは、彼らが自分をハウスに連れて行く2,3時間前、その秘密の場所のフィルムスタジオの控室の、少し汚れた床で寝入ったのを憶えている。
オレは自分が閉じ込められる前に、マイケルにさよならを言うことが出来るかどうか尋ねた。
次にわかったことは、オレは起き、急がなくちゃならないと言って自分の衣装に袖を通し、車に飛び乗ったということだ。
そして、ビッグブラザーのテーマを何度も繰り返し流し続けるヘッドホンを自分の頭に固定した。

車はものすごいスピードで走った――マイケルに、最後のさよならを言うために?

No。

やがて、車のドアが開いた。
オレは混乱と人々の群れとカメラに後ずさりしてしまった。
そして、何とかキャットウォークをしながら金属製の階段を上り、ハウスに入った。

ところで、オレが後ずさりしたので、靴のヒールが折れてしまった。
オレは歩道いっぱいを、片足だけつま先歩きしなければならなかった。
歩き回り、オレは叫び立てる群衆の中にマイケルがいないか探した。
彼は確実にそこにいるのか?

彼はいた。

だが、オレは彼に会うことが出来なかったし、彼はオレに近寄ることが出来なかったと、その後オレに話した。
彼は取り乱し、すすり泣いてしまったので、連れて行かれてしまったのだ。

オレも心の中で泣いた。

オレは、自分がそんなに長い間、彼から離れることに同意したのが信じられなかった。


オレはまだ群衆の中にマイケルを探しながら、階段を歩き、回って手を振った。

やがてドアが開いた。
オレは中に入った。
(この入室シーンの様子がわかるのが以下の動画です。ただし、埋め込み無効になっているので、「You Tubeで見る」のところをクリックして下さいませ)






沈黙。

もう、後戻りは出来ない。

そこに何がやって来るかわかっていたら、オレはどんな時でも素直に回って歩き出す、コンテストの一番最初の人間になっていただろう。

アンタらはそこに誰がいたかわかっている。
そして、これを書く目的は、他の同居人達の全面的な暴露ものをやることにあるわけじゃない。それは、他の本がやってくれるだろう。

オレが言うことが出来るのは、
彼らはマジでいいヤツらだったということだ――。



ピート・バーンズ考 【Big Brother編】 1

2009-11-03 01:26:25 | ピート・バーンズ
突然ですが、

皆さんは、“運命の恋”なるものを信じますか?

そして、そんな恋を経験したことがおありですか?


あ、それとももしかして、現在進行形?



――今からするお話は、ピート・バーンズという一人の人間が、年齢も性別も超えて恋に落ち、そのおかげで自分の人生で最大のピンチを救われ、そのおかげで自己と他者というものを改めて知った、彼の覚醒の物語です。

そして、そのお相手はといえば、ピートファンなら既にご存じ、かの色男、マイケル・シンプソン。

彼とピートはおよそ10歳の年の差があり、出逢った当時マイケルには娘も一人おりました。
その出逢いは自叙伝を書いた当時から2年半前のことだと明記してあるので、本が出版された2007年から執筆中までのタイムラグなどを考慮に入れると、大体時期的には'03~'04年あたりかと思われます。


その時、マイケルはレストランのウエイターをしていました。

ピートはビジュアル的に言えば、ポリアクリルアミドの注入のしすぎで唇が最大限まで腫れて痛み出していた頃でしょうか。
(そんな時期にレンアイが出来るピートのバイタリティ!)


でも、ここで私がなぜ、ピートとマイケルの馴れ初めを皆様にお伝えしようと思ったかを改めて書かせていただくと、

まァ、ただ単にピートのマイケルに対する惚れっぷりが尋常じゃないくらいすごくて、自嘲的ではありつつも正直な気持ちを綴っているピートの文面が、読んでてめちゃくちゃ気恥ずかしくも可愛かったので(*^_^*)そういう一面をお知らせしたかったのと、
後は【Big Brother編】を書くに当たって、どうしてもこの時期の2人の結びつきを避けて書くことは難しいと思ったこと、
そして、ピートの周囲には、どうも有名人と無名人とのカップルにありがちな片方に対する偏見だけではなく、ピート自身も相変わらず誤解されてる部分があって、
巷に流布している様々な2人のエピソードも、実は、ピートのあの頃の精神状態が原因で起こったことも多々あるという事実を伝えるとともに、
ピート自身がそのことにすごく心を痛めているということを知ってもらいたいというのがあったからです。

とは言え、
私の方から意図的というか、恣意的な書き方で皆様の感想を誘導したくはないので、ここはまた、ピート自身の言葉を使って書き進めていく方法を取っていきますね。

それによってどう思われるかは、それこそ、皆様次第。


でも、基本今回の記事は2人のラブストーリー。

そして、そんな燃えるような恋をしても、ピートとマイケルだけでなく、等しく誰の身にも時の流れは容赦なく襲ってくるということ。


それが、私個人の感想であることを、最初に付け加えておきたいと思います。



では、どうぞ。



神よ、オレはこの幸運、このめぐり合わせに感謝する。

“運命”がオレ達を一緒にしてくれたから。


――ロンドンにいた間、
オレはコベントガーデンにあるレストラン、“ジョー・アレン”によく行っていた。
オレはそこにいる人々が好きだ。サービスも好きだ。
そこは、まるでオレの部屋のようだった。

オレは、実のところあまり食べないし、あまり出かけない。
だが、それでも外食する時は“ジョー・アレン”がオレのお気に入りの場所だった。

そんなある夜のこと、
26番テーブルに座っていたオレの人生は、そこで永遠に変わったのだ。


オレはある友人と一緒にいた。それは、遅い時間だった。
オレ達は笑い合っていて、やがて見上げるとそこに彼がいた。

彼の名前はマイケルだったが、けれど、オレはその時はまだ、彼の名前を知らなかった。

オレは彼について、何でも知っていたわけじゃない。
だが、オレにはわかっていた。
それが自分が必要とした、自然界の力のように。

マイケルはレジのところに立っていて、お金の計算をしていた。
彼は、オレが見ているのに気付かなかった。

何かがオレに起こった。

オレには理解出来ない、何らかの繋がりがなされたのだ。

オレは前世を信じている。
だから、多分、他の人生の別の形でマイケルを知っていたんだと思う。

そういうわけで、オレが彼に出逢った時、それは完璧な認識に基づくフラッシュのようなものだったんじゃないだろうか。

キャノンボール。

アンタらが考えつく限りの決まり文句だ。


オレは初めてマイケルに会った時、彼に話しかけなかった。
オレは、自分がそこにいたのを彼が見たとさえ思っていない。

だが、その瞬間からオレの空想が始まった。

そして、そんな空想をしながら、オレはそのエネルギーを感じ、注ぎ込むために、ジョー・アレンに行くことが自分の人生の全てのように思えた。


やがてオレは、気違いのようなその週を清算した。なぜなら、オレはパートナーのいる人間だったから。

オレは、次に友人とジョー・アレンに食事しに行った時もそこに座り、また同じような繋がりを感じた。

オレは彼の顔を見つけた。
オレはこの男を知っていた・・・。
たとえ、まだオレが彼の名前を知らなかったとしても。


オレは少女のような突撃はしない。オレはティーンアイドルに夢を抱かない。
それは、オレが10代だった時の話ではなく、オレが“男”になった時の話でもない。

そして、この感じは、レストランのレジにいる男の外見に感じていたものでもなかった。

オレは既に、そんなものを越えていた。

だが、オレは、彼は自分を見ていないんじゃないだろうかと思って怯え始めていた。

オレがこの、見知らぬ人間からエネルギーを感じる必要があったからといって、一体どれぐらいジョー・アレンで夕飯を食べたんだ?

さぁ、わからないね。

だが、オレのケツが彼を見るために座った四角いシートの形になるまで、オレはそこに座っていただろう。

そして、彼がそこにいないと、オレの心はここにあらずだった。
彼に会えない時、オレの心は、夜空にぽっかり空いた穴のようだった。

リンは、オレがそこで取り憑かれている男の顔を見るためにジョー・アレンまでやって来て満足したようだった。


「オレに気付いて・・・オレに気付いて・・・オレに気付いて・・・。
オレを見て・・・オレを見て・・・オレを見て・・・」

オレは、心の中でそう叫んでいた。


こんなことが続いていた頃、オレはテレグラフ誌の表紙を飾った。

オレは全然知らなかったんだが、
オレが26番テーブルで四角いケツになっていた時、ある男がその写真を見て、マイケルと何か関係があるんじゃないかと思ったらしい。
それで彼に話し、そのことについて聞いたそうだ。

“マイケルの新しい彼氏”――それは、誰かがページのトップに書きなぐったもので、雑誌から引き裂いてジョー・アレンのスタッフボードにピンで止めていたのだと、彼は後でオレに話してくれた。

オレがそのことをもっと早く知っていれば、オレのケツはすごくラクだっただろうな。



そして、オレ達が初めて話をした時、オレは震えていた。

40代の一人の男が、ティーンエイジャーと同じくらい怯えている。
オレは、マイケルのために自分の電話番号を書き留めた。

――やっと、彼の名前がわかった。

だがオレは、彼の番号を間違えて書いてしまった。

オレの心は、オレの指より震えていたのだ。


全神経を注いで、オレはケタを間違えた。
けれど・・・それは夜のことで、それはハプニングだった。

ちょっとしたこと。暗雲ではない。

だが、同じ感覚だった。
これが、そうだった。

スパンダー・バレエの歌で『Through the Barricades』という曲がある。

マイケルとオレは、それがオレ達のことを歌っている曲だと冗談を交わす。
なぜなら、それが荒野で育まれるある愛についての詩を歌っているからだが、オレ達のそれは、けれど、ゴミ捨て場で育まれた。

街の、ジョー・アレンの外の、汚らしいゴミ捨て場で。

レストランの中の慌ただしさや喧騒や人々の群れから離れて、
オレ達は本当に、初めて話をしたのだ。

暗くて高くて狭い、そこは、静かで荒んだ通りだった。
ネオンもなく、レストランも会社もない。

切り立ったレンガ塀の間の一本道、その中のゴミ捨て場で。


「オレはパーティに行く予定なんだ。良ければ一緒に行かないか?」

それは質問だったのか、懇願だったのか、
申し込みだったのか要求だったのか、オレにはわからない。

けれど、オレはとうとうここまで来た。

そして、マイケルは「ノー」と言った。
彼は休憩中で、あまりに忙しかったから。

彼は仕事に戻らなけりゃならなかったので、「ノー」と言った。

オレは、またもや怯え、拒絶され、はみ出し者の子供のようになった。

そこで、オレは取りあえずパーティに行った。
だが、オレは焦点が合っていなかった。

マイケル・・・マイケル・・・マイケル・・・。

結局、オレはそこを出て家に帰らざるを得なかった。


やがてオレは、言い方を考えた。
それは午前3時だった。オレはシャフツベリー通りにいて、仕事を終えたマイケルと逢うことにした。

オレ達は落ち合うことに同意し、ソーホーにあるラウンジ・シャドウに向かい、見上げると雨が降り出していたが、オレは中には入らなかった。
オレはマイケルが道に迷ったり、気が変わったり、怖気づいたりした場合に備えて、冷えと湿気の中をドアマンのように立っていたのだ。

オレは彼を知る途中だった。

オレは、まだ彼を失いたくなかった。


それから、オレ達は中に入って話をし、移動した。
夜明けの朝食をとるために、オールドコンプトン通りにある“Balans”で、ひと組のカップルのいる角の辺りで。
オレ達は6時頃・・・多分、その後ぐらいまでそこにいた。

オレの2人の友人は、オレと一緒にいたこの男が連続殺人犯ではないことを確認するために、そこで見張っていた。

だがオレは、既にそれを感知する能力が自分にあることを、人生の中で学んでいたと思う。
オレは、マイケルを知っていた。

その朝は寒かった。

灰色でない銀色の、都会の空。

オレは朝日が昇ることなど気にしなかった。

オレは、このまま夜が続いて欲しかった。たった今会ったばかりのこの男と、話をするのをやめたくなかった。
束の間を維持しなければならなかった。

「オレのところへ戻ってきてくれるか?」


オレの人生は、一夜限りのものなんかじゃない。
オレは、既にマイケルが結婚をするつもりはないということを見分けていた。
けれどそれは、今回のことを曖昧にするということではなかった。

オレ達は24時間の中だけで始まり、経過があり、終わるということをするつもりはなかった。
オレは24年欲しかった。24の人生も。


オレは、その瞬間を掴まえた。

オレ達は、サウスロンドンのオーバルにある彼のアパートへ行った。
そこは小さなフラットで、一つしかベッドルームがなかった。

そこはオレの世界じゃなかったが、いずれにしろオレは自分の妄想から出て、外の世界にいた。

オレは、彼のものだった。

オレは、ホームに戻ってきたのだ。


オレ達は6日間そのアパートにいた。
6日の夜と、6日の昼。

オレは着替えを持っていなかった。メイクアップ用のバッグは持っていたが、だから、決して快適ではなかった。


アンタらは、マジで恋に落ちたことがあるか?

アンタらはそれほど深く、早く、誰かとわかり合うことが出来るか?

イエス、
もしアンタらがバーンズDNAを持っているなら。オレは信じる。

オレの父と母は2人が出逢った時は、時間などなく、お互い母国語でもない言葉で話さなけりゃならなかった。
彼らは世界大戦と向かい合わせの場所にいた。
だが、彼らは、そのグローバルな愛がお互いの次の50年に繋がっていくものだということをわかっていた。

彼らはそのチャンスを生かした。
そして、今、彼らの内の一人がいなくとも、まだお互いを愛しているのだ。

マイケルとは、
彼を愛するのは簡単なことだった。
なぜならオレの両親のように、オレは彼に会う前から彼を知っていたと信じているから。
彼のアパートで、オレは、彼の手や、足や、腕を知っていたことを理解した。
オレは、それを全部、以前に見ていた。そして、全部、感じていた。

もう一つの世界か、もう一つの時で?
オレにはわからない。

だが、そのどれもがオレにとっては新しいものではなかった。

全ては正しかったのだ。


とは言え、
オレ達が一緒に籠っていた6日間は、全部がのんびりしたおのろけ話ばかりじゃあなかった。
オレは、あまりにも芝居がかっていた。
パニックがあまりにも多くの時間、オレを襲った。

オレは、マイケルがタバコを買いに店に行くだけで、自分を見失った。

あふれ出る涙の川。
痩せた、ホモの猫のように、彼の部屋のドアを引っ掻く。

彼はどこ?なぜ行ってしまった?なぜ、帰ってこない?
そして、彼は戻って来るのか?オレは、もう彼を失ってしまったのか?

アンタは彼のアパートにいる。
そのクソったれなドアのキーを持っているのは彼だ。
もちろん、彼は戻ってくる。

誰か、このバカを落ち着かせてくれ。


なのに、涙はまだ流れ、すすり泣き、怖がっていた。
寒さと吐き気は彼がキーを外し、オレの世界に戻ってきた時にやっと緩和され、
そして、オレ達は再び一緒になったのだ。


オレ達は2人共、その、初めて一緒にいられる大切な時を過ごすために、沢山のものを断った。
オレは、ミーティングも、アポも、友人の誘いも断り、マイケルは仕事のシフトを全部キャンセルした。

ショーもなかった。

オレ達は幻想の部屋を作りあげ、『キャバレー』とデヴィッド・ボウイのビデオを観ていた。

オレ達は、お互いを見つけたのだ。

スパンダー・バレエと紙くずかご。
それは、死ぬまでオレを笑わせ続けるだろう。

だが、他の歌もまた、同じようにオレの人生を区切り、色づけ、形作ってきた。
それらの歌は、オレが聴いて知っていたり、たとえそれがわかるまで年月がかかったとしても、何かを意味していたということで知っていたと思う。

オレが知っていた歌はオレが歩んで来た人生のある日や、オレ自身についてを歌っている。

ブロンディのデビー・ハリーの歌、『Dreaming』はその内の一つだ。

それは、オレがマイケルを見つけたことを、歌っているのだ。



だがオレは、一週間以上オーバルの公営アパートに泊まることが出来ただろうか?
それ以上メイクもしないで。
それに、オレのルーツであるショーもなしで。

とにかく、オレとマイケルは生活を主要にし始めた。
そして、オレ達は真っ先に始めるつもりだった。
オレは自分の家に帰ったが、すぐに、それがもう自分のものじゃないと感じてしまった。

マイケルは週末にやって来た。

彼は、もう二度と離れなかった。

オレは知っているのだが――彼が、オレに話したから――オレは、マイケルが友人と電話で話をしていた時、ソファで彼の隣りに座っていた。
その友人は彼にオレから離れるよう言ったのだ。
彼らはそれが雑誌やレコードカバー上だけの奇態だということを知っていたので、オレを掴まえるまではしなかったが。

それは、タブロイド誌のゴシップ記事の名残だ。


マイケルはオレより若く、とてもハンサムだ。
彼はかしこい。すごくかしこい。
そして、マイケルの友人は彼がオレよりすごくなるだろうと言った。

マイケルはジョー・アレンの仕事を辞めた。

それで、オレ達は本当にお互いのことを知ることが出来たんだ。

だが、皆が彼に言った。
お前の家をあきらめるな。アパートを出るんじゃない。

そのためマイケルは、しばらくそれをそのままにしておいたように、オレも一カ月間考えた。
けれど、その頃にはオレ達は、彼のためにオレの顔を変えたかったくらい完璧だった。
それで、彼はアパートに行った。
マイケルは、彼が取っておいた時間より10分以上そこに行っていることはなかった。

オレ達は自分達の家と、自分達の幻想と、自分達の世界と共に暮らしていた。



オレは他人が思うように、叫んだり投げたりすることを恐れて生きてはいない。
オレは、自分であることや、自分が欲しいものに妥協しない。

マイケルとオレは触角型だ。
オレは、彼に触りたい。オレは歩いている時、彼の手の温かさが欲しい。
道路を渡るのを待つ間、オレの指は彼の肩甲骨を感じていたい。

オレは、手を組み腕を組み、オールドコンプトン通りを歩く同性同士のカップルを見たことがない。
彼らはその通りの終わりに達する瞬間、見つけられるのだ。

アンタらは自分の感じ方や生き方を、製図のように変えることが出来るか?
何で、アンタらは自分がいる地図のグリッド次第で変わるんだ?

そう、マイケルとオレはそんなことはしない。
オレ達は沢山歩く。そして、もしオレ達が互いに触りたければ、そうする。
それなのに、どうしてオレ達には人が期待しているかも知れない騒ぎが起こらないんだ?
オレは、それが自分達がお互いに感じているものの、もう一つの表明だと思っている。

オレは、人々はバカじゃないと思う。
彼らが危害を加えることが出来ると思うのは、物に攻撃する時だけだ。
そして、オレは何となく考えるのだが、あるレベル上では人は、オレ達に危害や損害を与えることが出来ないだろうという事実がある。

それは、オレ達が健全だということだ。
オレ達はあまりに健康で、あまりに仲がいい。

マイケルとオレは、幻想の中で生きている。
そして、他のどんなバカ共にとっても休むことはとても健全だ。


オレが、サポートシステムを利用したのは今回が初めてだった。
オレ達は、まさにお互いがピッタリ合っていた。

身体的にオレはマイケルと触れ合う。
それは全然不格好じゃない。
それは、バレエのようにとても優しく、優雅で、滑らかで、全てがフィットしていた。

人には、多少のスペースが必要だというが、マイケルのことはまだ、言葉に変換出来た。

――彼は言う。
自分達は全てのことを話すことが出来ると。

笑い、泣き、口ゲンカし、店に行き、本を読み、映画を見る・・・。

多くの人々には2人以内の間でそれは起こるが、オレ達もマジで他の誰も必要ではなく、要求もありはしなかった。


そうして、その頃のオレは、やがてますますサポートシステムを必要とするようになった。


――イタリアでの闘病生活だ。






さて。

ここからは、前回の【整形編】に書いた通り。


ピートは、ポリアクリルアミドのせいで顔面崩壊を起こし死にかけたところを再建手術で九死に一生を得、その間をマイケルの献身的な看病のおかげで何とか生きながらえます。

そして、その快復途上で、あるTV番組から一本の出演依頼の電話をもらったところから彼の再生物語が始まるわけですが、
それは3週間にも及ぶ脱落形式の勝ち抜き同居生活で、ピートはお金が入り用だったためそれを引き受けるものの、彼がそれに出演するにあたって最も辛い問題が一つありました。

それは、マイケルと離れなくてはならなかったこと。


まさに大恋愛のさなかにあったピートにとって、それは精神に異状を来たすほど、厄介な影響を収録中に及ぼしたのです・・・。


谷間のDead Or Alive

2009-10-30 19:19:41 | ピート・バーンズ
入院している間、丸っきりピートの美声にも美貌にも触れることが出来なかった私。


大輔くんのことが一段落したら、やっぱり彼の映像が観たくてたまらなくなってしまい、昨日久々にYou Tubeのピート関連を漁っていたら、なんと東京ドームでやった『Discotheque In Dream』の動画が4つもあるのを見つけてしまった!!
(既に知っておられた方には今更ですが^_^;)

しかも以前UPしたやつより思いっ切り高画質!


ピートの美しいお顔から流れる汗や表情筋がしっかりわかるし、皮ジャンの意匠もはっきりしててめっちゃ嬉しい~~~

曲は『NUDE』から『Come Home (With Me Baby)』、『Baby Don't Say Goodbye』、『Stop Kicking My Heart Around』、そして、おなじみ『You Spin Me Round (Like A Record)』。

『Rip it Up』の時は口パク疑惑が拭えなかったんですけど、今回のは明らかに肉声だってわかりますよね。

音声が一定じゃないし、何よりピートの感情がすごーーーくこもってて、
特に2曲目からの彼の表情の切なさとかイッちゃってる感じとか、
観ててちょっと鬼気迫るものがあったりして、顔立ちはより端正になってるのに以前より凄みと色気が増してるのはなんでなんでしょーーーー(>▽<)
(特に3曲目の『Stop Kicking My Heart Around』)


いやぁ~、
やっぱ、これ見てると、ピートってすごい。

声だけでもすごいのに、あの表情は胸にせまるものがあって、ちょっと圧倒されます。



とにかく!

もう既に見られた方も、そうでない方も、【Big Brother編】が始まる前の余興として、この彼の素晴らしいパフォーマンスをしばし堪能して下さい。


では、どうぞ~!!
(あ、ちなみに私はこの時のピートの紫衣装が大のお気に入りでっす














追記

nakaさんの誘導により、その他の曲の動画も見つけることが出来ました~感謝です

ただ、上記のものより画質、音声、編集、共にちょっと劣るため、『Turn Around And Count 2 Ten』のみ追加でUPしておきますので、残りの物は各自でチェックしてみて下さいね~。

ちなみに、曲構成は以下の通りです。

1 Come Home (With Me Baby)
2 Baby Don't Say Goodbye
3 Give It Back
4 I Don't Wanna Be Your Boyfriend
5 In Too Deep
6 Turn Around And Count 2 Ten
7 Brand New Lover
8 Get Out of My House
9 Stop Kicking My Heart Around
10 You Spin Me Round (Like A Record) 


今回、これ観て私、『Stop Kicking My Heart Around』の良さを見直しましたね!
(個人的には『I Cannot Carry On』も入れてほしかったですけど


では皆様、
改めて、ピート三昧行ってみましょう~~~


ピート・バーンズ考 【整形編】 4

2009-09-24 14:32:36 | ピート・バーンズ
皆様、シルバーウィークはいかがお過ごしでしたか~?

わたくしはと言えば、相変わらずダンナの実家に御厄介になっておったのですが、今回はちょっとトラブルもあってストレス溜まりまくりな休日でした


「亭主元気で留守がいい」とはよく言いますけど、

そーいえば、ピートとマイケルの間の秋風はどうなったんでしょうなぁ(-。-)y-゜゜゜
ちゃんと解消したのかしらん?


自叙伝書いてた最中は、それこそラブラブモード全開だったピート

思えば、この時期はサイアクでありつつも、彼にとっては最も甘美な時期でもあったんだろうなぁとは、自叙伝を読んだ第3者である私の感想ですが、



――さて、その真意は?




ともあれ、続きであります。


1年半にも及んだ、辛く過酷な闘病生活も終わりに近づいた頃、それはやって来ました。

Big Brotherへのオファーです。

ところが、その頃ピートはまだ重要な手術の最中で、自分で返事が出来る状態ではなかったので、プロデューサーからの最初の連絡を受け取ったのはスティーブでした。
(闘病生活の間ピートの傍に付き添っていたのはほとんどマイケルですが、スティーブもBig Brotherの辺りまでは何やかやと彼の面倒を見てくれてたようです)


「スティーブは彼らから話を聞いて、『ノー』と言った。

オレがマイケルに話すと、彼はこう言った。

『アンタはクレイジーだ。それをやるべきだね』

だが、オレは言った。

『オレの顔を見てくれ。オレは切り刻まれたんだぜ?』

マイケルの意見はこうだった。


『アンタはテレビに出演して、その顔を皆に見てもらった方がいい』」



けれど、ピートがその出演を受けた一番の理由は、お金のためでした。

彼は、度重なる手術の費用や離婚の費用を捻出するために、家や著作権など全財産をつぎ込み、文字通り一文無しの宿無しにまでなっていたからです。


そして、それが自分の運命を変える朗報だと気付くその前に、ピートには越えなければならないもう一つの山がありました。

それは、2005年の10月に起こった上記の手術の際に起きたことで、
まるで、神様が、これが最後の試練だよ、と言わんばかりの出来事でした――。




オレは、自分の顔と唇を再建するために、イタリアで18か月もの間ひどい手術に耐えた。

その中でも一番ひどかったことの内の二つが2005年の10月にやったものだ。

一つは、優秀な外科医が皮膚と細胞と脂肪を集めるために、それらをオレの胃壁から切り取らなければならなかった時で、他に方法がなかった。
そしてその結果、オレの唇と頬には組織と血流を再生させるための注射がなされた。
それは、すごく難しい作業だった。

だが、オレは、自分の胃に施されたことがどうして必要だったのかわかった時、言葉を失った。

オレは、Big Brotherに打ち込むことにした。

もう一つの手術のためにお金が入り用だったからだ。


その手術は、どう考えても腹壁形成を意図したもので、見苦しい傷跡を残し、すごく痛いので、誰もあっさりとはやりたがらないものだ。

オレは選択肢を迷っていた。
だが、自分の腹で古くなり、ただれていた暗紫色の腐肉を見て、オレは決断した。


まずその手始めとして、オレは病院と全身麻酔への恐怖を克服しなければならなかった。そして、それには3日はかかりそうだった。
けれど、それは速やかになされなければならない。

オレは不適合で太っていたので、外科医と医療スタッフの腕にも関わらず、胃の中絶手術を受けることになってしまった。



ところが、目が覚めてみると、オレは自分の右腕の感覚が無くなっていた。

試しにそれを上げようとしてみたが、右腕は動かなかった。


オレは、ものすごいショックを受けた。

オレは胃の手術に気を取られて、自分の右腕が使えなくなるかどうかわからなかったのか?
それは、なんで起こったんだ!?

そうして、ありとあらゆる専門家が呼ばれた。
ほとんどは物理療法家だったが、誰も何が起こったのか正確に分析出来る者はいないように見えた。


一体どうやって、オレは腕一本しか使わないでテレビに出ることが出来る!?

オレは、必要不可欠だった化粧をすることは言うまでもなく、顔を洗うことさえ出来なかったし、その上、また激痛に襲われた。
それはもう、筆舌に尽くしがたいほどだった。

そしてオレは、巨大なプラスティックボトルがついたカテーテルをペニスの中に入れていたのだが、それも痛くて、2,3時間おきに中身を出さなければならなかったのだ。


オレは泣いた・・・。

オレが何をした?


オレは、ショックを受け、怯え、そして不幸を嘆いた。

新年にBig Brother Houseに入ることはおろか、オレはイギリスに帰る準備さえ出来ていなかった。
オレは、医学チームの献身と技術に対しては大いなる称賛を抱いていたが、その時は、まるで神が自分を見捨てたような気がしていた――。



やがて、3日ほどが過ぎた。

オレは全てがぼんやりしていたので、それがどのくらいの長さだったのか、はっきりとは憶えていない。
一つだけ良かったことは、オレは、鎮痛剤によって余りにぼうっとしてたので、マジで何が起こっているのかわからなかったということだ。

オレは、病院から出され、マリナのアパートへ戻された。
そして、ベッドに横になった。
胃の大手術をして、そこから流れ出てくる血を、チューブから傍に二つあるプラスティックボトルに排出させるために。

オレがバルコニーから身を投げ出さなかったのは、ただ単に大量の鎮痛剤のおかげだった。
それと、マイケル。

彼が吐かなかったのは、オレより耐えていたからだ。

オレは鎮痛剤を注射され、トイレを介助され、オレの腹周りで音を立てて流れている血のバケツをつけていた。
そしてマイケルは、オレの気を紛らすために、DVDを見せてくれ、オレのベッドの傍に座っていた。

マイケルは、その内、彼の娘に会いに行くために、クリスマスにイギリスに帰国した。

そして、どうにかオレは、自分自身を取り戻すため、倍の時間をかけて回復しなければならなかった。
だが、オレは飛行機に乗ることはおろか立ち上がることさえ出来なかったので、スティーブがオレを運ぶためにバンを運転してきてくれた。
そして、オレの所持品のほとんどは、クリスマスに間に合うようイギリスに送られた。

そんな風だったので、オレを起こすには余りに薬物を投与され過ぎているのを見た彼とドライバーのアリは、それから3日間を棒にふった。
そして、オレはやっと、かろうじて意識が回復し、思いつくままめちゃくちゃ不格好なコルセットをつけられ、バンに乗せられた。

オレ達は、ひどい状況の中を何日もドライブした。吹雪や道路の氷結と戦いながら。
イギリスへはフェリーで乗り込んだ。そして結局、ノッティングヒルのとある場所へと到着した。


やがて、オレは自分の家を見て、とても混乱した。

そこは、オレとリンが20年間一緒に過ごした場所だった。
彼女はその頃には既に引っ越していたが、オレを出迎えるために家を飾りつけて待っていたのだ。

そこは、ほとんど空っぽだった。
オレが働くことが出来なくなってから、2年の間をカバーするために売られていたその家は、そうなる前に最期のクリスマスを迎えた。
リンは、オレがそれを好きだということを知っていたので、豆電球を買いに街へ行こうとしていた。彼女はマジで帰宅するつもりだったらしい。

だが、オレは、反応することさえ忘れていた。

全てが奇妙だった。

オレの友人のGozraもやって来たが、オレは自分が「やぁ」と言ったかどうかさえ、憶えていない。


リンは、オレの胃の包帯を変えるため、一晩中傍にいてくれた。
――ひどい作業だ。
だが、誰かがそれをしなければならない。
彼女はそれを見て、危うく吐き気をもよおしたが、明るくやろうと努めてくれた。

「あなたのためにお腹を洗うのは、やりがいがあるわ」



だが、そのクリスマスの期間のほとんどが台無しになった。

オレは、その時はそれがわからなかったが、あらゆる麻酔薬や鎮痛剤、そして、それによって受けたトラウマが自分に影響を与えているのだと思った。
それは、オレの精神的な安定を損ない、気分を害していた。

オレは目覚めると、舞い上がる凧のように気分が高揚したり、路上の缶のように低くなったりしていた。そして、激しい一瞬はオレ自身を二の次にした。


多分、一番サイアクだったのは、不眠症だった。
それは、ほとんどずっと続いていて、オレが横になっている時経験したフラッシュバックが原因だったのだろう。


やがて、オレは知らない内に手術台に戻っていた。

オレは眩しい光を見た。

そして、手術の間着用していたに違いない外科用手袋の匂いを嗅いだ。

オレは、すっかり目を覚まし、暴れた。
そして、どんなに大量の睡眠薬を飲まされても、オレは目が覚めたままだった――。



長い間目覚めたままでいることの影響の内の一つは活動亢進だ。

オレは、スピードがアップし、大勢の人間が心配しないよう気の利いたパーティの盛り上げ役になることも出来た。
それは、オレとマイケルがいつもやってたことだった。


ロンドンを目前にして、Big Brother Houseに入る前、そんな短い時があったのだ。


やがて、マイケルが、クリスマスイヴの前日にロンドンに戻って来た。

そして、オレ達はロンドンで一緒に、一日狂ったように買い物をした。

オレ達は大抵、その時期の家をクリスマス一色にする。
マイケルはクリスマスディナーを用意してくれる。

だが、今回オレ達は二人っきりだった。

彼と一緒に時を過ごすのは素晴らしかったが、理性は違っていた。

オレの旧友は、オレがマイケルといるようになってから、オレが変わったと思うようになった。そして、彼らはそれをよく思わなかったし、マイケルをよく見ようともしなかった。

それで、彼らはオレから離れていった。

もちろん、オレは変わった。

オレは、自分が探していたものを見つけた――マイケルだ。
そしてオレ達は、それほどお互いが通じ合っていた。

それは、誰もが理解しがたいやり方でオレ達を結び付かせた。

だが、それで二人っきりでクリスマスを?


オレは、あまり幸せではなかった。



クリスマスの直後になっても、オレの容体が芳しくなかったので、オレはイタリアに戻らなければならなかった。
まだ、再建された唇にも多くの修正が必要でもあった。

そのため、帰宅から4日後の12月27日に、オレはジェノバ行きの飛行機に乗っていた。
スティーブがオレと一緒に来てくれ、マイケルは家の灯りを絶やさないでいてくれた。
それは日帰り旅行ですむと思われた。
だが、事態はそんな単純じゃなかった。


ドクターがオレに注射した時、オレの唇は黒ずんだ。彼は、それが壊死だと思った。
――言い変えると“死”だ。
彼はオレが唇を失うかも知れないこと、そして、要観察のために3日間はそこにいなければならないことをオレに伝えた。

オレは、ものすごく怖かった。

オレの上唇がなくなる?こんなことで!?

オレは、自分がその時どう感じたのか話すことが出来ない。


幸いにも、それは、もう一回手術をした後は全て上手くいった。


そして、オレはBig Brotherの新年のインタビューを受けるためにちょうど間に合うように、飛行機で帰ることを許可された――。





さて。

ここから話はBig Brotherへと繋がっていくのですが、

皆さんはここまでを読んで、どう思われましたか?

途中事実関係が曖昧なところや、その後の展開に飛躍があったり、どこまでが薬物による妄想かわからないところもなきにしもあらずですが、

ただ、明らかなことは、彼は整形によってあまりにも多くのものを失い、それによって自分と自分の周りの人達の運命をも変えてしまったということ。


そして、ピートは、動画を見ると全然そんな風には見えませんけど、Big Brotherに入る直前まで何らかの手術を受けていて、一応回復はした形でハウスに行きますが、
実は撮影中に2回ドクターを呼び、薬物による不眠症と、疲労と、マイケルの不在という事実に悩まされ不安を抱えながら、精神的にも肉体的にもまだまだ本調子ではない中、本人はベティ・デイビスやジェーン・ハドソンの役を演じつつ、何とかこの復活ショーをやり遂げたのです。


そう、それはまさに復活でした。


ピートは、多分、自身でも「それが、自分に与えられたもののように思えた」と言っているように、このBig Brotherがなかったら、二度と表舞台に復活してはこれなかったんじゃないかと思います。


そして、その結果、社会に受け入れられ、理解と発言権を得た今、彼は自分のショーをやることと、本を書きたいと言っています。
(ショーはもうすでにやっていますけどね)


その本とはもちろん、美容外科に関する本で、暴露モノではなく、ちゃんとしたアドバイスや情報を得られるものにしたいそうです。

「オレは人々にアドバイス出来る資格が欲しい。
なぜなら、美容外科はこの頃ほとんど義務的で、オレは医者が彼らのやることに対処することが出来ないことを恐ろしく思うからだ。

そこには、新しいモノに対する競争がある。
そして、それらの内の幾つかは、長い間をかけて十分なテストをされているわけではなく、とても危険な領域に入り込んでいるので、常に本当の利益をもたらすとは限らない。

オレは、再建手術や合併症をカバー出来る何らかの新しい医療保険がなければならないと思う。

なぜ、オレがこれら全ての整形手術に対して特に発言するのかというと、彼らはその痛みや苦しみを見せないからだ。

彼らは結果は見せる。

けれど、その複雑なプロセスの現実を見せようとはしないのだ。


それは、とても痛むのに!」

これは、まさに、ピートの実感から出た言葉ですよね。

ピートが自叙伝の中で、自分の病んだ唇の写真を載せているのも、このためです。


自分が未知の美容整形をした結果、どうなったか。


それを、皆に知ってもらうこと。


そういう意味では、彼は新たな人生のやりがいを見出だしたのかも知れません。

でも、私達一般ピープルからすれば、その犠牲はあまりにも大きすぎて、多分ピートのような精神的境地には、私なんかきっと一生なれないです(^_^;)


ただ、そうは言っても、ピ~チクさんがコメントで仰っていたように、これはピート一人では絶対乗り越えられなかったことでもあると思います。

彼が苦しんでいた時、傍にてくれたマイケル、スティーブ、リン、それからマリナ、もちろんピートの顔を治してくれたドクター、医療スタッフ、

――そして、Big Brother。


ピートのこれまでの人生の大転換点であるこの時期は、それこそ上記の人達が複雑に絡まり合ってそれぞれの運命を分かち合っています。

特にマイケルとBig Brotherとの出逢い抜きには、この【整形編】全体もまだ未完であると言っても過言ではないくらい。
(ピートとリンが離婚した原因の一端はマイケルとの出逢いにあるのですが、それを書こうと思うと、必然的にBig Brotherがからんでくるのです^_^;)

なので、読者の皆様には【自叙伝編】に入る前にもう一つ、【Big Brother編】なるものを【整形編】の補完という形でお届けしたいなと。


そこでは、マイケルとの出逢いから今回の【整形編】を通りつつ、Big Brotherでの動画も交え、ピートの心情を追っていけたらと思っています。


ただ、皆様に予めお断りしておきますが、
ピートがマイケルのことに関して書いてる時は、めっちゃバリバリ“恋するオトメ”モードになってるので、そこら辺だけ心しておいて下さいませ
(ホント、これが50オトコの言動か!?とマジで思うくらいのオトメっぷりなんで^_^;
・・・まァ、
そこがまたピートのもう一つの顔って感じで、可愛くもあるんですけどね~~~


てか、

マジな恋愛体験したことのある方ならきっと、これは自分と重ねて「わかる、わかる~!」とか、「あー、でも思い出すとこっぱずかし~
てな類いのエピソードや感情満載の話になると思いますので、こうご期待!!

ピート・バーンズ考 【整形編】 3

2009-09-19 11:26:46 | ピート・バーンズ
昨日、久しぶりにピートの公式を覗いたら、トップページが変わってましたね~。

あれは、ダーティ・ディスコとのコラボCDのカバー写真なんですかね?

“Pete・Burns”の文字の方がでかくてちょっとビックリしました
(やっぱり、腐っても鯛、過去の業績や知名度は侮れないもんがあるんでしょう)

でも、何にしても、自叙伝の中ではもう歌はあきらめたみたいに書いていたピートが、またこうして彼の歌声を聴かせてくれるというのは、やっぱり嬉しいです。


それから、ピートが初めてそのビジュアルに心を動かされたP・P&マリーの女性シンガー、マリー・トラバースが亡くなったという報道もありました。

時の流れを感じつつも、私は未だ彼の原点と今後の行方を追っている最中です。



その、途中経過の【整形編】、

ある女性がピートの公式サイトを見て、彼にイタリアの有名な再建手術医を紹介したところまでが前回までの内容でしたね。

今回はいよいよ、その彼の顔を再建するまでの過酷な闘病生活と、そこからBig Brotherに出演するに至るまでの経緯、現在のピートの心境までを字数が許す限り彼の言葉でお伝えしていこうと思います。
(ま、例のごとく、字数が足りなくなったらまた次回ということで、ご了承いただきますようm(__)m)



それでは、どうぞ。


「イタリアに形成外科医がいます。私から彼に、話をしましょうか?」

オレはすぐに返事をした。
そして、間もなく彼から電話を受け取った。
その医者はイタリアで数え切れないくらいの症例を見て来たので、それがどんな症状か、はっきりとわかっていた。
彼と、彼の手術の時のシニアドクターが、1週間の内に飛行機に乗ってやって来た。オレが、飛行機に乗って行けなかったからだ。

オレの顔は、ものすごく腫れていた。
彼らは、それが現在進行形で起こっていることに、少なからず動揺した。

その形成外科医は、ガン再建のスペシャリストだった。
彼はオレに、問題のある物質は取り除くことが出来ると話してくれた。だが、オレは顔の大部分を、その構造部から取り除いてもらわなければならなかった。

全ての毒素を、そこから削り取らねばならない。
そして、顔にはオレの背中の皮膚を縫い付ける。

オレは、イタリアへ飛んだ。

ところが、彼がオレの顔を開いた時、その症状は彼が思っていたよりもひどかった。それで、1時間ほどの手術になると踏んでいたところを、5時間半もの時間がかかってしまった。
そして、全てが回復するには4か月かかるだろうということだったが、実際には1年半もの歳月がかかってしまったのだ。
再建手術も、その時は4つだけする予定だったところ、結局100以上もすることになってしまった。

オレは、(ガンではなかったが)顔中と首に腫瘍が出来ていたので、それを全部取り除かなければならなかった。
その腫瘍を取り除くことの出来るたった一人の人間は、表面が蝕まれた状態になっている患者を専門に扱っている、ガン再建のスペシャリストだった。

彼は、もしオレが火傷をしたり、手榴弾で顔を爆破させられたり、または、もし顔面でフロントガラスを割ったりしたなら、その方がもっと簡単なことだったろうと言った。


オレの道のりはそこから始まった。

そして、やれやれ、
それは何ていう道のりだっただろう。

オレは、唇の大部分を失くした。
オレはそのプロセスを皮膚の折り返し運転と呼んで、ほとんどの唇の組織を取り除いてもらった。それから幹細胞を入れ――その目的のために幹細胞を唇に入れたのは、オレが世界で初めての人間だった。
それから彼らは、オレの胃壁を摘出し、新しい皮膚を再生させるため、古い皮膚を全部剥がした。
そして、既に無かった唇の場所に組織を作り直し、再び成長させ、血流を延ばした。

彼らは皮膚の一部を切り取らなければならなかった。それは帝王切開よりも大変だったが、幹細胞をオレの顔で再生させるために、それを切り出した。

オレの腹部には、ヘソより下にマイケルの名前を彫ったタトゥーがあった。

“Micheal, you are my love, you are my heaven, it's written in the stars of the day we met”
(マイケル、アンタはオレの愛、アンタはオレの天国、それは、オレ達が出逢った星の下に書かれている)

それは、とても美しかった。

だが、彼らは尻から尻へ、ヘソの辺りまで皮膚を切り取ってしまったので、オレはその辺りの感覚を全く失ってしまった。
そして、今ではそこの部分は、岩のように固い。

その後、克服しなくちゃならないもう一つのハードルが出来た。

オレの唇は、両方閉じられ封をされていたのだ。

何人かの人間は、それを天の配剤だと思うかも知れない。だが、ジョークを言ってる場合じゃなかった。
オレは、顔の横に穴を一つ開けていた。
オレには唇がなかった。

――組織を発達させ、それから切り離し、口に辿り着かせなくちゃならなかったから。

オレは、もう一度話すことを学ばなければならなかった。

7か月もの間、オレは、食べることも、キスすることも、歯を磨くことさえ出来なかった。


もう一つの要素は、影響を受けたのはオレの唇だけじゃなかったということだ。

それは、唇から始まったが、やがてあらゆる場所へ移動した。
頬、顎、首に至るまで、それはしみ込んでいたのだ。
そしてオレは、重要な神経の損傷をも負っていたので、それで話すことも、食べることも、飲むことさえ出来なかった。
オレは、意識不明だった。

ある段階で、彼らはひょっとしたら、両方の唇と鼻の一部も取り除くつもりだったのかも知れない。
オレは、自分が目覚めた時に、侵された領域の一部――唇か、顎の一部か、頬か、咽喉仏、あるいは目を切り取らなければならないという趣旨の同意書に、サインしなければならなかった。

それで、オレは起きた時不思議に思った。

・・・それはまだ、そこにあるのか?

オレは18か月の間まるまる、毎日ずっと監視下にあった。
なぜなら、組織が壊死するか、拒絶反応を起こす可能性があったからだ。
ドクターが休みを取った8月の2、3週間を除いて、オレは1週間に2つづつ手術をした。

それが、オレが自分の再建手術を通してやったことだった。


オレのドクターはなんという天才だ。
オレは、彼に出会えたことを神に跪いて感謝する――彼は英語をほとんど話せなかったのに。

それはなんて、すごいんだ!

彼らにとって“ピアノ”を意味するイタリア語は“ゆっくり”で、それは、オレにとっては精神的な拷問だった。
彼らには、それが“カルバリの丘”(注:ラテン語で“ゴルゴダの丘”。言わずと知れたキリスト磔刑の場所)への道だということがわかっていた。
だから、ドクターはオレが自制心を失っていないことに驚愕した。

――オレは、やり遂げたんだ。

オレの粘り強さ、体力、そして回復力に対するドクターの敬意は、オレを全く新しいレベルに引き上げてくれた。
人はそれをおかしなことと笑うかも知れないが、けれど、そんなヤツにはオレが何をやったかなんて想像がつかないだろう。

それは、降りかかると、とんでもない災難だ。
だが、他にもオレの顔に入れられたポリアクリルアミドと同じものを打っている人間が数千もいる。
オレのような問題は、4年くらい前までは全く起こらなかった。

そう、それは、仮想時限爆弾のようなものだ。

医者は、まだアイルランドでそれを使っていた。オレが助けを求めたドクターのほとんどもまた、それをやっていた。

だから、彼らは、オレの状態に対して誓願書を与えることを拒否したのだ。
彼らはそう判断した。
そして、オレをきちんと取り扱うと言った。

それは、それほど大したケースではなかった。
それは、ワンショットで起こすことが出来た。それは、1回の注入でオレが耳にした何人かに起こっていた。

そして、それはまだ進行中だ。

オレにはまだリンパ節に若干の腫瘍があって、腋の下と首に移動している。
ドクターは、システムがそれを消化するまで、まだ4、5年はかかると言っていた。

一方で、それは出てくるのを止められてしまうので、天然物質で常に包んでおかなければならない。でなければ、それはまた我が道を押し通そうとするからだ。
そこには、オレのシステムがずっと残っていく。
それは、組織片に巻き込まれ、層の上に層を作り、やがて組織の一部になる。

だが、いずれ組織は退化する。
それはポリアクリルアミドもそうなのだ。


オレは今、電話チェックと薬物でその炎症性の経過をコントロールしながら、モニターで毎日コンスタントに管理されている。
それは、多分10日を基本としてあともう3年続くだろう。


だが、オレがイタリアで耐えなければならなかったのは、手術だけじゃなかった。

長い遠征からではなく、彼らがオレを病院に入れてくれなかったからだ。

オレは、その手術のほとんどを外科医の別荘でやらなくちゃならなかった。
そこは、全てを修道女によって運営されていたカソリックの病院だったのだ。

初めての5時間の手術は、ジェノバのヴィラ・セリーナという病院で行われた。その後は、彼らは非常時に鎮痛してもらう時にだけオレを入れた。

その時、オレの顔は6倍のサイズに膨れあがっていた。炎症が視神経を襲っていたので、視力も失いかけていた。
オレは吐いた。そして、余りにも痛みがひどくて腸と膀胱から汚物を垂れ流していた。

その間、8時間オレは外科医と接触することが出来なかった。
なぜなら言葉の壁があったからだ。
やがて彼らはその場所へ、ヴィラ・セリーナ病院へ急いでオレを連れていき、モルヒネとペチジン(注:鎮痛剤の一種)と大量のバリアムを全て静脈注射で入れた。

最後の手術では、オレの胃壁の部分と脂肪の層を取り出す必要があったが、これはすぐに病院で行われた。時間も正確に利用出来た。

オレは、手術が終わってもメイクをしないよう言われた。
それで、もちろん、オレはその時集めることが出来た化粧を全てやった。

それからオレは、自分の座興のために、彼らが血圧を測りに来た時、黒いベビードールのネグリジェを着ていてやろうと思った。
それはマジでオレを面白がらせ、彼らを困惑させるだろう!

そうして、それは敢行された――彼らは全員でやって来てオレにサインを求め、花束をオレにくれたんだ!


メイクアップすることは、オレの生き様だ。
だが、オレがメイクするもう一つの理由は、外観を損なうもの――傷のためだった。
その傷跡は、オレが自分自身と向き合うことが出来なかったほど恐ろしく、直視しなければならなかったものは、公的な体面を保てる範囲内で済む程度のものではなかった。
なぜなら、オレが街へ出かけると、メイクをちゃんとしている時でさえ、人はオレに“醜い”という意味の「ブルート!」という言葉を叫んだから。

だからそれは、今までオレに起こった何よりもトラウマになるのだ。


だが、オレは傑作で護られた。

オレはクリスマスを過ぎ、次の年の夏もぶっ通しで、年中マイケル・ジャクソンのようなマスクをつけていた。
それは、黒のヴィトンのスカーフで出来ていたが、それでもやはり、外科用マスクだった。


イタリアでの時を通じて、オレを支えてくれたのはマイケルだった。

オレは、自分の周りの人間なら誰でもそうするように、身を隠した。
オレは、何が起こったのか、誰にも話すことが出来なかった。

オレは、嘘をついた。

イタリアへはレコードを作りに行くと言って。
精神的にまいっていたオレは、シャットダウンモードになっていた。


オレは、死にたかった。

オレは麻酔にかかる前――バルビツール(鎮静剤)の錠剤を大量に飲んでいた。

オレは、自分が心臓マヒを起こすことを望んでいた。


・・・だが、あのな?

オレは、毎回目が覚めた。


そんなんで、仕事に行けなかったことは明白だろう。


オレ達がアパートを探していたことも、影響を与えた。
(注:この当時、ピートは既にリンと別居状態で、マイケルと二人でアパートに住んでいました)
オレ達はアパートを借りていた。そこは、女主人が向かいに住んでいて、オレにバルコニーに出てこないよう言っていた。
「テラスに出ないでちょうだい。あなたはお日様が好きじゃないんでしょう?」
だが、オレ達は何度かテラスに出ていた。

やがて、賃貸契約が切れると、オレ達はそれを書き変えるのに疲れてしまった。
オレ達は許可されなかったのだ。

それで、オレ達はホームレスになった。


やがて一人の天使――マリナ・ザッコーがオレ達を助けてくれた。

彼女は、カナダ人とユーゴスラビア人とイタリア人の混血で、イギリスの学校で英語の教師をしていた。
そして、オレの外科医の患者仲間で、彼に英語を教えていたのだ。

ドクターがオレを検査した時、彼は彼女に翻訳をするためにロンドンへ飛んでくれるよう話した。
そして、彼女はすぐにオレに会い――彼女はオレが誰だか知りはしなかったが、こう言ったのだ。

「聞いて、アナタは私の家に来て暮らせばいいわ」


彼女は、Bogliascoと呼ばれるジェノバの近くの海辺に住んでいた。
そこは、小さな家で、彼女は2匹のハスキー犬を飼っていたが、そいつらは今まで一度も建物から外に出たことがなかった。

なので、オレ達は別のアパートを探した。
そして、マリナが最初に物件を見に行った。オレ達はアパートを勧めてもらったので、2つ見に行ったのだが、その内の一つは7年の契約をするために6か月利用出来なかった。
それで、オレ達は7年分の賃貸料を払うと言ったにもかかわらず、彼らはこう言った。
「ああ、ダメ、あなたには無理」

オレ達はもう一つのアパートに行った。
オレ達は言葉がわからなかったが、彼らは1年間の契約はおろか、オレ達にそこにいてほしくないという態度が見え見えだった。
家主は多分オレ達が出て行って、金持ちで有名なポップスターにでもなっていれば「考えなくもない」というようなことを実際言っていた。

オレは、ものすごく傷ついた。
オレは、アパートさえ手に入れることが出来なかったのだ。


それで結局、オレ達はマリナのところに住むことになった。

マリナは、どうやっても裕福な人間ではなかった。それでも、彼女は毎日オレ達に2,3ユーロを送金してくれていた。
(注:当時はいくらだったかわかりませんが、現在1ユーロは日本円で換算すると、およそ134円です^_^;)

だが、オレ達はどのくらい貧しかったんだ?

オレは手術から回復しつつあったが、家から出ることが出来なかった。
村には何もなくて、オレとマイケルには英語のテレビも、英語の本も、英語の雑誌も新聞もなかった。
オレ達は、それが都会にしかなかったからブロックバスターでDVDを借りることも出来なかったし、旅をするために2ユーロを払う金さえなかった。

オレ達には髪を洗うシャンプーもなかったし、歯磨き粉もなかった。

そしてオレは、以前の仕事に戻ることも出来なかったので、他人の夢を利用することも出来なかった。

マイケルは何枚かのナイキのショートパンツとベストを着ていたが、オレは一対のトラックスーツのボトムと1枚のTシャツを何カ月も着ていた。

それは、オレが持っていた全てだった。
そして、オレ達は何を食べていたのか。

オレ達はコーヒーの中にヨーグルトを入れていた。そして、そこに多少の味をつけるために、ベーコンの欠片を入れて補っていた。
ツナは贅沢品だった。

オレ達は、自分の名前に実質的なものは何一つ持っていなかった。

だが、それでもオレ達の頭上に屋根があり、体の下にはソファベッドがあったことは、マリナのおかげだった。


ささやかな幸運を感謝しよう。

オレは今まで、スーパーで40ユーロ使ったことがある。
それは自分達の家での話だ。

一体誰が、食べ物に40ユーロも使うんだ?



オレは、マジでイタリアで全て失くしたと思った。

マイケルはオレの傍にいてくれたが、オレは薬物を投与され、とても不安だったので、彼と一緒にいたくはなかった。

時々、人は、心は余りに離れているのに誰かと一緒にいたがる。
オレは、自分が戻って来た時、誰といたかったのか、あるいは何が出来たのかわからなかった。

オレ達を互いに支えていたものは何だろう?

マイケルは、オレのために仕事を辞めていたので、金を稼ぐためにオレは何をすべきだったのか。
そして、彼はもちろん、オレに護ってもらうためにやって来たわけじゃなかった。
だからと言って、ああ・・・、何てことだ。

彼は、おかげでひどい目にあった。

オレは彼にとって、全くサイテーなヤツだ。

マジで、最低だった。



そんなあらゆることがあった後では、Big Brotherなんて子供の遊びだった。

片手でバットを打つようなもの。
象のケツにスズメバチが針を刺すようなモンだった――。



ピート・バーンズ考 【整形編】 2

2009-09-17 08:53:41 | ピート・バーンズ
前回のエントリーでは、ピートがいかにして整形をするに至ったかとその理由について、書きました。

で、今回はそれを踏まえて、では実際彼がどのようなことをやったのかを書いていきたいと思っているのですが、
ピートはその自叙伝の中の“plastic fantastic(ステキな整形)”の章で、自分がやった整形手術とその顛末について微に入り細にわたって語ってくれているので、
せっかくだから彼のその言葉をそのまま引用しようと思います。

その、彼の話が終わった後で、私なりの感想など挟ませていただこうかなと。
(翻訳自体も、もし間違いなどありましたら、その時は是非ご指摘いただけると有難いですm(__)m)


では、皆様、どうぞ。


オレは1985年に鼻を手術した。だが、それは曲がってしまった。
その時オレはトップオブザポップスで『You Spin Me Round』を歌わなくちゃいけなかったから、5日後には包帯を取った。なので、副木をあてる時間がなかったんだ。
それが、オレがアイパッチをつけていた時期で、傷をカバーしていたのさ。

その後、オレは頬にインプラントを入れた。
オレは有名な形成外科医を訪ねた。彼は、移植用の組織片でオレの鼻を治してくれ、頬にインプラントを入れ続けてくれたが、それをやったにも関わらず、あまり上手くいかなかった。

1987年には、オレはおそらくイギリスで最初のボトックス注射をやった人間だった。
オレは歌を歌っている時、自分の鼻が小さくはなっても、額に皺が寄るという事実がイヤだった。
オレはそれを、“ジョージ・マイケルの不愉快な額”と呼んだ。なぜなら、ジョージ・マイケルの額は、眉間に小さな男の子がかがんでいるように見えるからだ。
オレには、それが自分をグレムリンみたいに見えさせると思った。

オレはそれをいじる方法があることを知っていた。
ある特定のハリウッドセレブ達が無表情のように見えたからだ。それは、ほとんどデスマスクの顔に近かった。
それで、オレはその分野の外科医へ行って、それがどういうものなのか尋ねた。

「その施術は、頭部の筋肉を切るのです」
彼は、言った。
「しかし、それ以外にも方法はあります。それは、ボツリヌス菌という毒素を使用するもので、子供の痙攣やひきつけに使うものです。我々は眉の間の筋肉――眉間で試しにやってみました。すると、それは完全に麻痺するのです」
参考:ボトックス(A型ボツリヌス菌毒素)について

オレはためらわなかった。
「ドクター、それをちょっとオレに打ってくれ!」
それで、オレは大体8か月おきぐらいの割合で、この医者のところへ出向いた。
そして、少しずつ打ってもらった。

「バカげてる」
「お前はモンスターだ。何をやったのか話してみろ。お前はオレがお前のつま先を踏みつけても、瞬きさえしないじゃないか!」
誰もがこう言った。

まぁ、いいさ、今に見てるがいい!


だが、オレは決して自分の目だけは何もしなかった。そして、額もリフトアップしなかった。
そしてそれはやがて、唇を厚くすることに向けられていった。


それは、物事がマジで悪くなって行き始めた時期だった――。


オレが最初に上唇に組織片を入れたのは、1992年のことだ。

それは、“アロダーム”と呼ばれ、赤ん坊の包皮から作られたもので、関節炎にかかった人が脊椎や膝に使うものだった。
組織片は骨が摩擦を起こすのを喰い止めてくれる。それは、完璧に適合した有機的な組織片の一部で、不変的なものだと思われていた。

だが、それはオレの上唇の中で縮んでしまい、灯りの下で小刻みに動く虫のように見えた。

それでオレは、その組織片を取り除いてもらうためにハーレー通りのスペシャリストのところへ行った。
すると、オレが一対のピンセットを使って自分でそれをやっているところで、彼はこう言った。
「組織片を取り除く代わりに、完璧に適合した別の溶液を、唇の中と周りに入れてみませんか?」

彼は、それが何なのかオレに教えてくれた。そして、何も問題はないと話した。

それは、ポリアクリルアミドという、何度もやる必要のない注入物質で、半永久的だと――あるいは、そう信じ込まされただけなのかも知れないが、全く安全なものだということだった。

ポリアクリルアミドはソフトコンタクトレンズの原料に使われているものだ。
それは眼球や粘液、膜に刺激を与えないので唇にも応用されるのだが、基本的に同じものなので、そこに刺激があってはいけないのだ。
参考:アクアミド・アクアジェルについて


1回目の注射をした時、オレは少し充血したが、スペシャリストは心配ないと言った。
その注射には微小球体が含まれていたからで、それはコラーゲンで覆われたソフトコンタクトレンズ溶液の小さな球体だった。
「それでは、この姉妹製品を注射しましょう」
彼は言った。
「これは『アウトライン』というもので、微小球体を浮かすジェルですから」

彼が、そのジェルをオレに注射したのが1999年のことだ。
それからしばらく経ったクリスマスの後、ジェルが少し吸収されてしまったので、彼は、もう2,3回注射をした。
やがて、今度は10日ごとに注射し始めた。なぜなら、その物質が急速に吸収されていたからだ。

そうして、医者は5日から10日ごとに注射をするようになった。

オレ達はストップをかけた。
唇がすごく大きくなっていたからだ。

彼は5日ごとに注射するようになっていたが、やがてオレは、突然、全てが何かものすごく、ものすごくよくない事態になっていると感じた。


オレは痛みで苦しみ始めた。

そこには唇の周りに幾つかのしこりがあって――丸くて、固いしこりだ。
オレには、それが何なのかわからなかった。
けれど、医者はそのしこりを引き伸ばし始めた。

さて、オレの唇は大きくなったり、小さくなったりした。
その内、オレは顎の中が痛くなって苦しみだした。

唇は“スピン・ミー”のビデオを撮った頃に比べてとても巨大になっていた――今ではどっちが本来のものだったのか――

それは、とても不釣り合いに見えた。

そこで、スペシャリストは顎にインプラントを入れることを提案した。
それはオレが希望したものじゃなかった。だが、それは、役立たずの映画監督に役立たずの照明係をあてがうように、莫大な金額を支払わずに済んだのだ。

そして、彼はオレの顎にインプラントを入れた。
その小さなシリコンバッグは、前顎の骨のポケットの中に固定された。

それから8か月後くらいだったか・・・、
オレはゲイプライドでパフォーマンスをするためにステージに立った。
そこで、オレは、自分の口の内側に裂け目を感じた。顎の中のインプラントが、そのオレの口の裂け目を通して押し出された。

オレは、ショーを終え、月曜の朝一番に彼のところへ戻った。


彼は、製品の中から別の物を取り寄せた。オレはバリアム(精神安定剤)を5錠飲んだ。
彼は局所麻酔をかけ、それを入れ替えた。
ところが数ヵ月後、オレは顎の部分に不快な異変を感じ取った。
オレは彼にこう言った。
「それは、ちゃんとした場所に納まっていない。正しい位置にないんじゃないか?
オレは顎の神経が傷ついている。何かが間違ってるんだ」

彼は、オレを観察し続けた。だが、オレは超音波診断を希望した。
結局彼はそれに同意したが、超音波診断ではシリコンバッグを明確に映し出すことは出来なかった。
そこで、医者は、それが正しい位置にあるということを、彼の兄弟からセカンドオピニオンを取って、オレに保証した。

オレは、おおよそ1年後になって、それが正しい位置になかったばかりか、顎の邪魔をして、下顎にまで達していることに気付いた。
そして、彼は、バッグを縫っていたので、そこからシリコンが漏れ、顔の皮膚や咽喉、咽喉仏にまで到達していた。

その頃のオレは、まるで猿のようだった。
スペシャリストは、上唇があまりに重く見えるのでリフティングする必要があると言った。
実は、これは事実ではなかった。
ジェルは重量がないので、重く見える筈がないのだ。

だが、オレはその時はそんなことを知らなかった。
それで彼は、唇を引き上げるためにその境界線をカットすることを主張した。
それは、今日ではフツーに行われている施術だ。アンタはテレビでそういう人達を沢山目にすることが出来る。

その施術は、口の輪郭の周りをカットし、唇を持ち上げ、皮膚を2,3ミリ取り出して、それからまた唇を結合させるのだ。

オレは、それに余りいい印象を持たなかったので、2回キャンセルした。
だが、彼はこう言った。
「よく考えて下さい。私はこれに関してはとても肯定的です。私達が証明書にサインする必要さえありません」

それで、オレは手術を受けた。
オレは、口ひげのような縫い目をつけられた。

だが、それは治らなかった。

次に知ったことは、唇が組織片と分離し始めたということで、それは治りはしなかった。
やがて、穴が現れ出した。


それから2004年の2月、
オレはペットショップボーイズとレコードを作った。
そして、Scissor Sistersとギグをやったのだが、オレは18錠ものニューロフェン(イギリスでポピュラーな鎮痛薬)を飲まなければいけないほどの痛みで目が覚めた。
その痛みは信じられないほどで――オレは叫びながら、床を転げまわっていた。

それは、もう、口だけじゃなかった。顔の全てだった。

そのいたる所に開いていた穴から、膿が出ていたのだ。


オレは、黄色くて悪臭を放つ液体を、数リットルも流していた。数リットルだ!
それは、流れ続けていた。
オレはそこに座り込んで、わずか1インチではあるが顔を振り続けなければならなかった。
皮膚は裂け、この恐ろしくヌルヌルした汚物がオレの頬から噴き出してくる。
そしてそれは、数フィートも飛んでいた。

やがて、浮腫が現れ出し、オレは目を開けることが出来なくなった。
そして、段々その穴はタバコの火傷のように広がっていき、また汚物を流し続ける。

オレは、試しにそれを絞ってみたが、膿は止まらず、また再び流れ出し――、
タオルはずぶ濡れ、Tシャツもずぶ濡れになった。
それはグラス3杯より多かった。

それから、この黄色いヘドロはオレの直腸からも同じように、流れ出し始めた。それは炎症を起こしていたので、オレは直腸検査やありとあらゆる検査をしなければならず、そして、歩いていると、まるでオレの尻が燃えているようだった。

だが、ヘドロはクリームのせいで酸化していたし、沢山出ていたので、それはオレの体から滴っていた。
その量は少なくはなかった。だから、漏れ出さないようにタンポンをしなけりゃならなかったほどだ。
そしてそれを取り出すと、タンポンは完全にびしょ濡れで、それがずっと続いた。

オレは自殺するタイプじゃないが、
1日に20錠か30錠の睡眠薬を飲んで、もう、二度とそんなことが起こらないようにしたかったくらい、
モルヒネと鎮痛剤を飲んでいたが、それでも痛みはまだ信じられないくらい激しかった。


アウトライン――オレの唇に入れられたその注入溶液は、自分の組織に巻き込むタイプのジェルだった。それが、安定していると言われる理由だ。

アンタは大きな注射器で、出来るだけ離れたポイントからそれを注入するための穴を開けられる。それから引き上げられ、やがて穴の先は元通りになる。
けれど、ジェルは徐々にトンネルを侵食していって不安定になり、あちこちに移動する。アンタの体はその後、黄色い色の抗炎症性液体を作り出すのだ。
そして、汚染された液体でジェルを洗浄しようとする。
ポリアクリルアミドの方は内側から我が道を開こうとするが、刺激的な液体がそれを押し出そうとするので穴は閉じることが出来ず、ジェルも組織に巻き込まれるため、押し出せない。

そうしてそれは、アンタの顔をも蝕んでいき、顔の内部から唇の右側の部分を蝕んでいった。
やがて上に行ったり、下に行ったりして、完全にオレの顔を侵食した。

それは、1960年代に起こったシリコン薬害と同じだった。
その当時、女性達はシリコンを彼女らの顔に注入した。べガスのショーガールは、豊胸手術を受ける代わりにシリコンを胸の中に入れた。
そして、何が起こったか。
それは脳に行ったのだ。そして腎臓に行き――彼女らは死んだ。

オレは、自分に起こったことによって、死にかけた。


言葉は何が起こったかについて、きちんと説明出来るわけじゃない。
言葉は夜に窒息しかけた時のことを、きちんと伝えられるわけでもない。
なぜなら、オレのその炎症は咽喉仏まで拡がり、呼吸も出来ず、唾を飲むことさえ出来なかったからだ。
そして、言葉は、世界で最も尊敬されている再建手術医の一人が、どうやってオフィスに到着するかを表現出来ない。

彼は言う。「あなたは顔全体を吸引してもらわなければならない」と。
「そして、もう二度と話すことも、食べることも、歌うことさえ出来なくなるという事実を受け入れなければならない・・・」

やがて、アンタは恐ろしい奇形になるだろう。


アンタは脂肪吸引パイプなるものを見るに違いない。それは、アンタの内部に挿入される巨大な口径をもつパイプだ。
彼らはオレの顔にそれをやろうとした。
アンタなら、それをやることが出来ないかも知れないな――それが余りに大きくて、余りに侵略的だからだ。

だが、それは、窒息するか失明するかのどちらかだったオレから、溶液を取り除いてくれた。
穴自体は、内側から外側に蝕んでいたので、治らなかった。

穴は開いたままだった――。

もし、医者がその穴を閉じる奇跡的な方法を発見していたなら、それは右目をそれていただろう。
なぜかというと、それは目の方に向かって拡がっていて、やがて、目を侵食していただろうから。

それから、彼らは、それが筋繊維にも停滞していて、余りに深く真皮の奥まで注入されていたので、血流の中にも入っていることを確認した。
そのためにオレの腎臓は、ジェルを追い出そうとしていたのだ。

やがて、オレが血栓症と塞栓症になり発作を起こし始めると、オレ達はマジで悩んだ。


オレが、失明と、腎不全と、腸不全の危機に瀕していた時、一時的にオレの左の腎臓に取り付けられた基盤をステントと言う。
ステントは、腎臓の中で異物のかけらが大きくなって、それが尿道のところまで降りて来た時に使われる。
そしてそれは、ペニスの中の尿道を真っ直ぐ通してゴムパイプを入れなくちゃならない。オレは、一週間くらいそのカテーテルを挿入されていた。
なぜなら、それが腕と、足の血栓症を含めて、残った自分の体中に広範囲の炎症を起こしていたからだ。


身体は完全な物質だ。
それは、いろんな外傷に対処し、闘うためにベストを尽くす。
身体は、体の中を異質な物体が移動していたので、己が身を守るためにあらゆる刺激的な液体を出していた。
そして、オレの全身はそれがどうして起こり続けているのかさっぱりわからなかったために、大打撃を受けていたのだ。

身長に対してオレの顔は、通常のサイズの4倍にもなっていた。


アンタは自分がこんなことになったら、どうやって助けを求める?

アンタはインターネットを使っている。そして、世界中を探し始める――ロンドンには望みはない。ニューヨークにも希望はない・・・ロスにもだ。

ところが、やがて、オレの公式ウェブサイト『ライトスタッフ』の中のファンフォーラムのメンバーである人から助けが来た。
その人は、ローズ・キーフという人で、ウェブサイトを見ていてオレに話を持ちかけてきた。

「イタリアに形成外科医がいます。彼に、私から話をしましょうか?」





・・・さてさて。

ピートの話は一旦ここでおしまい。

ここから彼は藁をもつかむ気持ちでイタリアに飛び、凄まじい闘病生活とどん底生活を送ることになります。

途中、マイケルとの出逢いとリンとの別れを挟み、ピートの人生はまさに天国と地獄の両極を体験していくことになるのですが――。



では、続きはまた次回にて。



                      

ピート・バーンズ考 【整形編】 1

2009-09-15 00:18:59 | ピート・バーンズ
ピートファンの皆様、長らくお待たせしました~
いよいよ【整形編】に突入です!!

フィギュアスケートの高橋大輔くんが華麗に復活して、シーズンが本格的に始まってきたため、ここのところ怒涛の情報ラッシュで、日々の翻訳がなかなか進まず私自身やきもきしておりましたが、やっと次を書くことができますよ~(*^_^*)

そして、今までは年代を振って分けてきたタイトル名も、ここからはおさらいも兼ねてトータルでお話するべく、単純に【整形編】、【自叙伝編】とすることにしました。


では、その【整形編】を始める前に、ここで一つおさらいを。


ピートを絶頂時から好きな方、ここ最近ハマりだした方など、コメントを下さる方々はそれこそいろんな時期、理由から彼を好きになっているわけですが、
(私も含め)そんな方々が、彼の人生の変遷を見て大体一様に疑問に思うのが、

あんなに綺麗だった顔を、なんで整形してあんなヒドイ顔にしてしまったの!?

ということ。


それは、日本のイロモノ番組である、『世界仰天ニュース』に取り上げられるほど、センセーショナルでショッキングな出来事でした。
(私もあれを見た時、一瞬誰のことを言ってるのかわからなくて我が目を疑いましたから^_^;)

で、私の場合は、その番組を見た時はまだそれでもピンと来てなくて、自分の中でも放ってあったんですが、
その後フィギュアスケートでアメリカのジョニー・ウィアー選手の今季のアイスショーナンバー『Poker Face』を観た時、元々ちょっと女性的な仕草やお顔立ちでフィギュア界でもオトメ系に分類されてたジョニちゃんが、そのプログラムであからさまにおねぇちっくな演技をご披露してくれたもんだから、
そこで、ああ~、そーいえばアタシって元々こーゆー系統が好きだったんだぁ
あれ?そーいえばこーゆー系統の代表格で、アタシの青春時代めっちゃ流行ってたDead Or Aliveのピート・バーンズって、ものすごキレイだったよなぁ~、
歌も大好きだったけー、
ああ~、なんか彼の歌がめっちゃ聴きたくなってきた!

そーだ、今はYou Tubeですぐ聴けるんじゃーん!!
ネットの時代って便利だわあ・・・、ん??

そーいや、ピートってこないだ世界仰天に出てたよーな。

あれは確か整形で顔面崩壊がどうのこうのとか・・・いかん、うろ覚えだわ
ちょっとネットで検索してみよう――、


ぎゃ!!





・・・いや~~、

その時のショックっていったらなかったですね!!

特に画像検索した時の、あのピートのオバQのような顔面のオンパレードにゃあ、頭がクラクラしてしまったほど(@_@;)
その後、ピート関連のよそのブログを読んでも、やれ清川虹子だとか、岸田今日子だとか、鈴木その子だとか(よくて叶恭子だった)そりゃあもう、皆さん言いたい放題で(/_;)
(てか、アタシもそーとーヒドイこと言ってるし
でも、ぶっちゃけ、私もまだその頃は、そこまでピートに思い入れてはなかったんです。

ただ、あの'80年代後半の彼の美貌は、ホントに、この世のものとは思えないほど綺麗だったし、音楽的にも(特に日本で)絶頂期を迎えていて、きっと今で言うセレブとして順風満帆な人生を送っているんだろうなぁと思っていたら、どうも違うらしいことがおぼろげながら分かってきた。
そしたら、どんどん彼のことが知りたくなってしまって。


読めもしない自叙伝買ったのも、そういう気持ちの高ぶりからだったんですが、

そんな自分が今や機械翻訳までして、ピートの謎を知りたがってる。


即ち、なぜ、整形なんかしたのか?

何が不満だったのか?

何かトラウマがあったのか?



――その答えは、自叙伝にちゃんと書いてありました。

そして、その結果に関してはピートも予期していなかったということも。



そう、あの今のピートの顔は、なりたくてなった顔ではなく、全ては“ポリアクリルアミド”というジェル状の注入物質の過剰投与によるなれの果てであり、
彼はそのせいで死にかけ、ひょっとしたら唇のない顔になっていたかも知れないという、とんでもない状況を引き起こしてしまったのです。
(ここら辺の経緯は上記にリンクした世界仰天のサイトにも載ってます)

そんな、自分の人生を狂わすほどのことを、ピートは一体いつから、どのような考えで行っていったのか?


そのお話をする前に、ここで一つ皆さんに聞きたいことが。

皆さんは、この“整形”なるものをどこまで許容出来ますか?

もし、自分が整形をするとしたら、一体どこまでやりますか?


そして、根本的な質問、

整形には賛成ですか?反対ですか?



・・・難しいですよね。

ひと口に整形といっても、それは“美容”整形と、“外科”整形の2種類がありますし、一昔前までは、ピートもその自叙伝の中で言っているように、整形手術自体悪名の方が高くて(もちろん、ここで言う“悪名”が高かったのは美容整形の方です)、それをやっているのがバレると後ろ指を差され、こそこそと陰口を叩かれる時代が確かにあったのですが、
最近では皆さんもご承知の通り、“プチ整形”なる言葉があるぐらい、簡単な施術なら誰でも手軽に出来て、しかも昔よりずっとクリーンでオープンになったことから、あまり抵抗を感じる人は少なくなっているように思います。

かくいう私も、外科整形はいわずもがなですが、
美容整形に関しても、本人がそれをすることによって、性格が明るくなったり、仕事が上手くいくようになったりするのなら大いに結構だと思っています。

ただ、ことこれが自分自身の身の上に降りかかった場合、即ち、整形した方がいいと思われる状況になった時どうするかと言えば、ちょっと考えるんじゃないかと。


というのも、基本、私は痛いのが嫌いだから
(正確に言うと、痛いことを想像するのが嫌いだからです)

ピアスもその理由から、今まで一度も開けたことがありません(笑)


そして、一番抵抗を感じるのが、自分の体の内部に異物が入るということ。

これが、ダメですね。


人間の体には、皆さんの中にもご存じの方があると思いますが、本来ホメオスタシス(生体恒常性機能)という働きが備わっています。
これは、人間が体温や血圧、体液の浸透圧など生体の内部や外部を常に一定の状態に保っておこうとする働きで、
そこには病原菌やウイルスといった異物の排除、怪我の修復といったものも含まれていて、これら生体の状態が変化した時、それを元に戻そうとする機能全般を差すわけですが、
整形とはまさにあるカテゴリーにおいては、体の内部にいろんな異物を入れますよね。

もちろん、それはシリコンであったり、コラーゲンやヒアルロン酸であったり、ピートの自叙伝の中にも出てきた、アロダームなる赤ん坊の包皮から出来た人工皮膚であったり、ボトックス注射の原材料であるボツリヌス菌であったり、
それらは大概、体には害のないものや量として、表向きはそう宣伝されて使用されているわけです。

でも、所詮、それは生体にとってみれば、外部からの侵入物であり、それが本当に体になじむかどうかはその異物の純度や適合性、施術者の技量、施された人間の個体差によってかなり違ってくると思います。

そして、幸いにもそれらが全部クリアされれば、それは成功と言えるのでしょうが、中にはそうではなく、何らかの原因で体がそれを受けつけなかった場合、その時生体は、それを排除しようとして激しい抵抗に出る。

それが、最終的に自己の体を痛めつけ、奇形に変えるとしても。

己の体を元通りの状態にしたいから――。



扇風機おばさんや、ピートは、まさにそれだったのです!
(更にピートの場合、医者も想定外なことが起こってしまったことも事態を悪化させた要因でした)


ところで、ピートは、(外科的なものを含む)整形を、その悪名高き時代から既に支持していました。

けれど、それを率先してやり出したわりには、当初、整形に対するリサーチを全くしなかった。

彼の整形に対する考えはこうです。

「誰もが皆分刻みで起きて変身するが、その許容範囲をどこに置く?

男は毎朝起きてヒゲを剃り、下着をつけ、ズボンを履き、靴下を履く。女は自分達の髪をブリーチして、それをブロンドだと主張する。
それは皆変身のプロセスで、だがそれは一時的なものだ。

誰もがみな、ある程度の部分修整をしている。

オレは若さの泉なんて信じない。
美容クリーム~びんの中の希望~それは、オレにとっては絶対の偽善と金の無駄だ。それを留めておく唯一の方法は老化を断ち切ることだ。

だが、皆は言う。
『それ(整形)が全て上手く行かなかったら?』

人が髪を切りに行く時、彼らはそこに座って、
『おお、神よ、もし、これが上手く行かなかったら?』
なんて言うか?

アンタ達は髪ならまた生えてくると言うかもしれない。
だが、鼻や頬は永遠に傷付くと。

けれど、それは造り直すことが出来る。
それは、ボクサーにだって、自動車事故でだっていつでも起こりうることだ。
彼らが元に戻すのに、出来ないことは何もない。
彼らはアンタの耳から、ほんの少しの組織片を切り取って挿入し、また元に戻すことが出来るのだ」


この、ピートの考えをどう思うかは、皆さんの自由です。

それに、私達にはまだ考慮しなくてはいけない要因があって、

その要因の内の一つが――これは私も意外だったんですが、
ピートは自分の顔に対して、具体的になりたい容姿についての概念がなかったということ。

彼は、自分がどうするつもりなのか、わかっていませんでした。
彼は、ただ自分の顔に絵を描いていただけ。


とは言え、人にはそれぞれ好みというものがありますよね。

ピートが自分の顔にその時々で描いていた顔にはやはり、その時々の自分の好みが反映されていたと思うのです。

例えば彼が文中で取り上げてきた女優や歌手陣――古くはディートリッヒから、バルドー、モンロー、ジュディーやデボラ・ハリーなどは、女性性のシンボルと言ってもいいくらい、唇が厚く、肉感的で女らしいフォルムを持つタイプで、彼が1992年に初めて唇にアロダームなる組織片を入れ出した前後のピートの容姿は明らかにそのテのタイプの女性像を描いていたんだろうなーというのが見てとれるほど。

でも、私なんかは彼とは正反対で、そういう肉感的な女性が苦手だったため、好きになる女優陣は専ら、知的でボーイッシュでクールビューティなタイプばかりでした。

即ち、ディートリッヒよりもガルボ、バルドーよりもヘプバーン、モンローよりもグレース・ケリー、ジュディーよりもヴィヴィアン・リーといった具合。
(特にヘプバーンが好きだったなぁ。その内、キム・ノヴァクやナスターシャ・キンスキーみたいな混合タイプも好きになりましたけど)

ピートは、でも、そういうクールタイプに関しては一つも言及していないし、やはり彼が女性像で絶賛してるのは、バルドーやデボラタイプの美女ばかり。

一方で、マリー・トラバースやシェール、シルヴェスターなんかはこれまた、ちょっとボーイッシュというよりも男性的な香りのする人達ですし、'80年代の時の顔はむしろこっちタイプでしたよね。

つまり、そうするとピートの場合、なりたい容姿についての概念がなかったわけじゃなく、固定化したい容姿がなかっただけなんじゃないかと。


だから、ちょっとぐらい肉を削っただけじゃ満足できなかった。

「マイナーな変化は大きな違いを生む。

オレは、中心点から出発して外へ向かっていく必要があった。
唇、鼻、頬・・・、目と眉だけはいじらずに、他を全部リフトアップした」



でも、それなら一体、ピートをそこまで整形に駆り立てた最大の原因は何だったのでしょう?



それは、違和感でした。


「This isn't me これは、オレじゃない」


ピートは、3,4歳の頃、既に自分の容姿のことをこう思っていたよう。


彼は、小さい時から絵を描くことが大好きでした。
でも、その当時は紙がそんなにない時代だったので、彼はその紙の代わりに自分の顔中、体中、壁中に子供用のペンキを塗りたくっていた。

やがて、それは彫刻への興味に移り、工作用粘土でいろんな物を作ったり、またある時は天井中にスピログラフを描いたりもしていたピート。

お母様自身が自分の美を保つこと――化粧に執着していたことも影響しているのでしょう。
ピートは、そのごく小さい頃から当たり前のように化粧をして遊んでいました。


ここで、ちょっとまた、彼の言葉を引用しましょうか。

「化粧はごまかしのように見えるかも知れない。だが、アンタ達はその重要性を理解しなくちゃいけない。
この世にマックスファクターがなかったら、オレ達には大作映画もスターもあり得なかった。それは、オレ達に神と女神を与えてくれた。
化粧は、憧れであり、夢であり、社会にとってとても重要なものだ。

もし、ありし日の映画スター達――ディートリッヒやガルボ、クラーク・ゲーブルやモンゴメリー・クリフト、それにリズ・テイラー達が化粧をしていなかったら、オレ達には何も見るべきものがない。

化粧は人の顔を上げさせた。そしてまた、積極的な態度をももたらす。
それは間違っているように言われるが、でも、そうじゃない。

それは、ボリュームアップさせ、際立たせ、そこにあるものを強調させるのだ。

もし、オレが政治家になったなら、化粧を奨励するだろう。
なぜなら、それをすることによって、人が既にそこにある何かを表現することが出来るかも知れないからだ。

それは、防臭剤より役に立つと思わないか?」

また、ピートはこんな風にも言っています。

「オレは見た目が悪いのにいい匂いがするヤツより、イヤな匂いがしても見た目がいいヤツの方がいい。
それは、オレ達が心で愛さなけりゃならない理由だ。

オレ達はみんな盲目であるべきだろう。
そして、目ではなく、心で愛すること。

ただ、この社会では、余りにも皆忙しすぎて、相手の性格について語る暇などないし、オレ達は人の心が読めるわけじゃない。
だが、どれくらいの店がアンタがレンガ作りの門の前にいることがわかる?
誰も中に入るつもりはない。

オレ達は、自分の中に何があるか知らせるための自分の店の窓なんだ。そうして、オレ達は手持ちの宝石を全部展示する。

率直に言って、オレの宝石は全部見せ物だ。
オレはそれを楽しんでいる。
そして、それらは全て売りに出されるのだ」

つまり、彼にとって、化粧とは、その人が何者であるかを知る手掛かりなるってこと言いたいのではないかと思うのですが、

一方で、ピートは前世の存在を信じています。

(ここからの話はその手の世界を信じていない方には、ちょっと厳しいものがあるかも知れませんが、どうか我慢してお付き合いを)
彼は実際、幾つかの過去生を憶えているらしく、その最たるものは“Dr.ダーレクのロボット”を操縦する自分のお話です(ま、でも、これは昔『ムー』少女だった私でも読んでいてちょっと眉唾モノだったんですがね
それ以外にも、彼の前世はいろいろ大変だったらしくて、今生でやっと調和と理解のみずがめ座の時代に入り、「おお、すげぇ!1959年じゃん!」と喜んで産道を通ってきて世界を見渡してみたところ、また元の場所に帰りたくなったと書いていますから、
彼には生まれてきた時から既に、今生での厳しさがわかっていたのかも知れませんね。

そんなピートが、化粧の他に小さい頃取りつかれていたことが、もう一つありました。

それは、インディアンの仮装をすること。

ポートサンライトのピートの家には彼のために両親が買ってくれたのか、あるいは元々そこにあったのかはわかりませんが、アメリカ・インディアンのテントと衣装、お面が一式揃っていて、ピートはそれが大のお気に入りでいつもそれを身に付けていました。
(特に黒い髪を三つあみにし、フェイスペイントを施したお面の顔が好きだったそうで)、それは、ウェスタンに対してトラウマを抱くほどでした。

ピートは、子供がこんな風に小さいうちから何かの物事に取りつかれたり、ピアノを簡単に弾くことが出来るのは、前世の記憶があるせいだと言っています。


「それじゃあ、なぜ、オレにとって肉を削り取ることが、そんなに大事だったのか?

それがオレだったからだ!

オレは過去生では、素晴らしい美貌だったと思う。でも、今のオレはそうじゃない・・・。


オレは、バーブラ・ストライザンドはとても美しいと思う。だが、もしオレが朝起きて、彼女のような顔になって鏡に映っていたら、ちょっとショックを受けるだろう。

ウーピー・ゴールドバーグはとても素敵だ。
だが、もしオレがある朝起きて、鏡の中に彼女を見たら、オレの目と心はそれが自分じゃないと思って傷付くだろう。

アンタが白人だとして、目覚めると翌日黒人になっていたら、どう思うか。
同じように黒人の自分が白人になっていたとしたら?

アンタは男で、翌朝起きてみたら胸が大きくなっていた。

その時、アンタはどう思う?


アンタはちょっと考えるだろう。“これは、自分じゃない”と」


思うに、ここから先は私の単なる推測なので、受け入れられない方にはスルーしていただきたいのですが、
ピートはおそらく、前世でインディアンの部族の中の巫女さんのような立場の女性だったことがあるんじゃないかと思います。

その容姿はとても美しくて、漆黒の黒髪をしていて・・・そう、彼の好きなシェールのような、綺麗で強くてちょっと男性的な、そんな女性。


だから、彼は自分の現生の顔に違和感を覚えた。


そこで、それを何とかしようとして、ピートは最初、大人が使っているアクセサリーのように、ちゃんと社会で認められているアイテムを使用して、その違和感を埋めようとします。

即ち、アメリカ・インディアンのヘッドドレスや女性用のフリンジドレス、ウクレレなど・・・。

「だが、それでは十分じゃなかった。それは、一時的なものだ。外れてしまう。

オレは、自分が自分であるために、外れないものが欲しかった」


ピートは、化粧や巧妙な写真技術で得られるような人工器官ではなく、整形による本物が欲しかったのです。
(整形で造られた顔が本物かどうかの議論はさておき)



――そうして、彼の整形手術は始まりました。


最初の部位は鼻。

1985年のことでした。



そこから、彼の大いなる迷走と闘いが始まるのです・・・。




                             To be continued