あれは・・・、いつの頃だったかな?
そう、確か'07の関大での壮行会だったか、'08の卒業式だったでしょうか。
壮行会は私はあの時実際現地まで見に行ってたんですが、卒業式は関大のHPにUPされてた動画を見た筈です。
それとDOIやスポケンでのインタビュー中。
私は大輔くんの姿勢にある気になる部分を見つけてました。
それは、大輔くんが立っている時の右肩がいつも下がっていたこと。
壮行会や卒業式、壇上に上って客席に背を向け校長の話を聞いている大輔くん、
DOIやスポケンなどでインタビューを受けている時の大輔くん、
皆さんもお手持ちのDVDやつべで見れるようだったら確認してみてほしいんですが、両腕を後ろに回し、多分本人は特別意識することもなく立っていたのでしょう、その時彼の体はいつも少し右に重心が傾いていて、そのせいで明らかに右肩が下がっていたのです。
それに気付いた私は、あれはちょっとスケーターとして大丈夫なのかな?と思っていました。
何故なら、これはたいていの普通の人間がそうなのですが、無意識に重心が傾くというのというのは即ち、自分の体の使い方に明らかにクセがついているということで、
これは短期的には問題はなくても、長期的に見ると脊柱の側湾を招いたり、腰痛、肩こり、片頭痛など様々な病気や歪みを引き起こすのです。
かくいう私もやはり日常的に右側に重心が傾いている方で、これを直すには普段から左側にも重心をかける動作をして意識的に動くことが大事だと知ってからは、
例えばバッグを持つ手を常に同じにしないとか、立つ時座る時は足を組まずに体を真っ直ぐにとか、洗濯をする時も左手を使って洗濯物を入れ替えるとか、いちおー気付いた時にはやってはいるものの、いかんせんそれが実際病気になって因果関係がわからない限りはついつい元の動作に戻してしまう。
ま、ふつーの人間ならそれでもいいでしょう。
(いや、ホントはいかんのですが
)
しかし、これがアスリートとなると話は違ってきます。
真央も今季から森永の専属トレーナーがついて矯正するまでは、筋肉の付き方が左右偏っていたそうですし、ジャンプでどうしても右足を酷使しがちなスケーターというのは案外バランスに欠いているんだなーとは最近気付いたことです。
でも、それ以前に私はスケーターというのはあの右往左往するステップをこなすには絶対左右の重心がきちんと取れていないとダメなんじゃないかと思っていたので、
あんなにバランスよくステップを踏む大輔くんの重心が傾いているのを見た時、
えっ、ウソ!?
と、我が目を疑ったのでした。
そして、今日の『サンデースポーツ』です。
『PASSION』の中で、大輔くんは身体に関して今まで勝手に思い込んでいたこともあってすごく勉強になっていると言っていましたね。
やがて、本格的にリハビリをするようになって、足首、膝といった関節の柔軟性を高めることを意識し、左右の足の筋力をバランスよくつけ、自分の弱点を克服することにしてきたところ、まず、歩き方が変わったと。
そして、足首が柔らかくなってきたと。
その上走りやすくなってきたなんて!
――いえ、だからと言って、
この変化と重心うんぬんは、もしかしたら何の関係もないかも知れません。
でも、少なくとも歩き方や走りやすさが変わったということは姿勢を正常に保つ筋力、即ち重心が真っ直ぐに保たれるようになったことも要因としてあるのではないでしょうか?
それによって、大輔くんはこう言っていましたね。
「今まで出来てた動きが出来にくいかも知れないですけど、それ以上に今まで出来なかった動きが出来てくるかも知れない。だから、どんなことが出来るのか楽しみ」だと。
これは、コメントにも書きましたけど、まさに私が思った通り。
今回のことで、今まではそれこそ自分の持ち前の筋力だけで強引にやってきたことが、これからは、身体と会話しながらより自分の肉体の動きと作用を意識して演技が出来るようになるのではないでしょうか。
そしたら、もし、ジャンプ自体は以前のようにクワドをバンバン決めることが出来なくなったとしても、それ以外の要素で点を稼ぐことが出来るようになるかも知れない。
もちろん、私は大輔くんのジャンプが好きなので、本音を言えばジャンプも元通り跳んで、なおかつ他のエレメンツの精度も上がるのが一番理想です。
そして、願わくば今季の迷走しているジャッジの採点傾向にくさびを打つように、帰ってきた大輔くんが他選手を圧倒して勝ってくれるのが最大最高のストーリーではあります。
でも、こればっかりは本当に神様にしかわからないこと。
それより、ここで特集を見て改めて思ったことは、
大輔くんにとって、ニコライを失ったことはやっぱり相当ショックで、表向き私達ファンや関係者にはもう大丈夫だと言ってはいましたが、結局シーズンに入ってからもずっと引きずっていたんだなぁということ。
そもそもよくよく考えてみれば、FSを二つも作ったこと自体迷いと自信喪失の表れであり、しかも、それを早々に作っておきながらギリギリまでどっちにするか決めかねていたこと、やたら『今までとは違う高橋大輔』にこだわっていたことなど、歌子先生の言う通りこれら全て、試合に向かない気持ちを何とか色んなことをして奮い立たせようとしてきた証拠なのではないでしょうか。
それは、元々のニコライと大輔くんの関係性にも起因していると思うのですが、
それまで父のように権威ある年上の男性から、自分は何も考えず(いや、考えても言えなかったようですが)指図されたことだけをやっていれば良かった依存的な関係を急に断たれて、突然何もかもを自分で決めなくてはいけなくなったことが原因だということは容易に想像がつきますよね。
たいていの人間はそんな急激に自分を変えれるものではないのに。
でも、大輔くんは表面だけでも変えざるを得なかったんだと思います。
日本男子のエースとして、オリンピックのメダル候補として。
時期的にも、スキを見せるわけにはいかないから。
ニコライがいないと・・・と、自分でも思いたくなかっただろうし、他人にも言われたくなかった。
だから、高橋大輔は元気です、大丈夫ですと。
本当は特集の冒頭、あまりの痛さに悲鳴のようなすすり泣きをあげてたように、大声で泣きたかったんではないでしょうか?
誰かに愚痴りたかったんではないでしょうか?
「皆が、大輔自身が自分で決めればいいと言うので、正直キツかった」
と言っていたのは、あれは怪我をする前のサンデースポーツだったか、それとも何かのネットでの記事だったでしょうか。
あの思わず漏れたであろう、非痛な叫び声を聞いて、私は胸が張り裂けそうになりました。
人前で泣くのは自分の美学に反すると、あんなに言っていた彼だったのに。
でも、結果的にはこうなってしまったことによって、返って良かったと大輔くんは言っていますね。
それは、多分、自分にとって何が一番大事なのかがわかったからでしょう。
そして、それを証明するかのように迷いなく一点を見つめる彼の目の光に、相変わらずの強さがあったことが何より嬉しかった。
『PASSION』にも評価の高い選手ほど眼力の強さが違うと書いてありましたよね。
それが、相も変わらず吸い込まれそうになるほどの目ヂカラで、惚れぼれしてしまったし、
それに、もう一つ、今度は以前と変わったところをイッコ見つけました。
「金メダルが欲しい」
ではなく、
「金メダルを取る」
と言っていること。
“欲しい”と言うより“取る”と宣言する方が、世界に投げかける力が強いということを彼は意識しているでしょうか・・・。
フルモデルチェンジした高橋大輔を、早く観たいですね!!
ということで、
久々に動く、喋る大輔くんをこんなに待ち焦がれていたんだと、特集が始まる前の過呼吸かと思われるほどのあり得ないド緊張と、食い入るように息をつめて見ていたさ中と、終わってからのりピしまくりでこみ上げる涙に、まざまざと思い知らされた次第です。
皆さんはどうでしたか?
ああ、それと、
今季ずっと他選手の演技を観てきて惹かれる演技も多々ありましたが、
やっぱり大輔くんの吸引力に勝るものはない!!ということも改めて再確認しました。
動く、喋る大輔くんは見られたから、次は滑る大輔くんだ!!!