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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

ウクライナ戦争に対する「即時停戦派」がなぜ「徹底抗戦派」より、国際世論でも国内的にも支持を得られないのか。その理由は即時停戦派の偏頗性=偏っていて不公平、にある。

2023年03月05日 | ロシアによるウクライナ侵略

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 うちからもリンクさせていただいている戦場ジャーナリストの志葉玲さんのブログを拝見していると、日本の平和主義者の中で、ウクライナ戦争に対する態度が大きく二つに分かれていて、ロシアとウクライナに即時停戦を求める伊勢崎賢治氏らは自分たちのことを「即時停戦派」と呼び、ウクライナへの欧米諸国からの軍事援助を仕方ないと考える志葉氏や私のような立場の人を「徹底抗戦派」「軍事支援支持派」、はては「好戦派」と呼んでいるようです(-_-;)。

 レッテル張り合戦、ネーミング争いでは明らかに人命第一主義という即時停戦派のほうが勝っているのですが(笑)、なぜ即時停戦派はかなりの少数派にとどまっているのでしょうか。

 その理由が、昨日書いた記事に出てきたエマニュエル・トッド氏と「痴の巨人」同士(笑)で対談をしていた佐藤優氏が、本日付けのAERAにまた登場した

『日本はウクライナ戦争から距離を置くことができる 加藤登紀子と佐藤優が問う「平和」』

という対談記事に端的に表れています。

まんまと佐藤優氏の屁理屈に利用された平和主義者の加藤登紀子氏。

ウクライナ戦争「どっちもどっち」論には道理がないとする日本共産党の立場は至当。侵略しているロシアの行為の違法性こそ著しく重大。そこから議論を始めない橋下氏らがロシア擁護派とされるのは当然だ。

 

 

 佐藤氏は、まず旧ソ連軍がチェコを蹂躙した「プラハの春」事件とウクライナ戦争を比較して

「ウクライナ戦争とチェコ事件の根本的な違いは、チェコが非暴力抵抗路線をとったにもかかわらず、ソ連軍が入ってきて住民を殺害したことでしょう。国際社会がわき立ったのは、チェコが非暴力をとったからです。今のウクライナ戦争と違うんです。」

というのですが、国際社会では武器を取って戦っていても、侵略されているウクライナを支持し、ロシアを非難する国の方が圧倒的に多いのです。

 まず、佐藤氏のような即時停戦派は自説に都合の悪い客観的事実を無視するので、偏頗性(へんぱせい=偏っていて公平性を欠く性質)が強くて、説得力がないわけです。

ロシアがウクライナの4州を併合宣言をした露骨な領土拡大の時が、一番賛成国が多かった。

プーチン大統領によるウクライナ4州の併合条約調印に対して、ゼレンスキー大統領がNATO加盟手続きを加速する申請書に署名。この非は一方的にロシアにあり、プーチン大統領がまず4州併合を撤回するべきだ。

 

国連総会がロシア軍に対して「即時・完全・無条件」の撤退を求める決議を圧倒的多数で可決。ウクライナのインフラ・民間施設への攻撃の停止も求め、ロシアの戦争犯罪に対する調査と訴追の必要性を初めて明記。

 

 

 即時停戦派は詳しく分析しようとしませんが、2023年2月23日にウクライナ戦争開戦1年に向けて、国連総会で圧倒的多数で可決されたロシア非難決議では、

1 「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない」

2 「国連憲章の原則に基づいてウクライナにおける永続的な平和が可能なかぎり早期に実現される必要がある」

3 ロシア軍に対し即時かつ無条件の撤退と、ウクライナの重要インフラ、学校や病院などの民間施設への攻撃の停止

4 ロシアの戦争犯罪に対する「調査と訴追」の必要性

が主張されています。

 

 

 逆に、侵略国ロシアと侵略されているウクライナを対等に扱い、両方に即時停戦を求める決議など国連総会で上がるはずもありません。

 プーチン大統領とロシア軍によるウクライナ侵略は、19世紀末からの人類の戦争違法化の歴史、国連憲章という国際法の根本に真っ向から違反するものですから、ロシアの即時・完全・無条件の撤退が国連総会の決議になるのは当然です。

 この決議に賛成した国は141か国で投票権を持つ国連加盟国191か国の4分の3近く。

 反対した国はロシア・ベラルーシ・北朝鮮・エリトリア・マリ・ニカラグア・シリアの7か国で多くが札付きの人権侵害国、棄権した国は中国など32か国に過ぎません。

ロシアによるウクライナ侵略開始から1年(前編)。国連総会がロシア軍のウクライナの領土からの「即時、完全、無条件の撤退」を要求する決議案を準備しているのは当然だ。

 

 

 また、佐藤氏は

「非暴力抵抗だったら、ロシアの中からももっと強い形で抵抗運動が出てきたでしょう。ロシアから出国した人は200万人ぐらいと言われていますが、ほとんどが戻ってきています。」

というのですが、これも客観的事実に全く反していて大嘘です。

 まず、ウクライナ戦争開始からわずか3か月でロシアから出国した人はその2倍近い388万人

 ロシアからアメリカなどに出国する人は増え続けていますし、ロシアから出国ないし亡命して、国外からロシアを批判している人は多数います

 このように、即時停戦派の一番の問題は事実を歪曲して都合よく変えて偏った議論をすることに加え、また自説に都合の悪い事実に目をつぶるところにもあるのです。

 司法試験の答案でも、自説と反対の立場をとる説が重視する利益=反対利益にも目配りしないで、自説に都合のいいことばかり並べたてていたら、高評価は得られません。

 だから、徹底抗戦派の烙印を押された当ブログ(笑)では、逆に欧米がウクライナに軍事支援し続けることの危険性や、日本の国会でゼレンスキー大統領が演説することの危険性、岸田首相がウクライナに訪問することや日本がウクライナに軍事支援をすることには絶対反対すると何度も書いてきました。

第二次大戦後、休みなく他国に戦争を仕掛けて何百万人も殺し続けてきたアメリカ合衆国に、自由と民主主義の旗手を気取る資格はない。

9・11テロから20年。900兆円のお金を無駄にして30万人以上の無辜の市民を殺し、数百万人の難民を生み出した「対テロ戦争20年」の教訓。「戦争で得られるものは何もない」という真実。

アメリカの産軍複合体はウクライナという新たな「市場」を見つけた。第二次大戦後、世界中で戦争をしまくり、イスラエルによる武力行使を放置するアメリカに、ロシアによるウクライナ侵略を非難する資格はない。

ジョンソン英首相がロシアの安保理常任理事国からの「解任」を提案。それが可能ならベトナム戦争やイラク戦争を起こした米国も解任せよ。常任理事国制度も彼らの核保有だけを合法化するNPT条約も要らない。

ウクライナ戦争が招いた世界の食糧危機。黒海経由でアフリカにロシア・ウクライナの小麦を輸出する目的で、ウクライナがオデッサ海域から機雷を除去するためには、ロシアが海路から侵攻しない保証が必要だ。

ウクライナが戒厳令・総動員令を3か月延長。ゼレンスキー大統領が男性の出国の自由を求める署名に対して「署名者は生まれ故郷を守ろうとしていない」と拒否。これが日本国憲法に緊急事態条項を創設する恐ろしさだ。

戦争当事者のウクライナのゼレンスキー大統領に日本の国会で演説させるのは、憲法9条を持つ平和国家日本として非常に危険。「参戦」を求めてくる同大統領の「煽り」に浮足立つくらいなら今からでも断るべきだ。

今日やっと開会する国会を放って、政権浮揚のために2月にウクライナに行くという自己中な岸田首相。憲法9条を生かして両国を平和的に調停するのではなくウクライナ支援をテコに軍拡を進める岸田政権は超危険だ

岸田政権が殺傷能力を持つ武器も輸出解禁をもくろむ!戦車、ミサイル、次期戦闘機も輸出。安倍政権が武器輸出禁止3原則を放棄した結果が今ここに。憲法9条を持つ日本が死の商人になることは許されない!

岸田首相がG7サミットの「地ならし」と称して欧米各国を歴訪中。バイデン大統領への防衛費倍増と兵器爆買いの手土産も言語道断だが、憲法9条を持つ日本はウクライナに絶対に軍事援助を約束するべきではない。

 

 

 佐藤氏ら即時停戦派はウクライナをディスり、そんなウクライナに兵器を送るべきではないとか、ウクライナが停戦しないから犠牲者が出ていると主張したいがために、ロシアの侵略の実態や戦争犯罪についてはほとんど語りません。

 しかし、この戦争はウクライナの領土で起きているので、当然死んでいる一般市民はウクライナ人で、市民を殺しているのはロシア軍です。 

 即時停戦派は、そのウクライナ市民の犠牲を最小限にしたいから即時停戦と主張しているのに、ロシア軍による無差別殺戮や原発攻撃や強制連行という戦争犯罪には触れようとしません。

 また、即時停戦派はウクライナ戦争について語り、市民の命が第一と言いながら、肝心のウクライナ市民が殺戮されている事実を直視しようとしないので、ウクライナへの欧米からの軍事援助を止めた場合のロシア軍によるウクライナ市民虐殺の危険性についても過小評価してしまいます。

ウクライナ戦争の初期にキーウを包囲していたロシア軍が撤退した後、キーウ近郊のブチャで市民を少なくとも数百人虐殺していたことが明らかになった。これによりトルコが尽力していた、停戦の最高のチャンスだったと言われている2022年3月の停戦協議の努力も瓦解した。停戦を阻害しているのはロシアの蛮行。

 

 

 そもそも、ウクライナを批判しなくても即時停戦論は成り立つのに、ウクライナへの軍事援助の必要性を否定するために、侵略しているロシアの蛮行は無視して被害国であるウクライナの非だけをことさらに強調する即時停戦派の議論の立て方にムリがあります。

 重箱の隅をつつくようにウクライナの失政に目を光らせて、ウクライナの汚職や国内での言論抑圧をいくらあげつらっても、ロシアの汚職や言論弾圧の方がはるかに深刻で規模も大きいに決まっています。

 例えば、EUに参加するために汚職を摘発してそれが明るみに出るウクライナの方が、全く表に出ないロシアよりマシなことは明らかです。

 またもちろん、ウクライナの政治が良くなくてもだからロシアが侵略していいことにはなりません。

 それはイラクのフセイン政権がいくら独裁政治でも、北朝鮮における人権弾圧がいかに苛烈でも、アメリカが攻撃していいことにはならないのと同じです。

 そのように、誰の目から見てもウクライナよりはるかにひどいロシアの行為を非難せずにウクライナだけ批判するから、即時停戦論者の議論はいかにもバランスが悪く、即時停戦派の人命尊重というお題目は良いのに説得力を失い、多数の支持が得られないのです。

国際法違反で戦争犯罪にもなりかねないロシア軍の原発攻撃に沈黙する橋下徹氏。ウクライナ人に「旧ソ連から時代は変わった」「中国がロシアに働きかける可能性もある」からロシアと妥協しろと言い募る(呆)。

 

 

 

人命尊重の立場から即時停戦と言いながら、伊勢崎賢治氏や橋下徹氏がロシアの戦争犯罪やウクライナの人々の苦難について触れたためしがない。

橋下徹氏がロシアへ強制連行されたウクライナ市民について「ロシアに避難ができて命が守られるのであれば、僕は重要な選択肢だと思うんです」。強制連行自体がジェノサイド条約違反の戦争犯罪なんですが?

 

 

 また、即時停戦派はNATOの東方拡大がロシアによるウクライナ侵略の動機だとロシアを弁護するのですが、山上容疑者にいくら事情と動機があっても安倍元首相の殺害が正当化されないように、国連憲章違反のロシアの侵略が正当化されるわけがありません。

 ロシアと欧米諸国でNATOがこれ以上東側諸国の加盟を求めないという東方不拡大の約束が誰と誰の間でどの程度明確にあったかも判然としません。

 そして少なくともロシアとNATOとの間でNATOが東方拡大しないという条約は存在しないし、国際協定もされていないので、NATOが東方諸国の加盟を「勧誘」したとしても、それは国際法違反ではもちろんありません。

 逆に、1994年12月5日にハンガリーの首都ブダペストで開催されたOSCE(欧州安全保障協力機構)会議において、アメリカ・イギリス・ロシアの核保有3ヶ国が署名した「ブタペスト覚書」では、ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンが核不拡散条約に加盟し旧ソ連時代の核兵器を手放したことに応じて、協定署名国であるアメリカ・イギリス・ロシアがこの3ヶ国の安全を保障したのですが、これには法的拘束力があります。

 ところが、2014年にロシアはこのブタペスト覚書に反してウクライナ領土であるクリミア半島に侵攻して、ウクライナからクリミア半島を奪って併合し、今また国連憲章に違反してウクライナ本土に侵攻して4州を併合宣言しているのです。

 即時停戦派や親露派が、NATOが東方拡大しないと国際協定を結んでいないことや、ロシアが逆に国際協定であるブタペスト覚書を破ったことをどう評価するのか書いているのを見たことがありません。

 平和を希求するという即時停戦派がこのような自説に都合の悪い事実には口を拭って、ウクライナの防衛戦争には厳しくロシアの侵略戦争には甘いのがまさに不公平で、判断が偏っているというほかなく致命的であって、説得力を減らすのです。

国際司法裁判所がロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置命令(法的拘束力あり)。「ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」

「NATOの東方拡大」はプーチン大統領によるウクライナ侵略の「動機」ではあり得ても、ウクライナ戦争の「原因」とは言えない。ウクライナ戦争の原因はロシア軍によるウクライナ侵略以外にあり得ない。

 

 

 さて、佐藤氏はこの対談の最後に、創価学会の池田大作氏の即時停戦論を天まで持ち上げていたように、

『あるべき姿って、平和だと思うんですよね。人が人を殺し合う権利なんていうのは、誰にもないと思うんです。キリスト教でも殺すことなかれといいます。どんな宗教でもそうです。マルクス主義者も「平和のための戦い」とずっと言っていたわけです。』

と宗教チックなことを言うのですが、人を殺す権利がないとはまずロシアのプーチン大統領とロシア軍に言うべき言葉でしょう。

 殺しあう権利がないからウクライナ人に抵抗するな、ウクライナだけ非暴力抵抗のガンジーのようになれ、というのは不公平すぎて非現実的で無茶苦茶です。

 それに自分や他人の生命を脅かされたらそれを守るために正当防衛をしていい権利があるというのは、万国普遍の法原理です。

 侵略しているロシアが撤退すればウクライナの人命が失われることもなく、核戦争の危険も去るのですから、まずロシアの撤退を求めるのが人命尊重と平和主義からは当然なのです。

 
 
 
追伸
 
2016年の大統領選挙ではプーチン大統領の「支援」もあって当選したと言われているトランプ前米大統領が、次の大統領選挙で自分が当選したら、まず真っ先にウクライナへの支援を停止すると言い出した
 
自説の周辺に佐藤優、伊勢崎賢治、鈴木宗男、森喜朗、橋下徹、トランプなどのようなゴロツキばかり集まってくる現状に、即時停戦派は何を思う(笑)。
 
 
 
 
佐藤優氏と対談している加藤登紀子さんの方は筋金入りの平和主義者。
 
『日本もアメリカの軍事同盟国ではあるけど、「すみません。私たちは中国、朝鮮半島、ロシアに一番近い国なんでいい関係でいたいんです。私たちの立場をわかってください」というメッセージを発信してもいいと思うんですよ。日本の立場が世界の市民に受け入れられる説得力を持てばアメリカ政府も応じざるを得ないでしょう。そもそもそれが 民主国家の意味だと思うんです。』
 
とおっしゃっているのには
 
 
で書いたように、日本のあり方として当ブログも全面的に同意です。
 
そして、欧米の産軍複合体の儲けの道具になっているウクライナへの軍事援助の弊害もよくわかるのですが、これを止めるとウクライナの市民に対するロシア軍の虐殺が始まるのがわかっているだけに、ウクライナへの全世界の支援がすべて絶対非暴力といかないのが難しいところなのです。

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日本はウクライナ戦争から距離を置くことができる 加藤登紀子と佐藤優が問う「平和」

2023/03/05 11:00 AERA

作家・元外務省主任分析官 佐藤優さん(63、左):東京都生まれ。著書に『池田大作研究』『日本共産党の100年』『君たちの生存戦略』『希望の源泉・池田思想5』など/歌手 加藤登紀子さん(79):中国東北部ハルビン市生まれ。近著に『百万本のバラ物語』。5月26日に東京国際フォーラムホールCで「百万本のバラ物語」コンサートを開催予定(写真映像部・東川哲也)

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が長期化するなか、殺傷能力のある兵器が送れない日本だからこそできることは何か。旧満州からの引き揚げ経験者で、歌手の加藤登紀子さんと作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが意見を交わした。AERA 2023年3月6日号の記事を紹介する。

佐藤:加藤さんが68年にソ連7都市演奏旅行から戻ってきたときはたくさんの取材を受けたんですよね。

加藤:横浜の港に戻ってきたら、すごい数の記者がいたんです。それはソ連のチェコ侵攻(チェコ事件)の後だったから。当時、プラハにソ連の戦車が入ったというだけで、全世界が沸騰したわけです。

佐藤:ウクライナ戦争とチェコ事件の根本的な違いは、チェコが非暴力抵抗路線をとったにもかかわらず、ソ連軍が入ってきて住民を殺害したことでしょう。国際社会がわき立ったのは、チェコが非暴力をとったからです。今のウクライナ戦争と違うんです。

加藤:なるほど。

佐藤:だから(当時のチェコスロバキアの政治家)アレクサンデル・ドゥプチェクとかも抗議するんだけど、非暴力と力では力に押し切られます。しかし、その場においては無力のように見えても、道義的には歴史の中において非暴力抵抗のほうが勝つんです。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、すぐに銃を国民みんなに配って火炎瓶の作り方を教えました。全員で武装抵抗しろと。あれを世界中はほめたたえていますが、後に歴史においてどう検証されるのか。やはり私は非暴力抵抗のほうが強いと思うんです。

加藤:私も絶対そう思います。

佐藤:非暴力抵抗だったら、ロシアの中からももっと強い形で抵抗運動が出てきたでしょう。ロシアから出国した人は200万人ぐらいと言われていますが、ほとんどが戻ってきています。その人たちが、戦争はやむを得ないという感じになっているというのです。ヨーロッパの中で反ロシア感情を見てきていますから、もしウクライナが勝つとひどい目に遭わされると。それらの人々は、プーチン大統領の政策を支持していないにもかかわらずです。ロシアのプーチン大統領は上下両院に対する年次教書演説で、米ロ間の「新戦略兵器削減条約」履行停止を表明した/2月21日(写真:ロイター/アフロ)

ロシアのプーチン大統領は上下両院に対する年次教書演説で、米ロ間の「新戦略兵器削減条約」履行停止を表明した/2月21日(写真:ロイター/アフロ)

加藤:戦争はある種の化学変化を人の心にも起こしてしまうんですよね。

佐藤:方々で化学変化が起きているんです。だからキューバ危機時代のケネディ元米大統領とフルシチョフ元ソ連首相、米ソで初の核軍縮を実現したレーガン元米大統領とゴルバチョフ元ソ連書記長がやったように良い方向への化学変化を岸田首相にも期待したい。殺傷能力のある兵器を送れないんだから、そこを逆用すればいいわけです。

佐藤:アメリカの軍事同盟で最大の相手国はイスラエルです。イスラエルは、ロシアに制裁もしていないし、ウクライナに殺傷能力のある兵器も送っていません。アメリカとの軍事同盟を切り離して、ウクライナ戦争から距離を置くことに成功したんです。イスラエルにできて日本にできないことはないと思います。イスラエルの友人に聞いたのですが、「我が国は国力がなくて非常に小さい国なので、周辺諸国との緊張だけで手いっぱいです。ウクライナとかロシアとか難しい問題に巻き込まないでください」と説明しているというのです。

加藤:日本もアメリカの軍事同盟国ではあるけど、「すみません。私たちは中国、朝鮮半島、ロシアに一番近い国なんでいい関係でいたいんです。私たちの立場をわかってください」というメッセージを発信してもいいと思うんですよ。日本の立場が世界の市民に受け入れられる説得力を持てばアメリカ政府も応じざるを得ないでしょう。そもそもそれが 民主国家の意味だと思うんです。

佐藤:あるべき姿って、平和だと思うんですよね。人が人を殺し合う権利なんていうのは、誰にもないと思うんです。キリスト教でも殺すことなかれといいます。どんな宗教でもそうです。マルクス主義者も「平和のための戦い」とずっと言っていたわけです。

(構成/編集部・三島恵美子)

AERA 2023年3月6日号より抜粋

 

 

ロシア軍の即時撤退とウクライナでの永続的な平和などを求める決議案が採択されました。
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ロシア軍のウクライナ全面侵攻が始まってから2月24日で1年を迎えた。これに合わせて、2月23日に行われた国連総会の緊急特別会合で、ロシア軍の即時撤退とウクライナでの永続的な平和などを求める決議案が、141か国の賛成で採択された。

この決議に法的拘束力はないが、ロシアの国際社会での立場を孤立させることに成功したと朝日新聞デジタルは報じている

国連の発表によると、賛成した国は日本、アメリカなどを含む加盟国193カ国の過半数に当たる141カ国であった。

反対した国は当事者であるロシア、ベラルーシ、朝鮮民主主義人民共和国、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリアの7カ国。棄権した国はインド、中国、パキスタンなどの32カ国だった。

この決議を通して総会は、戦争の国際的な影響に対処するため、各国に連帯の精神で協力するよう呼びかけた。また、決議はウクライナ内で行われた重大な国際法違反に対して調査と訴追の必要性を強調した。

■加盟国193カ国の投票、その内訳は

国連の公式Twitterによると、国別の投票の内訳は以下の通り。

ベラルーシ、朝鮮民主主義人民共和国、エリトリア、マリ、ニカラグア、ロシア、シリア

■棄権(32カ国)

アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バングラデシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ共和国、中国、コンゴ、キューバ、エルサルバドル、エチオピア、ガボン、ギニア、インド、イラン、カザフスタン、キルギス、ラオス、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、パキスタン、南アフリカ共和国、スリランカ、スーダン、タジキスタン、トーゴ、ウガンダ、ウズベキスタン、ベトナム、ジンバブエ

 

 

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