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仏像展

2006-10-24 22:59:42 | 美術[は]
「仏像」特別展@東京国立博物館

 「一木オールスター。百四十余躯 東京に集結!!」
 「一木にこめられた祈り」
 いったい何がおっ始まるのかというようなすごいキャッチコピーで始まった仏像展に行ってきた。平成館に居並ぶ大小の仏像たち。一木彫特集ということで、今回は土や金属の仏像はお出ましにならない。

 「十一面観音菩薩立像@奈良国立博物館」 42センチくらいの小さな像だが、十一面とも髪は黒っぽく、肌はオレンジ色をしていて、顔つきや装飾具も丁寧で色合いがいい。

 「四天王立像@島根・大寺薬師」 180センチ以上ある伝持国天と伝広目天の2対が、並んでポーズをとっているのがかっこいい。

 他の仏像と別格で豪華な展示をしてある「菩薩半跏像@京都・宝善提院願徳寺」 すごくいい感じのバランスのよい姿で右足を垂らして台座に座っている。表面もツルツルして黒光りしている。11月7日からはこの菩薩から替わって「十一面観音菩薩立像@滋賀・向源寺」が展示される。

 やはり仏像も、ヒビが入っているのはOKだが、鼻がもげてたり、靴の先がもげてたりしては残念である。完全な形であって欲しい。それからあまりにも顔のデカイ仏像もバランスがよくない。おぼっちゃまくんみたいで。

 「宝誌和尚立像@京都・西往寺」 これは好きではないけど、顔が裂けている。劣化して裂けたのではなく、顔の真ん中から両側に裂けて、中から十一面観音が姿を現すというありがたい姿に彫ってある。そういう話を聞けば、なるほどと思うが、それでもヤバイ。この像が夜道に置いてあったらギョっとするだろう。置いてあるだけでなく歩いていたら腰が抜けるだろう。歩かずにすーっと移動していたら卒倒するかもしれない。笑いながらこっちに向かって走ってきたらもう死ぬだろう。

 地蔵や仏像はありがたい反面、コワイ存在でもある。子供のときはホンマにコワかった。

 エリアを移ると、いきなり目に飛び込んで来たのはトーテムポール・・・かと思うような円空の作った立像たち。丸太を3つに割って3体のひょろ長い像を作っってある。ワイルドな、大胆な削り方は、小学校の図工の時間を思い出しそうだが、にこやかな表情とエキセントリックな形状は、前のエリアに並んでいた仏像たちとまったく違った現代彫刻のような趣きを感じさせる。全国を行脚して12万体もの仏像を作ったのだという。スゲェ。

 最後のエリアは木喰の作った、これまた個性的な、まんまるちっくな雰囲気がぷんぷんする、子供の玩具のような仏像たち。笑ってる。笑ってる。めっちゃ笑ってる。円空と打って変わってツルツル、スベスベした肌触り(触ってないが)で、丸い。丸い。めっちゃ丸い。子供が遊んでいてもトゲが刺さらないような安心感と安らぎを感じる。円空を見習って全国を渡り歩き、千体の仏像をつくったらしい。

 雨の平日で、それほど混んでなかった。平成館から本館、法隆寺宝物殿、東洋館と、どこにも仏像が展示してある。一木オールスターではお呼びがかからない千手観音も本館にある。おまけに修復が終わったばかりの、緑色の丸屋根の表慶館も見てきた。飯も食わずに缶コーヒー1本で6時間もうろうろしていたら、足がいくつあっても足りない。千足観音ではないので。水分補給しないと体によくないね。残念なことに、雨天のため裏の庭園の開放が中止されていた。ナンテコッタ。

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