踊る!子豚御殿♪

吠える専業主婦、ライチ!参上♪

マシュマロの手

2008-10-31 22:53:16 | ライチ家の人々
「じゃ、来月また来るから。元気でね。」
帰り際、それだけ言って、母の手を握った。
すっかり家事をしなくなった母の手は、
白くてマシュマロのようにフワッとして、そして、少し冷たかった。

実家の母、71歳。
両股関節を手術し、現在、身体障害者3級、要支援2のカラダだ。
『おばあちゃん』というには全然若い。(実際、孫もいないし。)
近頃は、日がな一日、ベッドで横になって過ごしている。
トイレと食事のとき以外は、殆ど起きて来ない。
手押し車か杖をつき、なんとか歩く事もできるのだ。でも、しない。
火曜日のリハビリ、水・金曜日のデイサービス、と外出日はあるが
母は、自発的に向かってる感じでもない。
やりなさい、と言われて仕方なくやっている、
ホントは、やりたくない…というふうなのだ。
感情表現も薄く薄くなった。喜怒哀楽がハッキリしない。
食欲も無いし、なんに対しても意欲がわかない。
たぶん、軽い『老人性のウツ』なんだと思う。

父は、息絶え絶えな感じで、慣れない家事を切り盛りしている。
が、所詮、ビギナーの主夫。いろんなところに目が行き届いてない。
アタシは、月1~2回の割で実家に戻り、溜まった家事をする。
例えば…父は、腰が痛くて掃除機が思うようにかけられない。
アタシは、家中を舐めるように掃除機をかけ、
母の寝ているベッドマットを干し、シーツや枕カバーを洗う。
母の好物のキンピラごぼうを作ったり。
(これだけは喜んでモリモリ食べてくれるから、嬉しい。)
まあ、アタシは、せいぜいそんなことしかできない。

先日亡くなった俳優の緒形拳は、母と同年代。
彼の代表作『楢山節考』の話題になったら、母がボソッと呟いた。
「私も山に捨ててけれ…。」と。
…ああ…お母さん。なんて、悲しい事言うのかね?
捨てたいなんて、これっぽっちも思わない。
ボケてもいいから、寝たきりでもいいから、ここに居て欲しい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿