「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

英語と日本語の境界 ~映画で学ぶ英会話~

2018-04-26 | 留学全般に関して
かつて夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したと言われます。
もちろん意訳なのですが、「あなたが好きです」と直接的に言えない日本人的な気恥ずかしさと奥ゆかしさを、ある程度捉えているように思います。このように英語と日本語の間には筆舌に尽くしがたい距離感があり、その境界付近を彷徨う私たちをときに苦しめます。日本語での会話でもそうですが、英会話においてたとえリスニングが出来たとしても、どう解釈するかが難しい場面というのは多々あります。

私は、大学入試の時、英語という科目が大の苦手でした。
センター試験は「パターン認識力」で突破できたとしても、二次試験の英語ではやはり苦戦を強いられていました。今振り返ると、あの頃の私はあまりにも直訳的というか、英語で表現されている「概念」を認識する能力がやはり低かったような気がします。つまり、ひたすら「型にはまった英語表現」(死んでいる英語)を勉強をしていたように思います。
「日本で英語の勉強をするにはどうしたらいいか」とはよく聞かれますが、私は文法的には日本の高等教育で十分だと思います。外国人とメールなど文面でやりとりする分には、高校までの英語で大丈夫でしょう。死んでいる英語でもOKなのです。そういう意味では、あの頃の勉強は決して無駄ではなく、日本の受験英語も決して悪くはないと感じてはいます。

しかし、「英語を喋れない日本人」と揶揄されるように、日本人の多くは生の英語が苦手です。
これは日本の受験英語の明らかな弊害です。つまり座学ではどうにもならない部分があると思います。

では、より生々しい英語に触れるにはどうしたらよいかというと、私の意見としては、思い切って座学から離れるのが宜しいかと思います。とくにオススメなのは留学などで外国に直接飛び込むことです。つまり腹を括るのです。そうやって、なりふり構わずデタラメな英語を喋るうちに、ある種の悟りを得られる気がしています。
実際、今の私は「とりあえずなんとなく通じれば何でもOK」というふてぶてしさを習得し、「失うものは何もなく、いつ死んでも問題ない」という葉隠的な精神で生きています。したがって、英語の意訳というか、もはや原型を留めない独自解釈も許容することが出来るようになりました。そうすると、生きている英語というか、言語における「より生々しい部分」が判るようになってきます。
つまり、生きている英語と日本語の距離感がなんとなくつかめるようになるということです。

でも、留学なんてできないよ、と。留学ではなく日本国内でなんとかこの種の英語と日本語の距離感を学びたい。そういう方々もいらっしゃるでしょう。
その場合には、よく言われていることですが、やはり映画やドラマが効果的だろうと私も思います。実際、私は『ドクター・ハウス Dr. House』というアメリカのドラマが好きでよく観ていましたが、日本に居てもそれなりに勉強になりました。このドラマは医療を扱っているので、医療従事者には色々な意味でオススメです。

そして、映画でオススメなのは、なんといっても『コマンドー Commando』(1985年)です。

そう、主演はアーノルド・シュワルツェネッガー Arnold Schwarzeneggerです。シュワちゃんの映画は一般には『ターミネーター』シリーズなどが有名ですが、根強いファンが多いのはやはり『コマンドー』でしょう。メイトリックス大佐を演じるシュワちゃんは、第三次大戦を独りで始めるほどの最強戦士であり、ユーモア溢れる皮肉紳士ですから。
とにかく翻訳が神がかっており、面白すぎです。

He's one gigantic motherfucker!
筋肉モリモリマッチョマンの変態だ。

上の写真のシーンで「gigantic」を「筋肉モリモリマッチョマンの」と訳せるのは、やはり常人ではありえません。とはいえ、実に特徴を捉えていますね。この場面での意味がよく通じるようになっており、翻訳者の異才を感じます。
その他にも色々と無茶な翻訳に満ちあふれています。たとえば下記の台詞。もしも「wrong」を「OK」と訳したら、大学入試ではまず落ちると思いますが、しかし、この映画ではもちろんOKです。
「オーケー?」→「OK!」という小気味よさが最高です。そして、OKと言いつつ、銃をぶっ放すのが笑えます。実に生き生きとしている表現で私は大好きですね。

Your daughter's safe, colonel.
Whether she stays that way is up to you.
My people got some business with you.
If you want your kid back, then you gotta cooperate.
Right?!

娘は無事だ大佐。
この先どうなるかはあんた次第だ。
無事取り戻したければ、俺たちに協力しろ!
オーケー!?

Wrong!!
OK! (ズドーン!!)


Make hay while the sun shines

2018-04-21 | 留学全般に関して
今日もBelfastは良いお天気でした。

Make hay while the sun shines.
日が照る間に干草を準備せよ

英国のことわざです。つまり「チャンスを有効に活かせ」という意味ですね。
この言葉を知ってか知らずか、晴れた日には英国北アイルランドの人たちは日光浴に対して実に貪欲であり、わらわらと家から出てきて、公園やオープンカフェなどでゆっくり寛ぎます。こんなにこの街は人口多かったかなと思うほどです。
色素が少ないのに日に焼けることにとても積極的な彼らを横目に見つつ、私は日陰を歩くことにしています。

たしかに何事も好機は貪欲に活かすべきです。
機を見るに敏であり、果断でありたいものですね。

英国大学院留学のための奨学金について

2018-04-14 | 留学全般に関して
昨日のブログ記事でもすこし触れましたが、イギリスの大学院の学費は高額です。EU加盟国の留学生とそれ以外の留学生では学費が異なり、日本から留学する場合、文系で年間200万円くらい、理系(ラボワークあり)だと250~300万くらいかかります。さらに留学期間中の生活費がかかるわけです。
完全に親御さんが負担してあげる自費留学の場合、親御さんが頑張って子供に1年間の英国留学費用、例えば修士課程留学費用を出してあげるとして、生活資金を含めてざっと数百万かかります。裕福なご家庭でなければ、ちょっと厳しいでしょうかね。あるいは、ある程度の期間を就職して、その貯蓄をもって留学費用に充てるという場合もあるでしょう。自力で留学する場合は後者が主になるでしょうか。
とにかく、留学には金がかかるものです。

しかし、別に完全に自費で行く必要はありません。そのための奨学金制度です。
お金がない人たちは、奨学金をくれる大学や団体や財団などに「お金ちょーだい」と応募して、なんとか採択してもらって、そうやって得たお金でなんとかやりくりするわけです。奨学金をくれる先としては、大きく分けて、現地(英国)でもらえるもの、日本でもらえるものがあります。奨学金には給付と貸与の2種類があります。ただし、貸与はつまり借金ということであり、いずれは返さなければなりません。
私の場合、在籍している大学院からの奨学金や、日本の民間団体・財団からの留学助成金など、これまでに全部合わせると1千万には届かないものの数百万の額を頂いており、これから頂戴する予定の分もあります。しかし、それでも博士課程在学中にかかる費用全てをまかなうのは厳しいだろうと思っています。以前に働いていた期間の貯蓄もあるので、まあ、それなりの水準で研究生活が出来てはいますが。

では、どうやったら留学奨学金を獲得できるのか。
よく聞かれる質問なのですが、普通にあちこち応募して、採択して頂いているだけです。もちろん、合格するだけでなく、不合格になることもあります。私の場合、医師として働いて論文も10報くらい書いていた経歴が、奨学金の趣旨に依っては有利になったり不利になったりするようです。落ちても腐らずに「駄目でもともと」の精神であちこちの奨学金へ申請してきました。

ただ一つ言えるのは、ちゃんとそれなりに努力すれば、奨学金は獲れる可能性が高いです。
努力をしても奨学金が獲れるとは限りませんが、獲れない人はやはり努力が(絶対的に)足りていないと思います。
「どうして留学したいのか」
「留学における具体的な目標は何か」
「留学先として英国を選択した理由は何か」
などをしっかり考えて理論武装し、留学に向けて実力を養えば(IELTSである程度の点数を取る等)、どこかで拾ってもらえるチャンスが出てきます。まさに捨てる神あれば拾う神あり。
私の親しい友人は、日本人ではなくハンガリーの出身ですが、ハンガリーでトップの大学を卒業した後、英国の大学院に入る前にロンドンで4年間下積みといいますか、色々なところで働きながら英語を勉強してお金を貯めたそうです。彼は現在、欧州の某製薬企業から奨学金を獲得し、うちの大学院医学博士課程に在籍しています。
諦めなければ、努力すれば、道というものはいつか拓けるように出来ているものなのでしょう。

日本人留学生で留学助成金を獲得している人の多くは、おそらく所属大学の奨学金を取得しています。英国の大学院の幾つかのコースは奨学金付になっており、これに応募して合格し、そのまま入学するタイプです。ただ、いかんせん競争は激しいので、あまり数は多くないですね。
日本の留学助成団体としては、google検索してもらえれば判ると思いますが、日本学生支援機構JASSOの海外留学支援制度(大学院学位取得型)、本庄国際奨学財団、村田海外留学奨学会、平和中島財団などがあります。理系ならば船井情報科学振興財団などもあります。いずれかの奨学金を取得出来れば、完全にまかなえるかどうかはともかく、ある程度の英国大学院留学費用にはなると思います。

在アイルランド日本国大使館

2018-02-07 | 留学全般に関して
本日、所用があって在アイルランド日本国大使館へ足を運びました。
夕方までには大学に戻りたかったので、北アイルランド首都Belfastからアイルランド首都Dublinへ朝早くの電車で出掛けました。ここ数日のBelfastは異常に冷え込んでおり、朝はうっすらと雪が積もっていました。

在アイルランド日本国大使館はなぜかDublin郊外にあるので、中心部からDARTという路線に乗って十数分かけてSydney Paradeという駅まで行き、そこから数分歩かなくてはなりません。ちょっと不便です。公館の大きさも写真の建物の1F分であり、在英国日本国大使館と比べるとだいぶコンパクトな印象です。さらに所用を済ませる1時間中に私の他に誰も利用者がいませんでした。
所用がスムーズに済むのはありがたかったのですが、ちょっぴり寂しい感じでしたね。

昨年、日本とアイルランドの国交樹立60周年を祈念して、色々なイベントがあったようです。
ご承知の通り、アイルランドという国は20世紀になって英国から独立した新興国ですが、大英帝国の一部であった頃からアイルランドに住む人々は日本と関わりがありました。例えば、小泉八雲 Patrick Lafcadio Hearnがいます。彼は日本の怪談話を英語でまとめた『怪談』で知られていますが、アイルランド出身の父とギリシャ出身の母の間に生まれ、父親の故郷であるDublinで育ちました。その後、米国を経て日本に移住。日本人女性・節子と結婚し、西洋に日本の民俗文化を広めることに多大な貢献がありました。

在アイルランド日本国大使館の職員の方に聞くと、英国北アイルランドに在住の方々はLondonにある在英国日本国大使館まで行くのが大変なので、予め連絡さえしておけば、国が違うとはいえ色々なサービス対応をして下さるとのことでした。海を越えてわざわざLondonまで行かずに済むのはたしかに助かりますね。

残念ながら今回は大使館に勤務している知人に会うことはかないませんでしたが、Dublinの街中をちょっとだけ観光することが出来たのは良かったです。


出前一丁

2018-01-28 | 留学全般に関して
先日の記事に対して「出前一丁が美味いずら、日清最高ずら」という意見がありました。
たしかにTesco Expressで買える出前一丁は、3袋で£1という安さであり、さすがは日清、Tescoブランドの袋ラーメンよりもはるかに美味しいとは思います。わざわざアジアンマーケットまで行かなくても、Tescoで日本企業ブランドの袋ラーメンが普通に買えるのは良いですね。私は日本に居た頃は日清ではチキンラーメンが一番好きでしたので出前一丁はあまり買いませんでしたが、これからは出前一丁も買うことにしましょうか。

「英国はメシマズ」という定番ネタがあります。
フィッシュアンドチップスしか食えるものがないと嘯く輩までいます。しかし、今はグローバル化が進み、英国内でも各国料理は比較的簡単に手に入ります。実際、日本人留学生でも女子力の高い方々は、家で普通に天ぷらを揚げたりしていました。餡子を作っていた人までいました。何でも食おうと思えば、食えるわけです。たぶん。
学生街だとテイクアウェイ(日本で言うところのテイクアウト)も充実しています。中華料理、トルコ料理、ファストフードなどテイクアウェイも気軽に出来ます。私は自宅近くのタイ料理屋さんのテイクアウェイが好きです。
英国料理もローストビーフなど美味しいですし、言うほど、メシマズではないように思います。

つまり、英国への留学を検討する際、「英国は飯が不味いから、ちょっと……」という心配は不要と思いますね。

カブト・ヌードル

2018-01-27 | 留学全般に関して
今週も終わりましたが、うちのラボの混乱はまだ続いており、先が読めません。色々なことが宙ぶらりんのまま、時間だけが過ぎていく感じです。

ここBelfastは例年よりも寒いとのことですが、今のところ今シーズンも雪はそれほど降ってはおらず、まだ耐えられますね。東北よりも暖かい気がしています。

米国でインフルエンザが流行しているようです。2009年パンデミック以降最大規模の流行になるとのことで、寒波と相俟って、だいぶ大変なことになっているようですね。

突然ですが、寒い時はラーメンを食べたいなあと思うことがあります。次郎とかね。
しかし、当たり前ですが、北アイルランドにはそんなものはないわけです。まともなラーメン屋さんもなく、あるのはカップラーメンや袋ラーメンだけですね。アジアンマーケットに行けば、特定アジア(日本とは言っていない)で生産されたものが売っています。とくに韓国系のものが多い気がするのですが、それはBelfastだけでしょうかね。
とはいえ、TESCO(日本で言うところのスーパー)でもカップラーメンの類はそれなりに売られていて、その中で私が比較的好きなのが写真の「KABUTO NOODLES カブト・ヌードル」です。£1.5とかするので、ちょっち高いな~とは思うのですが、時折購入しています。味はまあまあ美味しいと思います。日本風の味付けと言えなくもないですね。

夜中に「なんか腹減ったずら」と思った時、カブト・ヌードルにお世話になります。
太るかもしれないけれど、まあ、好きな時に好きなものを食っても誰にも文句を言われないのが独り暮らしの醍醐味ってやつであります。それは日本に居ても英国に居ても変わりませんね。

日本をどう見て、どう評するべきか

2017-11-21 | 留学全般に関して
海外に居ると、日本の良い点、悪い点がよく見える時があります。国内からの視点とはまた違った位置から俯瞰出来るということなのかもしれませんが、確かに新しい発見に出会うことはあります。したがって、海外邦人による「日本」批判は比較的に的確であることが多いような気がします。あくまでも私自身の体験に基づいて、ですが。

とはいえ、正直、「あんたがそこまで言える立場か?」と感じることも、しばしばあるのですね。
たとえば私は、米国に在住する某医学研究者のブログを時々拝見していますが、東大から海外に移籍することになった経緯が悪かったせいか、日本の医療体制、医学界に対するコメントはメスのように鋭いものがあるものの、どうしても私怨が混じっているようにも見えるのですね。とても愛国的でいらっしゃるので、医学、医療においても日本が世界のトップ集団の一員であって欲しいという思いはブログ記事からもよく感じられるのですが、私に言わせれば「米国に移る前に20年くらい日本の中枢に近いところで研究し、多額の研究費を使って、政策決定にも携わる位置に居た貴方がどの面下げてそこまで言うのか」という気もします。日本をダメにした責任の一端は彼自身にもあるはずだからです。
つまり、何が言いたいのかと言うと、海外に居るからといって偉そうに「日本は~」というのはあまり良くないのかもしれないということです。

私もまた医療人であり、研究者でもあるので、やはり医学、医療の分野において日本には頑張ってほしいという思いはあります。そして、やはり国際的に日本の相対的な位置が徐々に低下していることについては歯痒い思いを抱いています。海外の研究拠点にいるので、当然ではありますが、米国、英国、中国などと比較して、日本の医学研究のどこが弱いのかはよく見えるようになりました。だから、「ここが駄目だよ、日本は」と言いたい気持ちもよく判るのです。
しかしながら、冷静に振り返ると、日本の弱点とはすなわち自分自身の弱点でもあることが多いのです。よく考えたら当たり前の話で、つまり、私もここに来るまでは日本でやっていたのですから。それが当然だと思いながら、毎日毎日、他の日本人と同じようにやっていたわけです。そして、それまで同じ側にいたから見えなかったことを、すこし離れた場所に立って「それってヘンだよね~」と指さすような行為は、あまり格好良いものではないような気がするのです。所詮は同じ穴の狢だったのだから。
気付いた者が「もしかしたら、これは変えた方が良いのではないかな?」と問題提起する必要性は確かにあります。外国に居るからこそ気付くことを海外邦人が日本に伝える意義は否定できません。要は言い方というか、批判の仕方というか、伝える過程が大事なのでしょうかね。「他人の振り見て我が振り直せ」ということで、私自身も色々と考えさせられます。

アントリウム州の美しい光景

2017-10-29 | 留学全般に関して
本日は、北アイルランドでいつもお世話になっている方のお宅にお伺いしました。そして、アントリム州County Antrimの美しい景色を色々と見せて頂きました。上の写真はベルファスト湾を一望する景色で、カメラマン(私)の腕が悪くて恐縮ですが、本当は幻想的でとても綺麗な光景でした。今の季節も悪くありませんが、きっと夏にはもっと素晴らしいことでしょう。その他にも、様々な場所を案内して頂き、素晴らしい一日を過ごすことが出来ました。



もうすぐハロウィーンですね。そして、ハロウィーンの本場は実はアイルランドなのです。あちこちにジャック・オー・ランタンが飾られており、北アイルランドでも楽しい雰囲気に包まれています。
Trick or treat♪


Belfastの玄関 George Best City Airportについて

2017-10-01 | 留学全般に関して
「George Bestって、誰ですか?」

とまず言いたくなると思われますが、彼はBelfastが輩出した有名なサッカー選手です。上の写真は空港内に飾られているGeorge Bestのものですが、このような甘いマスクで1960年代の英国サッカーを盛り上げた、マンチェスターユナイテッドの伝説的人物です。史上最年少で「バロンドール」を受賞した彼は、英国フットボール史上屈指の名選手として高い評価を受けるとともに、身を持ち崩したスター選手にありがちなアルコール依存症、不倫、離婚劇などの悲劇的な晩年とともに、今もなお人々の記憶に深く刻まれているようです。
私自身は、マンチェスターユナイテッドの昔の名選手と言われても、あのベッカム(David Beckham, OBE)くらいしか知らないのでどう反応したらよいのか判りませんが、サッカー選手の名を空港に冠するのはなかなか興味深く思っています。日本には、おいしい山形空港、鳥取砂丘コナン空港など、「本当にそれでいいのですか?」とちょっとお聞きしたくなるような空港名があるので、それらに比べたらまだマシなのかなと思います。日本にはスポーツ選手の名前を冠した空港はないと思いますが、たとえば神戸空港あたりをイチロー神戸空港(オリックスで活躍したから)などにするようなイメージでしょうかね。

Belfastには空港が二つありますが、もう一つのベルファスト国際空港Belfast International Airportに比べると、シティー空港George Best City Airportはかなり小さい空港です。しかし、街中から近いし、ヒースローLondon Heathrow Airportからの便が多いので、もっぱらBelfastと日本との往復にはこの空港を使うことになるかと思われます。残念ながら、この小規模な空港にはお土産屋さんなどの設備はあまり充実しておらず、純粋な交通拠点という感じです。利用客はそれなりにいるようですが、やはりグレートブリテン島との往来に使われるのがほとんど、そういう意味ではある種の「駅」みたいな位置付けになるのかもしれません。

「まあ、僕は好きだけどね、あの空港」

と、以前、地元出身のKarl氏が言っていました。City Centreからのアクセスが抜群に良いので、たしかに重宝できます。地元に愛されているという意味では、幸せな空港なのかもしれませんね。
私も日本に帰る時はいつもこの空港を使っています。

知人の来訪

2017-09-22 | 留学全般に関して
昨夜は、かつてサマースチューデント時代にお世話になった在英日本人研究者の方が、アイルランド共和国のDublinで開催された学会のついでに、Belfastに私を訪ねて来て下さいました。
パブで夜遅くまで懐かしい話や近況を伺ってしまいました。女性研究者として活躍されながら、3人のお子さんを英国で出産され、御主人と一緒に育てていらっしゃのには頭が下がる思いです。英国の方が働く女性に対するサポートが日本よりも手厚いのかもしれませんが、それでもやはり男性よりもdisadvantagesが多いでしょうから。
話が長くなりだいぶ夜遅くになってしまったので「今日はこのままBelfastに宿泊なさるのかな」と思いきや、日付が変わってからDublinへバスでお戻りになられたのでした。さすがプロの研究者はタフでした。

写真は、世界で一番爆破されたホテル(合計で30回以上)として名高い「Europe Hotel」のバーです。Belfast屈指の一流ホテルは、さすが落ち着いた雰囲気で、我々の2次会に場所を提供してくれたのでした。つかの間の楽しい一時でした。

遠い異邦の地に居る時に、わざわざ知人が訪ねて来て下さるのは、やはりとても嬉しいものですね。

長かったような短かったような1年間~まだ夢の途中

2017-09-02 | 留学全般に関して
まず、今更ではありますが、フットボール男子日本代表の勝利とW杯出場決定、おめでとうございます!
2018年ロシアで開催予定のW杯への進出が決まったのは日本で4か国目とのことですが、来年W杯で母国チームを応援できる機会を得られて私も嬉しく思います。開催地が都市となるオリンピックとは違って、W杯は国家単位での開催ですからどうしても国内移動が多くて大変だと思われますし、とくにロシアは領土が広いですからなおさらでしょう。一体どんなW杯になるのか、楽しみですね。

さて、また9月になり、私が渡英してから約1年が経過しました。
長かったような気もするし、短かったような気もします。途中3回帰国して、合計で約1カ月半は日本に滞在したのですが、基本的には英国に居たのでした。その間、現在投稿中を含めて5報の論文を書き、1冊の本を出版しました。また、幾つかの研究助成や賞も頂戴しました。研究は当初の予想を良い意味で裏切る形で二転三転しつつも前へ進んでおり、学業でも色々とありましたが進級を果たしています。こうして振り返ると、英語運用能力はあまり伸びていないものの、やはり自身の成長につながるような経験はそれなりに積むことが出来たように感じます。
海外留学は今回で3度目ですが、前2回はいずれも数カ月の短期滞在でした。今回のような年単位での長期留学はおそらく最初で最後になるでしょうか。私は福島で放射縁防護学体系の在り方に疑問を抱き、「先端研究成果をもって旧概念を駆逐し、新しい放射線防護の概念を樹立し、ひいては福島原発事故被災地の復興の一助となりたい」と思って、わざわざ英国の片隅までやってきたのでした。今のところ研究はうまく運んでおりますが、この留学を終えるまでに成果として結実できればと願っています。

ここ最近、研究の打ち合わせで根を詰めていたので、今日は自宅でのんびりと休んでいます。
ここBelfastを含めて北アイルランドは日本人が少ない地域ではありますが、この1年の間に幾人もの若き日本人学生が来て、そして去っていきました。私はいつも迎えて、そして見送る側になりますが、彼らとの思い出もまた、この1年で得た宝物といえるでしょう。ちょっぴり感傷的な気分になって、自室で本を片手に紅茶を飲みながら窓の外を眺めていると、流れる季節を感じます。

He who would learn to fly one day must first learn to stand and walk and run and climb and dance; one cannot fly into flying.
(いつか空を飛ぶことを覚えたいならば、まず立ち上がること、歩くこと、走ること、登ること、躍ることを覚えなければならない。一足飛びには飛ぶことはできない)

先は長いですが、ひとつひとつ進めていくしかありません。次の1年も頑張ります。

北アイルランドの世界遺産 The Giant's Causeway

2017-08-09 | 留学全般に関して
先日、北アイルランドの誇る世界遺産「ジャイアンツコーズウェイ The Giant's Causeway」に仲間と行きました。
グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)を構成する北アイルランドの首都ベルファストから車で約2時間の距離にある海岸線に、六角形の石柱が無数に立ち並ぶ不思議な光景がありました。北の海へと続くこの石畳は、古の巨人が造った道として知られており、見る者すべてを圧倒する迫力があります。



夏休みだからでしょうか、多くの観光客がいましたが、石柱が並ぶ海岸線もそれなりに長いので、はしゃいでいても大丈夫でした。上の写真は、自分の足元の石の形に感動して、一葉撮ってみたものです。

ジャイアンツコーズウェイからすこし離れた場所に、迫力のある「キャリック・ア・リード吊り橋 Carrick-A-Read Rope Bridge」がありました。こちらも人気のスポットです。実際、観光客が多くいました。
幅は一人分しかありません。看板によると、8人までしか同時に乗れないとのことで、順番で交互に渡ったのでした。
その吊り橋を渡った先は北アイルランドの地の果てです。海の向こうにスコットランドが遠く見えました。

 


同じ海岸線には綺麗な古城として知られる「ダンルース城 Dunluce Castle」もあります。
周囲は断崖となっていて、かつて要塞として機能していた様子がうかがえました。時間の関係で内部にまで足を延ばすことは出来ず、遠景だけではありましたが、素晴らしい天気の中でひっそりと佇む城の美しさを感じることが出来ました。



私はウヰスキーをあまり嗜みませんが、コーズウェイコーストには世界最古のウヰスキー蒸留所である「ブッシュミルズ蒸留所Bushmills Distillery」があります。
試飲も出来ます。私はかつてウヰスキーを飲んで痛い目に遭ったことがありますし、当日はあまり体調も良くなかったので、試飲は避けてしまいました。しかし、次の機会には挑戦してみたいとも思います。
ウヰスキーの本場としてはスコッチウイスキーの方が有名な気もしますが、そういうことを言うとアイリッシュが黙ってはいません。「俺らの方が古いんだよ」という本家論争が始まりそうですね。



ブッシュミルズの近くにある木で出来たトンネル「ダーク・ヘッジ Dark Hedge」も観ました。
有名な観光名所らしいのですが、それほど大したことはありませんね。一般的にはあまり期待してはいけない場所なのかもしれませんが、好きな人は好きかもしれません。正直、日本にはこの木のトンネルよりも凄い並木が沢山あるような気がしましたが。



北アイルランドは小さな国です。
面積は福島県ほどの大きさで、人口も200万人弱です。かの大英帝国の一角とはいえ、人々もどこかのんびりしており、穏やかな時間が流れています。はっきり田舎です。しかし、英国とアイルランドの文化が混在する不思議な場所でもあります。
こちらに来てから1年弱になりますが、此の地にはまだまだ隠された魅力がありそうだと感じていますね。

研究も大事ですが、社会勉強の一環として北アイルランドの地理、歴史、文化にもすこしずつ触れていきたいと思っています。それが留学の醍醐味なのではないかとも思うのです。

今回も拙ブログ記事を読んで頂き、ありがとうございました。

ラーメン喰いてぇ

2017-07-31 | 留学全般に関して
留学生として英国に来て、困ることは沢山あります。たとえば英語、気候、金銭、そして食事です。

「イギリスってメシマズなんでしょ?」とはよく聞かれますが、私はそこまでマズいとは思いません。たしかに日本人の舌には合わないと思われる料理も散見されますが、それらはあくまで嗜好の問題の範疇であり、基本的には何でも食べられものばかりですし、味付けだって間違ってはいません。ただ、食材はあまり豊富ではないですね。とはいえ、英国の食事が全体的に美味しいというわけではないのは間違いないとは思います。したがって、英国の食事に耐えきれないというのは、あまり問題にはならないのです。問題になるとしたら、日本(故郷)の食事が恋しいということです。

もちろん、「自炊すればいいじゃん」という声もあるでしょう。似た食材を見つけてきて日本食を再現するという女子力の高さを見せつける人も知っていますが、私には無理です。私のような駄目人間コンテスト上位常連者には不可能です。

なにより最大の問題は、美味しいラーメンがないこと。
いや、カップ麵などが売られているのは知っていますが(買いませんけどね)、私ゃね、家系ラーメンが好きなんじゃ。時々、異様に食べたくなるのは、どうしてなのでしょうか?

半旗

2017-06-09 | 留学全般に関して
今週は激動の一週間でした。
昨週末のLondonでのテロの動揺を引きずったまま、英国総選挙が実施され、与党が過半数を割る事態となり、Brexitに向けて懸念される政局となりました。大学関連では、副総長急逝や、それに伴う大学院行事の変更がありましたし、個人的には、転居や、親類に不幸がありました。
まさか、こんなことになるとは一週間前には思いもよらず……

副総長の死を悼んで、本学では、今日も半旗が掲げられました。
私の気持ちも塞がったまま。一刻も早く日本に帰りたいですが、来週の大学院中間審査まで、ここに留まらなくてはなりません。

Belfastでお引越し

2017-06-03 | 留学全般に関して
さて、来週はついにお引越しです。

大学寮に住んで半年以上、食べ物や食器を盗まれたり、警報の悪戯で一晩に三回も真夜中に叩き起されたり、近隣住民の騒音に悩まされたりと色々ありましたが、ようやく静かに落ち着いた環境に移ることが出来そうです。以前にこちらで修士課程を学ばれていた方々から「大学寮の厳しさ」を伺ってはいましたが、やはり私には辛いものがありました。

学生時代を含めると、日本でもそれなりに転居を経験してきましたが、今回、ここに至るのにはちょっと疲れました。

引っ越しをするにあたっては、まず、生活背景が大きく異なる他者と空間をシェアするのがもう無理だったので、すこし高くてもいいからアパート(apartment)を選ぶという点は譲れませんでした。この微妙な高級志向からスタートしたのが、不動産屋(estate agency)から微妙に嫌がられる理由だったのかもしれません。
幾つか不動産屋を回りましたが、どこも「は? アジア人? フラット(flat)でもシェアしていろ」という態度を多少出してきて、正直、なんともやりにくかったのでした。定職がない外国人という設定が、ここまできついものだとは思いませんでした。とはいえ彼らも商売ですから、「この物件を観に行きたい」と言えば、しぶしぶ案内はしてくれました。案内すらしてくれない不動産屋もありましたが、流石に論外ですから、二度と行きませんでした。
英語が拙いのはたしかに私も悪いのかもしれませんが、案内してくれた幾つかの不動産屋も外国人相手にはかなり適当で、心配して一緒に付いてきてくれた友人が「おい、流石に失礼だろ」と若干キレ気味になるという体験を何度か繰り返しました。

結局、2つほど物件を選んで安い方からオファーを申し込むことにしたのでした。

オファーに際しては、保証人を確保する必要があったのですが、それも大変でした。
うちの指導教官たちはそういうのを引き受けてくれないという話はラボメンバーから聞いてはいましたが、まさか本当にそうだとは……。結局、大学院メンター制度を利用して、メンターになって下さっていた英国人の先生に相談したところ、幸運にも彼が私の保証人を引き受けてくれることになり、本当に助かりました。

そして、なんとか必要書類一式を準備して臨んだ1件目のオファー、家主からなんかフツーに断られました。とくに理由なし。
「おいおい、まさか、外国人差別ってやつですかね?」と、疲れもあってイラっときましたが、保証人の先生から「まあまあ、そういうこともあるから、次の物件へオファーしようね、ね?」と宥められて、気持ちを切り替えて次にオファーしたのでした。
それが駄目だった場合、仕方なく大学院の事務に乗り込んでいって、「あの時は『契約延長しない』なんて生意気言っちゃって、ごめんなしゃい。あたくし、ホント、頭がどうかしてましたわ。海に沈んだタイタニックより深く反省しました。どうか、大学寮の賃貸契約期間を延長してくだちゃい」と、目薬を使ってウソ泣きしながら侍魂がこもった土下座を披露する必要があるやもしれぬと、覚悟はしていました。

しかし、天はどうやら私を見捨てなかったようでした。

家主と電話、面接をして、「日本では医者やってました」「クイーンズでは医学の研究を頑張っています」「ベルファストは良い街だと思います」「北アイルランドは良い国だと思います」「綺麗好きです」「タバコは嫌いです」「ペットいません」「うるさい友だちもいません」「ただ静かに暮らしたいです」「銭はあるズラ」とアピールしながら、なんとか大学から近い部屋を確保することができたのでした。

ああ、ホント、しんどかったのでした。