「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

Belfastでお引越し

2017-06-03 | 留学全般に関して
さて、来週はついにお引越しです。

大学寮に住んで半年以上、食べ物や食器を盗まれたり、警報の悪戯で一晩に三回も真夜中に叩き起されたり、近隣住民の騒音に悩まされたりと色々ありましたが、ようやく静かに落ち着いた環境に移ることが出来そうです。以前にこちらで修士課程を学ばれていた方々から「大学寮の厳しさ」を伺ってはいましたが、やはり私には辛いものがありました。

学生時代を含めると、日本でもそれなりに転居を経験してきましたが、今回、ここに至るのにはちょっと疲れました。

引っ越しをするにあたっては、まず、生活背景が大きく異なる他者と空間をシェアするのがもう無理だったので、すこし高くてもいいからアパート(apartment)を選ぶという点は譲れませんでした。この微妙な高級志向からスタートしたのが、不動産屋(estate agency)から微妙に嫌がられる理由だったのかもしれません。
幾つか不動産屋を回りましたが、どこも「は? アジア人? フラット(flat)でもシェアしていろ」という態度を多少出してきて、正直、なんともやりにくかったのでした。定職がない外国人という設定が、ここまできついものだとは思いませんでした。とはいえ彼らも商売ですから、「この物件を観に行きたい」と言えば、しぶしぶ案内はしてくれました。案内すらしてくれない不動産屋もありましたが、流石に論外ですから、二度と行きませんでした。
英語が拙いのはたしかに私も悪いのかもしれませんが、案内してくれた幾つかの不動産屋も外国人相手にはかなり適当で、心配して一緒に付いてきてくれた友人が「おい、流石に失礼だろ」と若干キレ気味になるという体験を何度か繰り返しました。

結局、2つほど物件を選んで安い方からオファーを申し込むことにしたのでした。

オファーに際しては、保証人を確保する必要があったのですが、それも大変でした。
うちの指導教官たちはそういうのを引き受けてくれないという話はラボメンバーから聞いてはいましたが、まさか本当にそうだとは……。結局、大学院メンター制度を利用して、メンターになって下さっていた英国人の先生に相談したところ、幸運にも彼が私の保証人を引き受けてくれることになり、本当に助かりました。

そして、なんとか必要書類一式を準備して臨んだ1件目のオファー、家主からなんかフツーに断られました。とくに理由なし。
「おいおい、まさか、外国人差別ってやつですかね?」と、疲れもあってイラっときましたが、保証人の先生から「まあまあ、そういうこともあるから、次の物件へオファーしようね、ね?」と宥められて、気持ちを切り替えて次にオファーしたのでした。
それが駄目だった場合、仕方なく大学院の事務に乗り込んでいって、「あの時は『契約延長しない』なんて生意気言っちゃって、ごめんなしゃい。あたくし、ホント、頭がどうかしてましたわ。海に沈んだタイタニックより深く反省しました。どうか、大学寮の賃貸契約期間を延長してくだちゃい」と、目薬を使ってウソ泣きしながら侍魂がこもった土下座を披露する必要があるやもしれぬと、覚悟はしていました。

しかし、天はどうやら私を見捨てなかったようでした。

家主と電話、面接をして、「日本では医者やってました」「クイーンズでは医学の研究を頑張っています」「ベルファストは良い街だと思います」「北アイルランドは良い国だと思います」「綺麗好きです」「タバコは嫌いです」「ペットいません」「うるさい友だちもいません」「ただ静かに暮らしたいです」「銭はあるズラ」とアピールしながら、なんとか大学から近い部屋を確保することができたのでした。

ああ、ホント、しんどかったのでした。