勢いよくホースから噴き出した水が
ぱたぱたと地面に落ちる
土の湿った匂いが鼻をついて
縁側で猫が耳を伏せる
やがて呼び水に誘われたモンシロチョウと
猫が愉快にダンスを始める頃
どこかで昼のサイレンが鳴った
庭先に生った沢山のびわの実は
逞しい緑の葉に映えて
強烈な黄色のコントラストを放っている
それを徐にもぎとっては
口いっぱいに頬張る
全部採ってはいけないよって祖母が言うから
一個だけ残した初夏の頃
太陽は真上から容赦なく照りつける
片手でそれを遮りながら
最後の一つに手を伸ばす
かつて在った祖母の声はもうしない
口の中には渋さとほのかな甘さが広がって
その度、記憶は翻る
いつの間にか庭先には
モンシロチョウを追いかけて迷い込んだ
見知らぬ猫が一匹
ぱたぱたと地面に落ちる
土の湿った匂いが鼻をついて
縁側で猫が耳を伏せる
やがて呼び水に誘われたモンシロチョウと
猫が愉快にダンスを始める頃
どこかで昼のサイレンが鳴った
庭先に生った沢山のびわの実は
逞しい緑の葉に映えて
強烈な黄色のコントラストを放っている
それを徐にもぎとっては
口いっぱいに頬張る
全部採ってはいけないよって祖母が言うから
一個だけ残した初夏の頃
太陽は真上から容赦なく照りつける
片手でそれを遮りながら
最後の一つに手を伸ばす
かつて在った祖母の声はもうしない
口の中には渋さとほのかな甘さが広がって
その度、記憶は翻る
いつの間にか庭先には
モンシロチョウを追いかけて迷い込んだ
見知らぬ猫が一匹