緯度0大作戦を見た。
1969年、日米合作で作成されたこの作品は、円谷の特撮が余すところ無く堪能できる作品である。
ミニチュアを使った撮影では、「ウルトラセブン」「マイティジャック」と培ってきた技術が遺憾なく発揮され、「α号」が接岸する「緯度0」のドック等も細やかに作られている。
特に主役の潜水艦「α号」と、敵艦「黒鮫号」は、デザインも秀逸で、数ある東宝特撮メカの中でも高い人気を保っているのも頷ける。
両艦が真っ向からぶつかり合うシーンは、確かに今の時代からするとややのんびりしているモノの、それでも「α号」を追跡する「黒鮫号」の姿や、追尾型の海中ミサイルを回避する「α号」などのシーンは、迫力ある操演で見る者を楽しませてくれる。
ただ、DVDの高画質が、「吊り」の糸まで見せてしまうのがやや難か。(笑
他にも、今はなくなってしまった東宝自慢の巨大プールに作った高さ数メートルの敵の本部が爆発炎上するシーンの迫力や、後にスティーブン・スピルバーグが「未知との遭遇」等で使用した、水槽に絵の具を落とすことで火山の大爆発を表現した手法なども見ることが出来、特撮ファンにはたまらない。
それから、賛否両論あるけれど、着ぐるみも「ライオン」「グリフォン」「コウモリ人間」「巨大鼠」と次々に登場し、違った意味での「円谷らしさ」を醸し出している。
ちなみ、これら全ての着ぐるみを、かのゴジラのスーツアクター、中島春雄氏が演じている。
今と違って、重くて動きづらい着ぐるみを着てもなお、非常に動きの良いのは中島氏を置いて他にいなかったのだそうだ。
いや、閑話休題。
この様に、「円谷」の魅力満載の作品にもかかわらず、今ひとつ興行的にふるわなかったのは、やはりストーリーの所為だろう。
大元は、アメリカで放送されたラジオドラマだったようだが、「海中の基地」「潜水艦」という組み合わせが、もともと、ジュール・ベルヌの「海底2万マイル」を彷彿とさせるし、後半は、意識はしていないだろうけれど「ドクターモローの島」的な展開である。
特に、前半に「α号」の就航年代が古い行は、もろに「ノーチラス」とかぶってしまうし、後半の生物改造のシーンは、かなり大雑把な改造で、B級映画臭プンプンである。
いや、個人的には、突拍子もない展開の話は好きなのだが、それでもこれは、やり過ぎかなぁ、とおもう。
その上、少し前のアメリカB級SFでは定番のアイテムが登場するのである。
それが、これ。
いやー、胸が大きくてブロンドの姉ちゃんが出てくれば、決りである。
しかも、この衣装の後ろが、無意味にパックリ開いているとなれば、これはもう、間違いなくB級の証。
ラクウェル・ウェルチ、万歳と言うことだろう。
(あ、この女優さんが、ラクウェル・ウェルチではないですよ。^^;)
あ、まぁ、なんだかんだと貶してしまったけれど、じゃあ、全然つまらないのか、というとそんな事はない。
あまり深い事を気にせず、ぼーっと流している分には、結構楽しめる映画であるし、時間も結構短めで、飽きる、という程長くない。
SFファン、特撮ファンは、突っ込みどころに事欠かないので、間違いなく楽しめるし、そういうモノに興味のない人も、結構、荒唐無稽なそのストーリーには、意外と嵌るかもしれない。
このGW、とりたてて予定がなくて、何をしようか悩んでいる人や、とにかく、時間を持てあましている方。
一度、本編を手にとって、ご覧になってみては如何だろう。
少なくとも、お姉ちゃんの衣装は、結構、奇想天外である。(いや、そこかよ!)
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