ちっとばかし、実家に帰っていた。
で、所用でふらふらとしている折に、母校の跡地に立ち寄って、ふと思い出したのが、この本だ。
うちの高校には、「運動会」の夜に「高3男子生徒」だけの「秘儀」があった。
まあ、校庭でやる行事だし、火を熾すので、消防署にも連絡済みだから、そんなに厳密に「秘」でもないのだろうけれど。
でも、やっている本人達は大まじめで、「事」が始まる前に、校内中を点検し、下級生や高3の女生徒が残っていないか、確かめてから事を始めるのだ。
「ファイヤー・ストーム」と言えば、解る人にはピンと来るのかもしれない。
まあ、事の詳細は書かないが、「運動会」が「表」の「祭り」であるとしたら、この「ファイヤーストーム」は、裏の「祭り」であり、自分たちが高3になるまでは、詳細は知らされず、また、その詳細も「応援団」のみが伝えていくという、きちんとした「手順」を踏んだ伝統の行事であった。
そういう事があった所為で、この「六番目の小夜子」と言う本の設定には、驚くほどすんなりと入り込めた自分であったのだが、そういう「経験」がなければ、「継がれる儀式」という設定に、まず、とけ込めるかどうかが、この本を面白く読めるかどうかの「試金石」ではある。
それを乗り越えることができれば、主人公とともにどきどき、わくわくできることは間違いない。
あ、あと、主人公が女生徒、と言うところも、感情移入できるかどうかのポイントであるが、最初の「設定」を乗り越えてしまえば、問題ないと思う。
内容には、これ以上触れないけれど、往年の「NHK少年ドラマシリーズ」を思い出す展開であるので、古いファンはそういう楽しみもある。
実際、ネタバラシしてしまうと、今思えば「超豪華キャスト」でNHKでドラマ化されているので、そちらで見てみるのも良いかもしれない。
とまれ、遠い昔の「どきどきわくわく」を、ほんの少し思い出させる作品である。
大きなお子さんの居る方は、ご一緒にご覧になっても良い鴨です。
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