不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「THE LONG GOODBYE」

2006年10月17日 23時55分56秒 | Life

 「物」には、出会いの時をじっと待っている物がある。

 例えば、それまで食べられなかった秋刀魚の腸のほろ苦さが、不意に美味く感じるだとか、飲み辛くて嫌いだった焼酎が、ある日、すとんと胃に収まるとか。

 食い物、飲み物だけの話ではない。

 親に貰ったまま放って置いた万年筆が、久しぶりに手に取るとしっくりと馴染んでいるとか、祖父の残した古い鞄が、思いだした途端、急に気になって押し入れから探し出すとか。

 ああ、今日、この日までは、判らなかったんだな、という体験が、長く人間をやっていると、一つや二つあると思うのだ。

 私にとっては、この本もそうらしい。
 随分と前に、フィリップ・マーロウとギムレットに憧れて手にしてみた物の、かっこいいとは思いつつ、どうしてもその世界には入っていけなかった。

 しかし今は。
 
 それは、自分が歳を取ったのか、それとも人として幅が出来たのか。
 あるいは、本当の寂しさが判ったからなのか・・・な?

 まあ、それはそれとして、読書の秋、昔、挫折した本に、もう一度チャレンジするのも面白いかも知れない。



長いお別れ

早川書房

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