物書きのまねごとなぞしていると、挑戦したい分野がある。
「怪談」
怖い話だ。
前の話で書いたとおり、怖い本、体験談はよく読むし、友人、先輩、後輩には、その筋に詳しい人が何人もいたので、ネタには事欠かないのだが、私には、怖い話を書く上で、致命的欠点がある。
書いていて、自分で怖くなっちゃうのである。
しかも、夜に書くなど、とんでもない話である。
と言う訳で、今、明るいうちにちょこっとだけ、アイディアを走り書きすることにした。
只のアイディア程度なので、全然怖くないし、話も中途半端だと思う。
どなたか膨らませてくれると、ありがたい。
第一話 「動画」
まさゆきが、ブログですごい動画を見つけたというので、わざわざメールしてきた。
携帯でも見えると書いてあったのだが、パケ代がもったいないので、家に帰ってから見ることにする。
長いURLを手打ちするのが面倒なので、パソコンにメールを転送してそのブログを開く。
一瞬、あれっ?と思う。
ごく普通のブログの記事。
電車を正面から撮影した画像が貼ってある。
動画なんてどこにあるの?とよく見ると、画像の下にこう書いてあった。
「動画を見る」
ああ、この電車の画像がそうだったのか。と思い、画像をクリックすると、確かに別窓が開き、動画を読み込んでいるようだ。
場面はちょうど、カーブを曲がって電車がこちらに近づいてくるところからである。
電車の正面と側面を写すために、カーブのあたりを撮影するのは、結構鉄道ファンの所では、普通に見る構図のように思ったが、何が凄いのだろう?
そう思った瞬間。
「ファーン!」
電車が警笛を鳴らした。
これも、撮影者が線路に近づきすぎていたりすれば、普通にあることだ、と思ったのだが、その後から様子が変わる。
「ファーン!ファンファンファンファーン!!」
電車はけたたましく警笛を鳴らす。
と同時に。
「キキキキキキキキキキキーッ」
急ブレーキの音も聞こえる。
いや、それだけではない。
構図が変だ。
電車が正面からどんどん近づいてくる。
線路の脇からとっていれば、こんな構図にはならないはずである。
しかも、この警笛。ブレーキ音。
僕は、ごくりと生唾を飲み込んだ。
これ以上、見てはいけないという予感が走る。
だが、僕の目はもう、その動画から話すことが出来ず、マウスを握る手も、硬直したかのように動かない。
「ファンファンファンファーン!!」
「キキキキキキキキキキキーッ」
けたたましい音を立てて、電車は何とか止まろうと足掻いている。
だが、スピードはそんなに落ちていない。
電車がぐんぐん近づく。
小さい動画なのに、運転手の引きつった表情が見えるくらいに電車が近づき、そして・・・。
一瞬、画面が暗くなって、動画が止まった。
僕は、声も出ない状態で、しばらく再生が終わった黒いウィンドウを見ていた。
そして、ふと我に返ると、慌ててまさゆきに電話をする。
『見たか?!見たんだな?』
待っていたかの様にまさゆきがしゃべり出す。
「おう、見ちゃったよぉ。何だよあれ。たちの悪いフラッシュか?」
『それがさ、投稿された時間、書いてあるだろ?
ニュース検索するとさ、あるんだよ。
ばっちり。
人身事故の記事。』
「ええっ?マジなの?」
『マジマジ。時間までドンぴしゃだよ。
直後にブログに、携帯から送ったんだな。』
「ひえー、事故なのかね?」
『どうだろうね?それにしてはあまりに動じていないのは、変だろ?
事故なら、警笛とかならされた時点で気づいて逃げるでしょ。』
「誰かの合成じゃないの?CGとか。」
『俺も、そう思ったんだけどさ。
この記事。今朝の10時だぜ?
俺がこの記事、偶然見つけたのがお昼頃。
その頃は、まだ、ニュースにも詳細出ていなかったんだ。
作りもんじゃ無いと思うよ。』
「うーん、そうかぁ・・・。」
こう答えた僕は、それっきり黙り込んでしまった。
なんとなく、腑に落ちないことがあったのだ。
でも、いったい何が?
確かに、気味の悪い動画だが、血飛沫とか肉片が写っている訳でもないし、今流行の霊の写り込んだ動画と言う訳でもない。
何より撮影者の声すら入っていない。
音を消してしまえば、ごく普通の電車の動画といっても、気がつかない者もいるだろう。
あまりに僕が黙っているので、痺れを切らせたまさゆきが話しかけてきた。
『なあ、何とか言えよぉ・・・。』
と、そのとき。
「ピピピピ、ピピピピ」
携帯にメールが届く。
「お、ちょっと待ってくれ。」
僕はまさゆきを待たせると、電話をつないだままメールを開く。
真美からだった。
『なにしてんのー?ゴハン行かない?』
行く行く。
このもやもやを晴らすには、もってこいだ。
僕は、電話を切ってメールの返事を書こうと、もう一度まさゆきに話しかけた。
「悪い!真美からメールが来てさ・・・。」
その瞬間。
僕は、それに気づいて凍り付いた。
話がとぎれたことで、まさゆきも僕の異変に気づく。
『おい、どうしたんだよ。
何か、あったのか?』
いや・・・言うまい・・・。
このまま・・・誰にも気づかれずにいれば・・・・。
だが、僕の考えとは裏腹に、気がつけば、僕はしゃべり出していた。
「なあ・・・まさゆき。」
『なんだ?』
「この事故。もし、本当に事故にあった人が撮っていたとして・・・だ。」
『うん。』
「いったい・・・誰が・・・送信したんだ?
この動画。」
~ Fin ~
いやー、意外と長くなったなぁ。
途中でネタバレしそうだね。
ぢゃ、も一個短編。
第二話 「影」
「そうそう、すっかり騙されたよねー。
絶対、実話だと思ってたのに。」
「まあ、出演者が、お笑いの人ばっかりだったから、おかしいなぁとは思ったんだけどね。」
「でも、事前に説明なしは、酷いよねぇ。
それに、小細工してるしさ。」
「小細工?」
「あれ?気づかなかった?
番組の間中、画面の右隅に小さな白い影みたいなの、映っていたでしょ?」
「えーっ。そうだっけ?」
「気付いてないんだ。まあ、見難かったからね。
その白い影がさ、番組の間中、どんどん、形変えてさ、髪の長い女みたいになるんだよ。」
「ずーっと?それって、ずーっと映っていたの?画面に?」
「そうだよ。意外と気付かないんだねぇ。
CMの間もずーっと映っていたじゃない。」
「うーん、気付かなかったよぉ。ホントにやっていた?」
「やってたよぉ!最後の女の顔が、凄く怖くてさ。
今でも、後ろのテレビ見るの嫌っ!って感じ。」
「ああ、ここのテレビで・・・。」
「なに?紀子。
どうしたの?真っ青な顔して。どこか具合悪い?」
「・・・あ・・・あのさ、多香美。」
「ん?なになに?」
「・・・そのテレビ・・・電源切ってるの??」
「そう。怖くてさ。
あれ以来、ニュースも見てないよ。馬鹿だよねぇ。」
「で・・・でもさ・・・・。」
「なに。どうしたのよぉ。」
「・・・まだ・・・映っているよ・・・その女・・・。」
「キャーーーーーーーーーーーーーッ」
~ Fin ~
あー。やっぱり短いと、結構ネタバレしちゃうね。
まあ、一応、私は書き終えましたのでこれにて。
ではでは。
皆様の今宵が少しでも涼しくなればと思いまする。
どっとはらい
日常になにげに潜む怪、と言うのがやっぱり怖い気がします。
テレビは大丈夫、それ、きっと埃です。
あの、だんだん怖さが見え隠れして、
「あああ、来る来る来る」
と思ってドキドキしているところが、怖い話しの楽しさでも有りますね。
私の話は、へっぽこでしたが。
いや、本当に怖いのは生きている人間、という話しはありますからね。
ご自愛下さい。
少しでも、気晴らしになれば幸いです。
>なにすんねん。ヽ(`Д´)ノ
これ見て、爆笑しました。^^
少しはお楽しみ頂けたようで、嬉しいです。
また、思いついたら上げときますね。
首を右に回すとテレビが目に入るのですが、
そっちのほう、見れません。(苦笑)
怖~!
怖いです…。
「怖いフィクション」に飢えていたところです。
ちょっと涼しくなりましたよ。
めっちゃ怖かったやんか。
鳥肌たったがな。(泣