大将。
このお湯割り。そこに置いてくんないか。
莫迦ぁ言うない。
そのくれぇで、奴が足りるわきゃねぇじゃねえか。
そそそ、その冷えた奴ぁもう下げちまってさ。
あと、おでんの厚揚げと底大根。
わかってるって。
そいつがねぇんじゃぁ、奴も寂しいやね。
だけど、良い奴だったよなぁ。
いつも、そこにすわってさ。
ニコニコしながら、人の話黙って聞いてやがった。
たまにゃ、自分のこと喋れって水向けてもさ。
赤くなって照れるばかりでさ。
焼酎2杯と厚揚げと底大根で、最後まで付き合ってくれたよなぁ
え?止せやい。
そんなとこ、行けるかい。
俺らは、ここで出会って、ここで笑って、ココで泣くだけの戦友だぜ。
お互い、昼間は何しているなんて、関係ないや。
だから、こうして。
ここで、静かに。
その方が、奴だって喜んでくれるってもんだよ。
な?大将。
~ Fin ~
古き友の1周忌に捧ぐ