紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「殺人作法 ミステリー傑作選45」日本推理作家協会編

2004年10月22日 | アンソロジー
日本推理作家協会編のミステリー傑作選、いくつか読んでますが、
ここまで大当たりだったのは少ないかも。
いつも必ず私に合わないモノがあるんですが、今回は、
どれも、とても楽しく読みました。

収録作品を明記しておきますね。
「五年目の夜」福井晴敏、「卒業写真」真保裕一、
「中国蝸牛の謎」法月綸太郎、「風の誘い」北川歩実、
「オホーツク心中」辻真先、「ミンミン・パラダイス」三枝洋、
「錠前屋」高野文緒、「不良の樹」香納諒一、
「端午のとうふ-黄表紙掛取り帖」山本一力、
「赤い名刺」横山秀夫の10作品。

現在「亡国のイージス」福井晴敏を読んでいるのですが、
その前に福井さんの短編を読めて良かったと思ってます。
というのも、いつかは「亡国のイージス」を読もうと
思っていたのですが、なんだか小難しそうで躊躇してたんですよね。
でも「五年目の夜」を読んで、そんなイメージが変わりました。
確かに、諜報部のことや北のテロ、国際情勢など、私にとっては
少しイライラする程度に苦手な分野なのです(笑)。
しかしながら福井さんの作品は、そういった説明も難しくなく、
短い中にも起伏に富んだストーリーが展開され、
さらに、ちゃんと笑いどころもある。
私にとって、むちゃくちゃおいしい作品なのでした。
おかげで「亡国のイージス」も楽しんで読んでます。

収録作品中、唯一の本格が「中国蝸牛の謎」法月綸太郎。
ほかの作品ももちろん面白いのですが、そんな中で
本格モノに出会うと、実家に帰ったように安心します(笑)。
とても心を打たれたのが「不良の樹」。香納さんの作品は
読んだことがなかったのですが、こんな素敵なお話なら、
長編をぜひ読んでみたいと思いました。
時代モノあり、ファンタジーありとジャンルも多岐に渡って
お得度も高いです。ただ、1カ所とんでもない誤植を発見。
でも、ああやって堂々と書かれていると、もしや伏線?
とか思ってしまうのは、ミステリー読みの悲しい性でしょうね(笑)。

殺人作法(講談社文庫)
日本推理作家協会 編

出版社 講談社
発売日 2004.09.14
価格  ¥ 790(¥ 752)
ISBN  4062748657

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1