紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「怪盗紳士 怪盗ルパン1」ルブラン原作・南洋一郎文

2005年05月25日 | ら行の作家
まさに、念願叶って!って感じ(^-^)。化粧箱に入った文庫20冊セット!
怪盗ルパンシリーズで思い入れの深い作品は「奇巌城」ですが、
ここはやっぱり順番通りに、ということで、本作から。

作品が発表された順に全集を組直したとのことですが、ここで驚き。
初っぱなからルパン、捕まってしまうのですね(笑)。しかも、
宿敵とされるガニマール警部補に。裏話をしてしまえば、ルブラン
自身はこの1作だけで、シリーズ化するようなことは考えていなかった
ようですね。それが思いのほか評判が良かったので、続けた、と。
だから、とても大胆なシリーズの始まりなのです。第1巻である
本作には、シリーズ誕生となった初期の短編に、少年時代の話を
加えた5作が収められています。

何度も読み返した「奇巌城」と、なんとなく「813の謎」くらいは
覚えてますが、それ以外はまったくといっていいほど、内容は
すっかり忘れてますね(笑)。まあそれも、楽しみが増えようと
いうもの。改めて読んでみて、もうホント、むちゃくちゃ面白い
作品だと再確認しました。単なる冒険小説ではないですね。
短編だから余計に感じるのかもしれませんが、とても
ミステリー色が強い。しかも、主人公は怪盗であるところの
ルパンなので、倒叙モノともいえるのですが、なんせルパンは
変装の名人で、騙すことにかけては天才的なので、叙述トリックを
使っていたりするんですよね。さらに、ちょっと微妙ですが(笑)、
密室だって出てくるし、そして間違いなく、怪盗ルパンは強きを
くじき弱きを助けるスーパーヒーローなのです(キャラクターもの
といってもいいと思うのです)。ね。お得でしょ(^-^)。

なんかちょっと熱が入り過ぎた気もしますが(笑)。
文庫になったとはいっても、サイズは“文庫”と呼ぶには
大き過ぎるので、持ち運びにはとても不便なのですが、
それでも、お手ごろにはなっているので、読んだことがない方が
いたら、一度手に取ってみてほしいなと思います。


怪盗紳士 怪盗ルパン1」ルブラン原作・南洋一郎文(ポプラ社)