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星を継ぐもの (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社
ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社
巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))
ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社

今年看護師として社会に巣立った息子は、徹底したアウトドア派の親父には似るとなく、中学の頃から腎臓に病を持ったこともあって、どちらかといえばインドア派として成長し、 幼い頃とは感性趣向の異なる別の生き物として成熟したが、どういうわけか読書のDNAはきっちりと受け継いだようで、いつのころからか一端のSF読みとなった。

風海庵が横浜の留守宅に残していったSF物はことごとく読破したようで、神林長平に「戦闘妖精雪風」シリーズに没入し、山田正紀の『神狩り2』に頭をひねるところなんぞは、風海庵の全きDNAである。

さて先週、飛び石連休に引っ掛けて帰郷した折、その息子が「これ、親父は前に読んでんだろう?」と差し出したのが、『星を継ぐもの』。加藤直之のカバー絵懐かしい創元SF文庫。J・P・ホーガン、1977年の傑作である。

確かに読んだ記憶がある...記憶の彼方にあるストーリーを並べたら、「そりゃあ別のSFのストーリーが入り乱れてるぜ!」と看破されてしましまった。風海庵は、スティーヴン・バクスターの<ジーリー>シリーズと、ラリイ・ニーヴンの<ノウンスペース>シリーズが混同したひどいストーリーを語っていたのであり、肝心のホーガンのストーリーのキーワードは“木星”しか合ってない。そこで、『星を継ぐもの』を読むことにしたら、『ガニメデの優しい巨人』・『巨人たちの星』・『内なる宇宙U(上・下)』と<巨人たちの星>シリーズ4部作すべてを渡された。お返しに『永遠のゼロ』を進呈した。

21世紀も中盤にさしかかろうとするころ、月面で真赤な宇宙服を着た死体が発見される。この死体は五万年前に死亡していたのにもかかわらず、生物学的に現代の地球人とほとんど同じであった...ってのが『星を継ぐもの』冒頭の物語。あらためて読む30年以上前の作品だが、いやいや、これが面白いこと。没入してしまいました。却却(なかなか)。

SFというものは、森羅万象の科学的解明が進むと、著作当時は不明・未確定・夢の彼方・過去未来の希望であったものが、ばっちりくっきり判明し、惜しいかな色あせてしまうこともある。そういうものであっても、名作は時代を越えた古典として楽しむべき、楽しめばよいのだが、<巨人たちの星>シリーズはその端境にあり、著作当時の天文宇宙に関する人類の知見を鑑みるに、ホーガンのアイデアはなかなか、否、抜群である。

ただね。欧米人が異星人コンタクトを描くと、なぜか知的異星人の文化的要素・価値観がまるっきり西洋風味で、双方の間に超進歩した電脳が入って翻訳機能を果たせば、相互理解が容易に成立するというのは納得がいかない。

まっいいか。当分、ホーガンで楽しめンもんねです



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