プリマベーラ進化論。

不思議の国のアリスは、
大海原に小舟で漕ぎ出ました。

デジタルライフ。

2006-08-14 23:38:37 | Sound Schedule
この世の移り変わりはめまぐるしく、目を見張るものがある。
中学高校そして大学。この10年で私を取り巻くメディア環境は大きく変化した。
windows'95とともにパソコンやインターネットが普及、今やネットカフェなるものまで登場。
携帯電話で固定電話の概念が覆され、今やもう子どもやお年寄りまで、国民皆ケータイ時代も到来しそうな勢いだ。
新しい電子媒体、いわゆるハードの部分はもう出尽くした感があるが、現在はソフト面が日々刻々めざましく進化している。
ネットで買い物が出来るわ、ケータイでキャッシングだわ、もうすべてがパソコンとケータイで出来るんじゃないかっていうくらい。
いろんなモノが電子化されて、物質がだんだん必要なくなっていく。
結局どうしても人間が手放せない物質って衣食住と医療くらいだろうか。

コミュニケーションさえ、相手が目の前にいなくても成立するようになってしまっている。
最近私が関心をもっているのが、メディアを介してのコミュニケーション。
ブログ、mixi、メッセ・・・電話やメールといったコミュニケーションツールとは様相のちがったメディアの誕生。
どんなものなのかは中に飛び込んでみないと分からないので、使ってみてはいるものの、
インターネットはどこまでも膨張していく宇宙のようであり、かたちのみえないブラックホールのようでもある。
飲み込まれていく。全貌の見えない巨大生物に対峙しているような恐怖感。
無機質な光を放つハコの前に向かって、文章を書き、
クリックひとつでそれを誰もが見られるように出来てしまう。
名前や住所を登録して、その閉じたコミュニティの中に入れば、リンクひとつで友達の輪が広がっていく。

私の目の前に広がる、このネットの世界はなんなんだ?
結局つながっているとはいえ、パソコンの前にはいつもひとりじゃないか?
なんだこれは?一体どうなっているんだ?

直感的にこの危うさを感じ取ったマスコミやジャーナリストが新たなメディアについて書く。
でもそれらブログやMSNについての特集を読んでも、結局どれも「こうなんだ」という総括がなされていない。
まぁ総括できるほどにシステムが成熟して安定してないから仕方ないんだと思う。もう少し経てば何かしら見えてくるだろう。

・・・しかし一体このネットを考えたときのもやもやは何だろう。
そう思っていた矢先、その気持ちををさらりと代弁しちゃってる人、ひとり。

『真夜中のID』
大石くんに嫉妬した曲。なんて歌詞を書くんだ。
自分と世界のつながりを証明するためのIDカードがほしいだなんて。
夜中パソコンの前にいて、ふと感じる孤独感や不安感がぴたりと表現されてる。あぁそうそうこの感じだって。
歌詞を載せられないし、私の言葉力じゃ上手に説明できないけれど。
3rdアルバム『Biotope』に収録。ぜひ歌詞に注目して聴いてほしい1曲である。

ラジオ。

2006-08-13 23:18:09 | Sound Schedule
私が初めてSound Scheduleの曲を聴いたのは、ラジオ。
2001年の4月10日木曜日スタートのMBSラジオ「AM808まじっすよ!」
人気お笑いコンビのロザンと大石くんがパーソナリティーを務めていました。
へぇロザンがラジオするんかいな、と思ってわざわざラジオをベランダに出して、大阪にアンテナ向けて聞いてみたのがきっかけ。
東京にいても、深夜ならうまく電波をキャッチ出来ることもあるんですよ。
まぁくもりの日はほとんど雑音だったり、なぜか韓国語放送が混線したりと、ハプニングも目白押しでしたけど笑。

『コモリウタ』
私が初めて聴いたサウスケの曲。
この曲をラジオ初日に聴いて、一気にファンになりました。
幻の100円カセットとして限定販売。現在2ndアルバム『456』に収録。
ずっとライブでしか演奏されてなくて、いつCD音源になるのかなと待ちわびました。
大石くんにとってとても思い入れの深い曲のようで、ライブで演奏されるごとに、
アレンジや歌い方が変わって、音源になるまでにかなり進化を遂げた曲ではないかと。
それだけサウスケの想いが詰まった曲だからこそ、ラジオのこちら側で聴いていた私の心を、
一瞬にしてかっさらっていったのかもしれません。言わずと知れた名曲です。

この曲は、サウンドとか歌詞とか分離して書けません。
曲全体がひとつの存在感を放っていて、すごいパワーを持っているから。
CDで聴いても、ライブで聴いても、体の奥底から涙が込み上げてくるような、そんな曲です。


もうひとつ忘れちゃならないラジオといえば、「Sound ScheduleのSeaside Sounds」
毎週土曜日bay-fmのネオストリームナイトという番組のコーナーで、3人揃ってのラジオパーソナリティー。
そのオープニングだったのがこの曲!

『世直しブッダ』
この曲のイントロ聴くたびに、ラジオが始まるワクワク感がよみがえってきます。
今思えばオープニングにぴったりの曲だったなと。
ギターの高音和音が展開されたあと→シンバルとともにギターメロディ→ドラムがはじけてベースライン・・・
って音がだんだん増えていくところが、何かが始まるエネルギーみたいなのを彷彿させる感じ。
いつもCDで曲を聴くときはたいてい左耳でベースラインを聴き取ってるんですけど、私はこの曲のベースが密かに大好きです。
大石くんの高音ボイスがメロディーというより、ひとつの楽器みたいに鳴ってるところがまたおもしろいですね。
歌詞は物語というより言葉あそびで、世の中に無骨に抵抗しようとする若者の叫びを歌ってます。
神様、仏様って、なんでもごちゃまぜに信じてしまう、ある意味寛容な日本人の宗教観があらわれてますよね。

デビューシングル。

2006-08-12 21:23:50 | Sound Schedule
Sound Scheduleは2001年9月19日『吠える犬と君』でメジャーデビューした。
当時高校2年生だった私は、渋谷のCDショップで予約していたものを前日に購入。
帰りのバスの中で待ちきれずに封を切ったのを覚えている。
そして夕飯はシチューにしてと頼んでいたという、若さゆえのイタイ思い出のあるCDでもある。

収録されている曲は以下の3曲である。
1 吠える犬と君
2 月が落ちる前に・・・
3 シチューが飲みたくなる唄 

『吠える犬と君』
記念すべきデビュー曲。ジャケットがオレンジ色でかわいい。
ギターのエフェクトとともに広がるメロディーに一瞬にして音に全身が包まれた感覚に襲われる曲。
爆発的なエネルギーがあるサウンドだから、爆音で聴きたい。
2回目のサビでちょっと音量が落ちて、だんだん盛り上がって最後まで駆け抜けるあたりがイイ。
メロディーのエネルギーの方向が、大きな流れで感じると最初から最後まで1直線なんだけど、
もっと細かい単位で音に仕掛けがあって、聴いててすごくおもしろくて飽きない。

そして歌詞は、男の子(推定21)が夏の終わりに彼女を振るというストーリー。
ひまわりと空に瞬く星たちの美しい自然と、ありふれた男女の恋愛が対比されている点が秀逸。
ずっとすごく好きだったのに、ある日突然ちがう人を好きになる恋愛の理不尽さ。
それでも星空は変わらぬ美しさで存在していて、
大昔から人は流れ星にたくさんの願いごとをしてきたこと。
不器用な人間模様を切り取ってるのに、どこかロマンチックさが漂う。

ていうか主人公って絶対ひどい奴なのに、憎めなくってモテるタイプですよ、きっと。
めちゃくちゃかっこいいとか、お金があるとか、そういうんじゃないのに、
やさしくて、ちょっと調子よくて、情けないのに素直に笑うから落ちる女子続出みたいな。
・・・こういう風に歌詞だけでストーリーがどんどん想像できちゃうってすごい。
これは私個人の勝手な解釈だけど、きっと聴いた人の分だけ物語が生まれるような歌詞だと思う。

ちなみに、この曲は日テレ深夜番組である「アッコとマチャミの新型テレビ」の9月期エンディングでした。
PVがエンドロールのバックとして使用されていました。
動くSound Scheduleを観たのは、ナントそれが初めてだったという記念すべき番組です笑。

『月が落ちる前に・・・』
言葉あそびの中に愛の物語を展開するなんて反則、な曲。
なんでこんなに言葉を自由に操れるんだろう。
英語と中国語を、日本語的なことばあそびにしてしまえるなんて。
たぶん言葉に対する先入観とか既成概念が、いい意味で大石君にはない。
I My Me を「意味」じゃなくて、ただの「音」として捉えられちゃう感覚が優れていると思う。
それがきっと才能なんだろうな。

そして3人だけで演奏されているとは思えない重奏感のあるサウンド。
打ち込みで音を厚くしようとすればいくらでも出来る時代だけど、
そういうのじゃ表現できない、素朴だからこそカッコイイ。
もどかしい愛に苦しみ悩む主人公の気持ちの変化と、サウンドがシンクロしてて、聴いてる方の気持ちもだんだん高揚していける。
1番はサウンド的にずっとフォルテで主人公の気持ちが内的に盛り上がっていく感じ。
2番でだんだんそのエネルギーが外に向いていくにつれて、クレシェンド。
最後のサビ前がこの曲の最頂点で、私の1番の好きポイント。
ギター、ベース、ドラム全部で一歩ずつ音の階段を登っていってエネルギーが開放する感じ。
あぁなんてカッコイイサウンドだろう。名曲。

余談。私の相方くるぶしが部屋で聴いていたら、
たまたま通りかかったくるぶしの母親が「名曲やね」と言い放ったという。

『シチューが飲みたくなる唄』
あ、私きっとサウスケの音楽ずっと好きでいるだろうなと確信した曲。
ロックだけじゃなくて、こんなに感じの音楽も鳴らすバンドなんだ、と驚いたのである。
メトロノームの音とアコギでリズム打ちされる3連符の前奏。イ長調。
何を隠そう、私は無類の3連符好きであるから、思わず感嘆をもらしたのを覚えている。
そしてイ長調のメロディー。ラは紫色。やさしい慈愛のイメージの色。
失恋した男の子が、元カノへの想いを、海の見える窓辺で、整理してる姿が目に浮かんでくる。
でも、この曲は愛に溢れて、すごくあたたかい。
悲しいけれどやさしい涙、というのも存在するんだなと思った。
まだ恋も知らなかったあの頃に、どれほどのものが理解できていたかは分からないけれど。