プリマベーラ進化論。

不思議の国のアリスは、
大海原に小舟で漕ぎ出ました。

ありがとう。

2006-09-21 06:33:00 | Sound Schedule
運命だと思った。
予定よりもはやく終わった就職活動。
まだ間に合うかもしれない・・・そう思った次の瞬間にはもう走り始めていた。
1曲でもいい。Sound Scheduleの音楽を最後に生で聴けるなら。

就職活動がラストライブに重なったのは分かりきった事実だったのに、
最後の最後までチケットを手放せずにいた私。
ダッシュして、アンコールが聴けた。
号泣した。けど、うれしかった。
最後は笑顔でありがとう。

私のサウスケ物語のとんだ結末。

Sound Schedule Live Tour“Sound Life~ありがとう~”
2006年9月20日(水)@CLUB クアトロ OPEN18:00 START19:00

~セットリスト~

1 同じ空の下で
2 吠える犬と君
3 幼なじみ
4 ヘイ!ヘイ!
5 さらばピニャコラーダ
6 世直しブッダ<IQ兄弟>
7 クライマックス
8 黄金レシピ
9 恋焦がれ
10 愛のかたち
11 ことばさがし
-メドレー開始-
12 ちょっとだけ
13 東京ライフ
14 大学物語
15 マザーコンプレックス
16 結末のない二人
-メドレー終了-
17 君のためにできること
18 窓の向こう
19 僕らの行方
20 スペシャルナンバー
21 ピーターパン・シンドローム
22 君という花
23 コンパス
24 アンサー
25 コモリウタ
-EC①-
26 ハイライト
27 甘い夜
28 今ココにあるもの
-EC②-
29 コンタクト
30 同じ空の下で

超満員の会場に入ると、すごい熱気だった。
目に涙を溜めながら聴き入る人や笑顔でステージを見つめる人。
それぞれがいろいろな想いでSound Scheduleを感じていたんだろうな。

ここからは私が5曲聴いた感想です。
ちなみにセットリストは相方が必死に覚えてくれたものを載せました。

昨日は大石くんがひとつひとつの言葉をすごく丁寧に歌いあげていたのが印象的だった。
本当に解散しちゃうの?って思うくらい、いつもの、いつも以上のサウスケの演奏。
「ハイライト」は号泣してうまく聴けなかった。
「甘い夜」はすごく明るさのある曲だからこそ、涙が込み上げてきた。
特に「巡り会えたすべてに 意味があり」のフレーズはお気に入りなだけに、泣けた。
私が1番はっとしたのは「今ココにあるもの」だった。ラストライブでこれが聴けてよかった。
今まで何度となく、いろんなアレンジの「今ココ」を聴いてきたけれど、昨日の演奏は過去最高だと思った。
ラストの連続yeahの部分。大石くんは無駄にたくさん叫ぶことをせず、すごくキレイな音色でギターを鳴らしていた。
解散ライブなのに、皮肉にもすごく3人の演奏がふっとまとまって、ひとつの「音」になってた。会場中に融けていた。
すごかった。あの瞬間、サウスケの音しか聴こえなかった。
まわりの人の気配すら消えて、無音の中でサウスケの音に包まれたような感覚。
寂しいはずなのに、涙がとまって、無性にうれしくなった自分がいた。笑顔がこぼれた。

そしてダブルアンコールの「コンタクト」。全身の神経を集中して、体全体で音を受け止めた。
歌詞が胸に沁みた。あぁサウスケのファンでよかった・・・心からそう思える演奏だった。
ラストは「同じ空の下で」。そのときは知らなかったけど、この日2回目の演奏。
この曲を聴いたとき、「あぁサウスケ物語はこれで終わる訳じゃないんだ」って気分になった。
会場が暗い雰囲気にならないように、努めて明るくなるように話していたMCでも言っていたけれど、
「今がいい」と思えたし、これからは「新しい関係ができる」だけで、みんな「死ぬ訳じゃない」んだよねって。
だからもう涙が溢れてくるんじゃなくて、最後は笑顔でステージをまっすぐ見つめていた。
私の位置からしっかり見えた沖くんも、なんだかすごく笑顔だった。

ありがとう、Sound Schedule。

結末のない二人。

2006-09-20 01:00:54 | Sound Schedule
いよいよSound Schedule解散ツアーの皮切りだ。
私はこのラストライブに参戦することができない。
これじゃあ私の中で、サウスケ物語がエンディングを迎えない。
5年半の長い長い物語。きちんと結末まで読みきらないとって思ってたのに。
でも、締めくくらないからこそ永遠になっていいのかもしれない。
私のサウスケ物語には、いつまでも結末がないまま・・・

『結末のない二人』
1stアルバム発売から456日目にリリースされた2ndアルバム「456」に収録されている。
日テレ「AX MUSIC TV」に、この曲で出演。さらに番組内のプロポーズ応援企画では、
サウスケが「結末のない二人」を歌って応援したという思い出もある。
そんな企画に使われるほど、底抜けの愛とやさしさに満ちた曲。
はじめは暗闇の中にいた心が、だんだんあったかくなって、体全体が光の球のなかに包まれていく。
もしもあなたが大切な人とケンカをしてしまったら、迷わず「結末のない二人」を聴いてみよう。
きっとすぐに相手を抱きしめて「ゴメンね」って言いたくなるよ。

この曲の主人公たちがいるのは、粉雪でも降ってきそうな寒い冬の夜。
長年つき合ってきて、すれ違いの多い「相変わらずの毎日」を暮らしている二人は、子どものように夜道を歩く。
寒いはずなのに、一緒にいるから寒くない。
はしゃいでロマンチックな言葉を探しあって、夜空に未来図を描いて。
二人つなぐ手のひらは、そこだけが光っているようにあったかい。
そこにあるのは「まぎれもない幸せ」だった。

曲始まりは「光射す方へ」という大石くんのアカペラのあとに、音が溢れ出して。
そのあと3回繰り返す部分はようじさんと沖くんがコーラスを入れていて、すごく広がりがあって。
Aメロの部分は語りかけるような歌い方に酔いしれる。
ギターの弦とピックがこすれてキュッて鳴る音が切ない。
サビの部分のギターラインとボーカルラインの絡み具合が泣ける。
きらっきらっと響く多彩なシンバルや鼓動みたいなドラムの音が好き。
この曲のやさしさを醸し出している、静かにメロディを支えているベースラインも好き。
「どんなに些細な不安や弱さも 話してくれるかい」というフレーズに憧れる。
最後の部分のボーカルラインの半音で降りてくるところに胸がつかまれる。
あぁもう私はこの曲が大好きだ。詞もメロディもすべてが愛おしい。

Never Ending SS・・・

いまここにあるもの。

2006-09-19 22:06:42 | Sound Schedule
おめでとう、デビュー5周年。おめでとう、ベストCD発売。
ありがとう、Sound Schedule。

『今ココにあるもの』
1stアルバム「イマココニアルモノ」堂々のラストナンバー。
インディーズアルバム「ここから始まるストーリー」にも収録されている。

私がこの曲をはじめて聴いたのは、私にとってのサウスケ初ライブ。のときだった。
アカペラでの歌い出しに、一瞬にして引き込まれた。
私は今でもその場面をありありと思い出すことができる。
ライブ後アンケートにも今ココを聴いた感動を半ば興奮気味に書いた。
それほどのインパクトとみずみずしさを兼ね備えた曲である。

ラブソングだけど甘すぎない。
生命力のみなぎるダイナミックなメロディ展開をする。
これがまさにライブバンドサウスケだと主張しているような。
始めから終わりまで大きく1本のクレシェンドになっていて、音が光を放っていく。
さらに細かいフレーズごとのクレシェンド&ディミヌエンドが、主人公の気持ちの抑揚を表現する。
そして大石くんによるyeahの連続歌い上げと力強い演奏によって、壮大なスケールのラストに仕上がっている。

歌詞は、主人公(推定21)が別れた彼女への思いを切々と語りかけているような感じ。
2人が別れたのは、彼女の寂しさを埋めてあげられなかったから。
もしかしたら彼は浮気をしたのかもしれない。
夢を追いかけて輝く彼女を認めてあげられなかったのかもしれない。
ちぐはぐなままの2人は、分かり合えないことへのお互いの孤独を紛らわすためだけにただ抱きしめ合って。
けれど気づいたときには大切な彼女は去っていた。
彼の「いまここ」に残されたのは後悔の念とちっぽけな涙。
夕焼けの中を静かに涙だけを流しながら、彼女との思い出をぬくもりとして、彼は「いまここ」を生きようと決意する。

「夕焼け小焼けで日が暮れて」という歌詞や「光」という言葉によって、
この曲は鮮やかに輝くオレンジ色に染められている。
「ライフ」と「愛撫」で韻を踏むというような言葉遊びもたくさん散りばめられている。
ストーリー性の強さと言葉遊びというサウスケ第1期の特徴がぎゅっと凝縮されている。

・・・そんなCDもいいけど、やっぱりライブでの今ココが1番感動する。
倒れそうになる大石くんも、ストイックに音を奏で続ける沖くんも、陶酔するようじさんも。
そんな3人がフルパワーで音をぶつけ合って出来た演奏は、激しく心を揺さぶる。

「今ココにあるものを 抱きしめて」

自分のいまここを見つめるのさえ難しいのに、それを抱きしめてしまうには強さが要る。
人は誰しも弱い。でもだからこそ勇気を出して自分のいまここを思い切り抱きしめてしまわないといけないんだ。
きっとそこが新たな自分になるスタート地点になるから。

コンタクト。

2006-09-18 23:23:33 | Sound Schedule
ケータイを忘れてしまった日は、すごく落ち着かない。
誰かからメールが着てるかもしれないとか、電話が掛かってきてるかもしれないとか。
ちょっとお茶でもしたいなと友達を呼び出そうと思ったら、連絡先わからないんだったっていう孤独感を覚えたり。
そんなとき、なんだか世界からぽつんとひとり切り離されてしまったような気分になる。
そして自分がいかに人とつながっていたいって思っているかを痛感するんだ。

『コンタクト』
サウスケ第3期を締めくくる3rdアルバム「Biotope」に収録されている。
大石くんがこのアルバムの中で伝えたかったのは、まさに人と人とのコンタクト。
この曲には、そのメッセージが最も強く表現されていて、メロディー歌詞ともに力強い。



エピローグ。

2006-09-17 23:10:12 | Sound Schedule
あぁなんだ、そうか。
ありがとうツアーはSound Scheduleとしての活動のエピローグでもあり、
メンバーさんそれぞれのプロローグでもあるんだよね。

ある意味、恋だった。Sound Scheduleの音楽に惚れ込んでた。
だから解散の事実を知ったときは、失恋したときみたいな気分だった。
昨日まで見ていた景色がいつもと違う色をして、ことばが全然見つからなくなって。
でもたとえ失恋したとしても、その相手との思い出までなくなってしまう訳じゃないから。
むしろときどきその思い出たちを引っ張り出してきて懐かしんでは、元気をもらったりなんかして。

サウスケの残した音楽やライブや言葉たちは私の心の中で色褪せることはない。
でもサウスケのこと思い出なんかにはしないよ。今までと変わらずに毎日聴き続けるんだ。

『エピローグ』
2005年3月2日にリリースされた3rdアルバム「Biotope」に収録されている。
1年間つきあってきた二人が、いつかの思い出のベンチで別れ話をするというストーリー。
別れの曲だというのに曲調はB major。とても明るくてさわやかな旋律だ。

つきあってきた分だけ、二人しか知らない秘密のシナリオが増えた。
でもどこでどうなったのか、辿り着いた物語の結末は別の道を歩くこと。
もうふたりとも同じ未来に向かっていないことは感じてて、暗黙のうちに別れ話になることはわかってた。
それなのにいざ別れを切り出したら、彼の言葉は「どこかよそよそしくて」それが彼女にはおかしくて、
二人して夜の公園に飛ばす笑い声。

きっとこのふたりはいがみ合って別れるんじゃないんだろうな。
ただ「好き」だけじゃつきあっていけなくなることもある。
いろいろな事情で別の道を歩いていかざるを得ないけど、
お互いの中に「思い出」という確固たるものがあるから、寂しくない。
曲全体が“悲しい別れだけじゃないんだよ”というメッセージを放ってる。

「傷跡だって愛しい」 それはもう恋じゃなくて、さしずめ人間愛。
その愛情があるからこそ、お互いを認めながらプロローグをはじめることができるんだよね。

アンサー。

2006-09-16 21:48:16 | Sound Schedule
もうカウントダウンがはじまっているというのに、私はまだ答えを出せずにいる。
過去を締めくくるためのライブか、未来のための就職活動か。

『アンサー』
ようじさん作曲作品パート3な8thシングル。3rdアルバム「Biotope」にも収録。
実は曲の終わり方がシングルとアルバムでは違うんです。
そしてギターが1番難しいという大石くんお墨付きの曲なんです。
ようじさんがキーボードで作ったメロディを、ギターに直すのが大変だったからだとか。
全体的に音がライブバンド色から変化したなっていう印象は、そういうところにも由来するのかしら。
これはいい意味でも、わるい意味でもなく、あくまでもニュートラルな感想として。
イントロのギターとか、時計の秒針を思わせるようなビートとか、マイクエコーの掛かり方とか、
サウンドがすごくシャープになって、言うならば都会的な雰囲気がする。PVもそれが顕著。

もう何回CDが回転したんだろうっていうくらい聴いた。どうしようもなく好き。
雑踏の中でイヤホンから流れてくるのを聴いたり、夕方部屋の隅っこでひとりひっそりエンドレスリピートしたり。
「アンサー」には“ひっそり”という言葉がよく似合う。心地よい孤独感っていうのかな。
一人暮らしのお友達は、気分の上がらない朝や憂うつな夕方に必ず聴くって言ってたけれど、それ正解。
「アンサー」に大勢は似合わない。だから実はライブで聴くより、音源で聴いていたかったりする。
そしてそれはきっと、歌も演奏も、CDとして極めて洗練されているってことでもある。

その半音階は反則だ。
その歌い方も反則だ。
その歌詞も、コード進行も。
何かをやさしくすくい上げるようなベースラインも、ささやくようなドラムも。
みんなみんな反則だよ。どうしようもなく泣きたくなるじゃない。

「君のいない物語 気の抜けたコーラのような日々」

でもこれからの未来。サウスケの曲を聴けばいつだって、はじけるような青春の味がすると思う。

運命の人へ。

2006-09-15 22:36:36 | Sound Schedule
いよいよサウスケ解散ライブツアーまであと1週間を切りましたね。
皆様お気づきと思いますが、8月12日より「ありがとうサウスケ企画」と題しまして、全曲紹介コラムを連載中です。
インディーズ時代からずっと応援してきて、いつも私を支えてくれていたサウスケの曲たち。
7月31日。お友達からの電話で解散のニュースを知って、いろいろ振り返りました。
そしてふと、今まで心の引き出しにそっとしまっておいた想いを書き綴ろうと思い立ったのが約1ヶ月前。
ホント言いたい放題、好き放題書いちゃって、自己満足なものだから、
「サウスケありがとう」にはならないのかもしれないけれど、これが私の愛のかたち。
毎日書こうと張り切ってたけど、書けなくてまとめて更新なんていうことも。
それでも。これを書いていくことで、改めてサウスケの曲と向き合えてよかった。

これまでの人生、たくさんの人と出会い、生きてきた。
そしてこれからも、たくさんの人と出会い、生きていく。
でも間違いなく、サウスケは私の人生の、かけがえのない「運命の人」だ。

『運命の人へ』
2ndアルバム「456」の2曲目に収録されています。
サウスケの歌詞には“こんなこと言われてみたいフレーズ”が満載ですが、
「運命の人へ」はその最たるものかもしれません。
ダイナミックなサウンドと大石くんの広がりのある声で、
隣ですやすやと眠る彼女への揺るぎない愛が歌われています。

「ピーターパン・シンドローム」から始まったサウスケ第2期は「456」で締め括られますが、
第2期は言葉をストレートに投げてくる曲が多い中でも、特にこの曲は直球な愛の言葉がステキです。
結婚願望なんてまるでなかった私だけれど、この曲を聴いて変わりましたね。
はぁ私も言われたいな、「今ここに愛を誓う」とか。
いや、実際言われたらかなり恥ずかしいかもしれないけれど。

911。

2006-09-11 23:58:15 | Sound Schedule
5年前の今日のことを、僕ははっきり覚えている。
きっと、世界中の誰もがはっきり覚えている。決して忘れない。

ねぇねぇ、僕が君のためにできることって何かあるのかな。

『君のためにできること』
3rdアルバム「Biotope」収録曲。
アコースティックギター1本でかき鳴らされたメロディに、大石くんの歌声が印象的。
つきあって1年近い彼女を想って、彼が夜中にアコギで曲を紡いでいるというストーリー。
夏の終わり。夜の海岸、降ってくるような星空の下。波の音を聞きながら、遠くにいる彼女に向けて歌う。
もしこの曲を題材に映像を作るなら、そんなのがいいな。
ベタだけど、理想。自己満だけど、それでいい。

ねぇねぇ、あなただって愛する人のためにできることを探すでしょう?
あの人だって、愛する人のためにできることを探すんだよ?
なんのためにそんなことするの?
もう終わりにしようよ。

古きよき日本。

2006-09-09 15:52:15 | Sound Schedule
私の趣味は、音楽と読書と文章を書くことである。
三度の飯より、そして寝ることよりも好きなのである。
とにかく毎日のかばんには、紙とペンと本が入ってないと落ち着かない。
そんな私は外国文学より純日本文学が好き。
古きよき日本の風景の色合いとか活気とかが何とも言えずたまらない。

明治期の小説の風景を彷彿とさせるような1曲がある。
音源化されていないサウスケの名曲『ほのかてらす』がそうである。

『ほのかてらす』
ライブでしか発表されていない隠れた名曲。
オフィシャルBBSでも音源化を求める声が大きい。
これからもしこの曲が埋もれてしまうことがあれば、それは非常に残念なことである。

主人公の住んでいた街を彼女にとつとつと語る歌詞がとてもいい。
抜けるような青空のもと、秋風の吹く夕方。夕日にきらきら光る水面を思いながら語る主人公。
大石くんの生まれ故郷の愛媛県宇和島を題材にしているのだろう。
行ったことはないけれど、夏目漱石のあの小説のような。
曲を聴きながら、小説を読んでいるような感覚。

1番では自分が生まれ育ったきれいな街のすばらしさを。
2番ではそんな街が無情にも開発されていく切なさを。

私は東京生まれの東京育ちで、田舎というものを持たない。
だから新聞でどこどこの海が埋め立てられて・・・という記事も、「ニュース」としてしか見ていなかった。
自分の街が変わっていく無常観が分かっていなかった。それに気づかされた曲でもある。

そういう街の変化を憂う主人公だけれど、線香花火が彼女の浴衣姿を
「ほのかてらす」ところを想像して胸が騒ぎ出している。
そんな気持ちの機微をうまく1曲の中に組み込んでしまったいるあたりが、
なんだかすごく日本文学っぽくて、お気に入りの曲である。

買ったのに出来なかった線香花火を見つけた。過ぎ去った夏の落し物。
火を点けてみたら、私はその灯りに何をみつけるだろう。

初恋の人。

2006-09-06 09:18:27 | Sound Schedule
初恋の話をしよう。
あれは私が高校3年生の頃のこと。相手は塾のチューターさんだった。
すごく出来た人だった。誰よりも真面目で熱くて、ユーモアのある人だった。
さらっと他人に気遣いのできるところが、あの人の放つことばひとつひとつが、本当にかっこよかった。
恋焦がれてた。ううん、ずっと恋焦がれている。尊敬している。
もう会わなくなって4年も経つのに、未だにあの人の残したことばは鮮やかに残っている。
くじけそうになったときは、いつでもその人の言葉を思い返しては生活の原動力にしていた。
大学生になって、私が学問というものに情熱を失わなかったのも、あの人の言葉がいつも心の中にあったから。
・・・私がちゃんと努力していればいつか必ずまた再会できる日がやってくる。
次に逢えたときには当時よりも何倍も成長していたいから。

『恋焦がれ』
2002年7月10日に発売されたフレッシュ1stアルバム「イマココニアルモノ」に収録されている。
ようじさんのピアノ伴奏&コーラスに乗せて大石くんが紡ぐ恋の物語。
ピアノアレンジがいいです。間奏部分で半音階で降りてくるところとか切ない。
でも実は私、この曲の終わり方はあんまりお気に入りではありません。
だってラストのピアノまでめちゃくちゃいい感じで来てるのに、C!
最後のCの和音が素直すぎる解決な気がするんですもの。
でも相方に聞いたところ、この間のラストライブのアレンジよかったみたいで、聴きたかったなぁ。
加えてようじさんがピアノを弾いている姿を見たかった。きっとさらにかっこよかったはず!
ピアノかコントラバスを弾いてる男の人はかっこよく見えます(おい!)
・・・すみません、ギターもベースもドラムもかっこいいです。
ピアノがこの曲の魅力のひとつです、というお話でした。

さて、この曲のもうひとつの魅力である歌詞。
まず印象的なのは、彼女のことを「ダーリン」と言っているところ。
ヤイコの曲のインパクトが強いせいか、ダーリン=彼みたいなイメージがあったんだけど。
でも男の人が彼女のことをダーリンっていうのもいいなぁって。
母性本能をくすぐられます笑。大石くんはそういう自分の魅力を知り尽くしてます。
そして次に気づくのは「愛よ 触れてたいよ」「耐え難いよ」「あの日の太陽」という押韻。
「~よ」が繰り返されることで、主人公の恋焦がれる想いが強調されます。
詞全体のストーリーとしては別れてしまったけれど恋しい彼女へのメッセージ。
彼女がいなくなったあとの生活に、憔悴しきった主人公の切ない気持ちを綴ったことばたち。
「愛の残骸」「思い出をかたちにして積み木遊び」「散らかった着信とコンビニ袋」
もうどうしてこんなことばが大石くんのもとには舞い降りてくるんだろう。
改めて聴き直してみると、この詞、すごい。

余談ですが、この曲はヘッドフォンでよ~く耳を澄まして聴いてみるといいらしい。
そしたらなんと、ようじさんの桃色吐息が聞こえる・・・という(大石くん談)