〔夢〕
私は、ALSに侵された侍になっていた。
娘がいて、
私は、母ではなく、父であった。
本当は女なんだけど、男の格好をして、侍で、
病持ちで娘と暮らしていた。
刀を杖代わりにようやく立っているような状態で、
そんな状態で戦わなくてはならなかった。
自分はじきに動けなくなる。
今戦って、自分らの敵とする侍を斬っておかねば、
娘がどうなるか判らない。
斬られようが、どうしてもやらねばならない。
他に選択肢がない。
そこは大人の事情で、娘に、何故こんなに無謀な戦いをせねばならないのか、
うまく説明もできない。
友人にも、暗愚なやつだと云われる。
娘が泣いていた。
でも、行かなければならない。
斬られるのは判っていた。
でも、最期のチャンス。
もう動けない。
何故、こんなに動けないんだろう?
足はこんにゃくで、腕にも力が入らない。座りこんだら立てない。
壁に身を預けて前進する。
呼吸もおぼつかない。
これが、ALSなのだと判っていた。
…夢だからね。
目が覚めたら、首の下にあてがわられた刃物の冷たさが、
リアルだったな、とぼんやり想った。
父が発病してから、
色んな形で、自分も発病する夢を見る。
いつも、娘を巻き込む事態を逃れようと、
命を絶つことに焦っている。
家族性のALSだったら…という恐れが、そうさせるのだろう。
〔野望」
ラベンダーと、バラとアスパラを、
どうにかうまく育てること。
10年くらい年月をかけて、
ここに私の庭を完成させる。
今は、娘の学業と父の介護を大切にしながら、
少しずつでも前進しよう。
また、このたびの満月がいくつかの奇跡を起こしてくれて、
生活は来月いっぱいはなんとか保障された。
普通にやってゆけば生きてゆける。
ほんのわずかだけど、
自由になるお金もできて、
ラベンダーを4株買った。
あとは、バラの予防と栄養。
土作り。
少しずつで、いいんだ。