想い事 家族の記録

難病の父と生きる
鬱病
ふたり暮らし

まだ あついですね。 緑の指(仮) 満月水と花ふきん。

2015-09-05 14:47:46 | 日記

今日は、4時半起き!

お嬢さんのお弁当作りを楽しみました

レンジでチンするだけの春巻きと、ミートボール

だし巻き玉子 金時豆 キウイフルーツ

ごはんには 鮭フレーク 冷たい緑茶

6時頃 お嬢さんは朝食を済ませて 交歓演奏会へ

私は9時まで二度寝

起きてから バナナ アボガド ヨーグルト 塩麹 豆乳でスムージを作り

グレープフルーツを食べる

トマトジュースは飲みきれず 現場に持ってゆくことにする

冷たいカフェオレも準備万端

観光バスは4台で 売り上げはいまいちだったけど

働けて良かったな

残暑はまだ辛いけど 木々は 葉を落としはじめていた

私の大好きな さむーい さむーい 冬が近づいてくるよ

その前に 紅葉だな

昨年は 雨のなか 軽井沢まで行ったんだっけ …

今年はどうしようか…



演奏会は 大変楽しかったらしい

お嬢さんは本当に音楽が好きなんだーと 想う

あとは 紫苑祭が終われば 部活動は終了となる

相変わらず 危機感のない受験生だけど

オジキがいうには 子供が少なくて

学校が子供を欲しがってるんだから大丈夫だと云う

どこかしらに入れるかしら

明日も仕事

明後日は 子宮頸がん検診

その後も二日間 仕事

頑張る!

小説 下に下ろしときました

読みたい人だけ ぐぐぐっと 下がってみて。













玄関を開けると カーテンで閉めきった薄暗い2LDK 。

そこには、まだ、あの死体の残香が残っている気がした。

嫌な汗が、首を伝って落ちる。

恐々と部屋を見渡した僕は、「あの場所」に、黒い肉塊が転がっているのをみた。

畳の上。

それが、生首だと判るのに、時間はかからなかった。

あの日。

ぶら下がっている彼女を降ろそうとしたとき、

腐敗しきった遺体から、首がもげてしまったのだと聞いた。

それが、コロリと転がって、顔がこちらを向いた。

青い眸に、焦点が合った時、僕は悲鳴を上げて、尻餅をついた。

「どうしました?」

紫さんが、僕を押しのけて、部屋に入ろうとしていた。

一応、ハウスクリーニングは、過剰なほどにしてある。

前の住人が、全てを置いて逃げたので、

大抵の生活備品はそろっている。

スリッパも、新品だ。

それを足先に引っかけて、紫さんが一歩踏み込んだ瞬間だった。

眩い光が、炸裂したような気がした。

思わず、目を逸らす。

その光の中で、声を聞いたような気がした。

『 アナタニアイタカッタ アエナカッタ キョウモ アエナカッタ … 』

その声を、横に裂くように、また、光が走る。

『 コエガ キキタカッタ デモ キコエナカッタ … 』

何者かの意識が、僕の中に流れこんでくる。

それは、先程の恐怖をかき消し、透明な、祈りに似た『想い』に代わっていた。

『キョウモ アエナクテ デモ マダ アイタクテ 』

ドウシタライイノ … どうしたらいいの … ?

「そんな時は、誰にも、あります」

紫さんは、カーテンを開け、窓を開けた。

どっと、風が入ってきた。

「誰にも、起こり得ることです」

僕は、立ち上がって部屋を見渡した。

空気が違う。先程と、違う。今までと、まるで違う。

「そんな哀しみに、命までくれてやるなんて、あなたは、愚かです」

紫さん、誰に、話しかけてるの?

あの、禍々しい雰囲気が、もうこの部屋にはない。

「角部屋って素敵…お隣のお庭が見える。ガーデニングがご趣味なのかしら。

素晴らしい、ブルーガーデン!」

今、季節は、春。

隣家の庭は、蒼い花に埋もれていた。

「こっちの窓からは、季節を待つ、田んぼが一面。いい風が入ってくる!」

紫さんが、興奮して叫ぶ。

「母さん、遠くに海が見えます」

凛ちゃんも、上機嫌だった。「お日様の匂いもします!」

「素晴らしい … 」

母と子が、窓の外に見惚れているうちに、僕は畳のシミを確認した。

何度、新しいものに替えても、ここには不気味なシミが浮き上がってくるのだった。

それが、ない。これは、どういうことだ?

もちろん、生首もない。

そこは、ただの、小奇麗な小さな部屋になっていた。

「この揃っている備品は、使っていいのですか」と、聞かれ我に返る。

「はい。もし、気持ち悪くないなら」

「大丈夫。とっておきのアイテムを持っています」

紫さんは、大きなトートバッグから、ペットボトルに入った水を取り出した。

それと、手縫いだろうと思われる手ぬぐい。

「これは、昨夜のブルームーンで精製した満月水。

この手ぬぐいは、わたしが心をこめて刺した花ふきん」

白いさらし布に、紺の糸で刺繍されている。

「美しい布ですね」

「刺し子の花ふきんと云うんですよ。かわいいでしょ。

この柄は、千鳥つなぎといいます。

これで部屋のもの全てを拭いてゆきます」

「凜も手伝う!」

凛ちゃんは、満月水と花ふきんを持って、台所に走ってゆく。

「あの、ここに住むつもりですか」

僕は恐々と聞いた。今はまだ明るいけれど、夜になって、またアレが戻ってきたら…

「まずは、使えるか試してみていいですか」と、紫さんが云う。

僕たちは、とりあえず、冷蔵庫や電球を拭きはじめた。

それら電化製品も、はじめからきれいにしてはいる。

でも、満月水で拭いたそれらは、明らかに、眩しさを増し、新品同様のようにきれいになった。

「使える」

と、紫さんが云った。「ここに、住まわせて下さい」

もちろん、僕に断る権利はない。結局、母子は今夜からそこで暮らしはじめることになった。

「布団は? 布団まではありませんよ」

「ベッドが欲しいな」

「じゃあ、僕が付き合いますよ。軽トラもありますし。どうせ暇ですから」

そうして、僕らは、3人で買い物に出かける事になった。

再び玄関を閉ざすとき、なんの根拠もないことだけど、

この人たちは大丈夫かも知れないと思った。

田んぼに向いた窓辺に佇む女性がいた。

この部屋で腐り落ちたひとだ。

でも、その後ろ姿から、悲壮感もなにも感じられない。

彼女は、初めてそれに気づいたように、

窓の外を、一心に見ていた。

外は、春。誰もが待っていた、春だ。

僕は静かに扉を閉める。

それから、凛ちゃんにそっと問いかけた。

「君のママは、魔女なの?」

「ママは、神様よ。やっと、ここで神様らしく暮らせる」

嬉しそうに凛ちゃんが笑う。

「素敵なお部屋をありがとう、猫のお兄さん」












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