大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

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大阪市鶴見区今津北にあります。

アンパンマン

2011年01月09日 | 児童デイサービス
 朝一番に「おっはよ」と笑顔を振りまきながら事務所に飛び込んでくるMaくん。
 お目当ては退職スタッフのSaさんです。

 いないと「おっしまい」。おいおい、それはないやろう。
 いるとほっぺが落っこちそうな満面の笑顔で手を引いていきます。
 しばらくするとサァー散歩です。真冬でも半ズボンに着替え、靴下なしで、一応靴は履いて出かけます。一応というのは、私が公園で見るMaくんはいつも靴を脱いで、真冬の土の上を(真夏のアツアツのコンクリートの上をつま先立ちで歩いているときのように)走り回っているからです。

 私にはMaくんとSaさんがどこで何をしているのかさっぱり分かりません。どこかの公園、マンション(エレベーター)…らしいのですが、とにかく飽きるほど遊んで満足して帰ってきます。とことん付き合ってもらってMaくんは幸せです。いやいや幸せなのはSaさんの方なのでしょうか?

 「とことん」というのはとてもとても難しいことです。
 だって、真冬でも裸足で飛び回っているのですよ。よそのマンションのエレベーターを上がったり降りたりするんですよ。温かい目で見守ってくれる人もいますが、たいていは眉根を寄せたり、目を見開いたりして見られるのです。他人の目というものは結構気になるものです。その前に「公衆道徳」観念が邪魔します。
 180度にブランコをゆらすのも、力がいるんですよね。Saさんはまだ体力もありそうですが(えっ?もう限界?)。
 社会の視線(=実は自分の中の社会性・視線のような気がする)と付き合う精神力(神経?)というのは年をとった分だけ(失礼)しっかりしてくるのだろうか?「ずぶとさ」ではなくて「愛情」と「しなやかさ」なのかもしれない。
 ぽぽろでいう退職スタッフというのは交通費のみの無償のボランティアスタッフです。「気楽な立場だからできるのよ」という声も聞こえてきます…。いつになれば私もそんな立場になれるのだろう?

 親ごさんは四六時中世間の目にさらされていらっしゃいます。私たちはその足元にも及びませんし、親でない一時のつき合いだからできるのかもしれないし…、でも、「とことん」付き合うことから生まれるもの、財産は大きいと思う。

 Maくん、今度の水曜日は久しぶりにSaさんに逢えるよ。今年の初日はいないので駄々をこねました!次の日はけなげに我慢していました。昨日は人手もあったからMaくんの散歩に付き合ってあげてよということになったけど、どうも勝手が違うのかお隣のマンションで我慢したようです。

 この日、久しぶりのフラフープころがしに挑戦したMaくん。2年前も紹介したと思います。「いつまで同じことを…」と思わないでくださいね。
 実は転がす前に一度グニャッとしならせてから転がすのでクネクネと転がるのです。これが面白いのです。日々研究に励んでいるのです。もう一つ、ちゃんと相手がいるのです。というか、こっちに放ってと頼むと何度か転がし合いっこをしてから、あさっての方へ転がして自分の世界に入ります。全く一方的に転がし、自分の世界で黙々と一人遊びに没入(それもいいのですよ)していた頃とは違うのです。


 「Maくん、ほらこれアンパンマン」と「落書き壁」を指さします。「Maくんも描く?」とマジックを渡すと描き出しました。
 最近は耳も描き出したとHuさんが携帯カメラの写真を見せてくれました。アンパンマンには耳がないからこれでいいのです。
 アンパンマンの右側の絵はMaくんの左手の手形です。指の左側に沿って描くのが難しかったようです。

 机にも描き出したので紙を渡すと目玉を入れていました。

 

 Taちゃんのおかげで友だちの遊びも広がりました。
 Keちゃんは紙破りに熱中していました。この日はプレールームが紙吹雪だらけになりました。Taちゃんはジャンボすべり台の上から落として楽しみました。

 「冬休みはどうでしたか?」とお母さんに聞くと少し困った顔で「反抗期ですわ!」と返ってきました。なるほど、今年はプレールームから廊下へ飛び出すKeちゃんの姿が頻繁に見られます。私たちのKeちゃんへの関わり方も脱皮する時でしょうか。狭いプレールームから広い公園へ出かけたときのイキイキした姿、おいかけっこは部屋の中とは大違いです。部屋の中での熱中できる物や物を介した遊びの発見と広がり、広い空間でのダイナミックな遊びに心がけたいものです。

 Taちゃんの遊びはYuちゃんにも興味がある様子です。Taちゃんがちぎったコロコロ粘土をパラパラさせて遊んでいました。
 カラーボールプール、ブランコ、絵本のコーナーと周辺の遊びコーナーで遊ぶYuちゃん。一緒に楽しむと視線を合わせて笑顔が広がってきます。昨日スタッフに言いました。周辺参加(「一人遊び」を楽しんでいるように見える)の子が一つでもいいから「ああ、今日も楽しかった!」と言って帰れるように気配りできるのがリーダーの役目ですと。そのためには先ずは「一人あそび」に邪魔しない程度に付き合い、共感し合うことから始めたいと思います。例えば粘土を一緒にグニュグニュするとかちぎるとか、容器の中を転がすとか、パラパラして遊ぶとか。