コルボ/ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル「フォーレ レクイエム」


 レクイエムなのですが悲壮感はなく、優しくて深い至福の音楽です。劇的なモーツァルトやベルディとは異なり、教会から生まれた祈りの結晶です。特にコルボによる有名な1972年のスタジオ録音盤は音楽の魅力を衒いなく素朴に再現した名演奏で、私も愛聴してきました。

 同じコルボによる2005年2月14日の来日ライブ盤です。基本的なスタンスは以前の演奏とあまり変わらないのですが、ライブなのに細部にわたり完璧な演奏が行われています。地元のホールではなく演奏旅行でこのような演奏を繰り広げられる自力には驚嘆してしまいます。第4曲「ピエ・イエズ」はボーイ・ソプラノではなく、女性のソプラノですが、清楚な美しさは同じです。
 このディスクは録音がよいので、音楽の透明感、コーラスの美しさがより明確に聞き取れます。東京オペラシティホールでこの演奏、響きに包まれた観客が羨ましいです。フォーレの名曲に最高のディスクが登場しました。

 それにしても第3曲「サンクトゥス」、第4曲「ピエ・イエズ」、第5曲「アニュス・デイ」の美しさはまさに天国的です。


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