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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

居心地のよい立ち飲み酒場 大島や

2021年01月10日 | 居酒屋・銭湯紹介

再び緊急事態宣言が発出された。前回は2020年4月7日から5月25日(当初は1か月の予定だったが延長)だった。そのころ行き始めた立飲み酒場が、佃大橋を越え、地下鉄月島駅から50mほどのところにある。大島やというタワーマンション1階の店だ。住所は月島だが、佃リバーサイドに10ほどあるタワーマンション群の一角をなしている。

間口は狭いが奥に長いコの字型カウンター(正確には下の横線が少し短い)で詰めれば20人くらいのスペースだ。
昨年12月19日に開店19周年を迎えた。店を営むのはマスターのシゲさんとお姉さんの2人で、お姉さんは原則として調理専門なので、顔を合わすのはもっぱらシゲさん一人だ。
キャッシュ&デリバリーは自分の前に置かれた金属製の皿に入れる。現金引換えの店は池袋の桝本屋酒店、渋谷の富士屋本店(2つともいまはない)のように多くある。またメモに付けておいて店を出るときに精算という店もいくつかあった。この店の皿は結構重く存在感がある。なかなか合理的なシステムだと思った。聞いてみると、何個かなくなったことがあったそうだ(ということは客が持ち帰った!)。わたしは逆に、皿に入れた釣り銭を取り損ねて帰宅したことがあった。気づいてあわてて走って届けていただいたことがあった。それも店のスタッフでなく女性客だった。まったく恐縮してしまった。この店ならでは、あるいはシゲさんの人徳のせいである。

牛皿と白菜のお新香、焼酎お湯割り
キャッシュ&デリバリーは、立飲みの王道だが、違うのは、食べ物が充実していることだ。普通は乾きものや缶詰が多いのだが、この店はちくわキュウリ(180)、白菜のお新香(100)、ほうれん草のお浸し(200)、塩辛(210)チャンジャ(280)、柿ピー(100)のつまみ類のほか、わたくしが好きなサラミ&チーズ(280)いぶりがっこチーズ(250)、煮凝り(100)がある。また焼厚揚げ(300)、牛皿(280)、揚げシューマイ3個(280)、ふき味噌(150)、まぐろの生姜煮(220)、春巻き(280)など料理のメニューもある。いつもあるわけではないが、マグロぶつ(380)、たこぶつ(350)、肉みそきゅうり(270)、肉みそとうふ(300)などもある。また若竹煮、筍ともやしのナムル(250)、おでんのように、季節で入れ替えている料理や刺身のように価格が変わるもある。その数30種類前後に及ぶ。数が多いだけでなく、価格が安い

ちくわきゅうり、まぐろの煮凝り、焼酎水割り
一方飲み物は、ビール、サワー、焼酎、日本酒、ウィスキーなどなんでもあるが、泡盛・残波(420)、陸前高田の酒・酔仙(580)バイスサワー(400)、ハーブのお酒のハイボール(400)、ネパールのソムラス60度(500)、シェリー酒、テキーラ、ラム酒などはマスターのこだわりだと思われる。メニューには書かれていないがグラスワイン(430)もある。
立飲み店としては、日本酒が相対的に高い(480-580)ので、わたくしは焼酎お湯割り(320)を飲むことが多い。夏は水割りだが、グラスも水もいわゆるキンキンに冷やされ、さわやかだ。
料理の数が多く、かつ安いので客が長居する傾向がある。たいていの人は、顔なじみの人と歓談し、楽しい時間を過ごす。つまり、地域に根付いた座って飲むふつうの居酒屋とまったく同じレベルなのである。「居心地がよい」のが一番の特色だ。
立飲み酒場としては女性比率が高く2-3割に上る。年齢層は20-80代まで幅広く、中心は50-60代にみえる。比較的若い客が多いように思う。

この店の名前は数年前から聞いていたが、昨年4月新型コロナが流行しだしてから初めて入った。圧倒的に常連の方が多いのだが、新参者も快く受け入れてくださり居心地がよいので、月2回くらいのペースで通っている。これはいい居酒屋の条件のひとつである。わたくしは立飲みの鉄則の1-2杯でサッと引き揚げるようにしているが、たまに話が弾んで「もう一杯」ということになることがある。そういうときに、この店には「チビ」(280)というグラスビールのメニューがあり、わたしは助かっている。
なお新型コロナ対策は十分なほど実施されている。入店したときにマスター自らアルコールを手にかけてくれるし、緊急事態宣言が出ているあいだはフィジカル・ディスタンスを保てるようアクリル板を立てて定員を厳しく守り、最小のときは9人だった。テイクアウトをやっていた時期もあった。

マスターのシゲさん
よい店なのだが、どうもブログ記事に書きにくい。というのは、ふつうなじみになるとマスターから店の来歴などを聞けるのだが、ほとんどわからないからだ。立飲み酒場はたいていスタッフが忙しく、店の方と話すチャンスはないが、この店もそういう店だ。
おっかあのポテサラ(200)、おっかあの塩辛(210)というメニューがあり、おっかあというのはどなたのことかと聞くと姉弟の母とのこと。年末に行ったとき、上品そうな老婦人が何か届けものでいらったっしゃったことがあった。古くから通っているお客さんに聞くと、お母さんとのことで、はじめてお目にかかった。開業したころは店を手伝っておられたこともあったようだ。また、開店前の料理の仕込みは素材の調達を含めシゲさんだが、シゲさんの奥方が調理の一部などを手伝っておられるようだ。
以下は、古くからこの店に通っておられるお客さんから聞いた話の一部なので、わたしの聞き違いも含め、間違っていることもあるかもしれない。
もともとはここから少し離れた場所の酒屋がオリジンで、いまの店舗から100mほど離れた場所で19年前にシゲさんが開店した。シゲさんは月桂冠の前垂れをユニフォームのように着けておられることが多いが、酒屋の名残なのかもしれない。その後、タワーマンションが建設され5年くらい前に、いまの場所に移転した。
シゲさんは音楽が趣味のようで、たいてい洋楽のBGMが流れている。客も音楽好きな人や俳優がいる。シゲさんはスマホで何か操作していることが多いので、メールでも打っているのかと思っていた。どうやら次に掛ける曲のチューニングをしているようだった。
店内には、「春夏冬 二升五合」(商売ますます繁盛)やオープン〇年のポスター、マンサニージャ・ラ・ヒターナ(シェリー酒)のラベル、祭りの版画などが貼られていて、「大島や」の提灯も掛かっていてデザインっぽいインテリアだ。BOSEの壁掛けスピーカーの上に杉玉がのっていた。

0408」という4桁数字がいくつかあったので、これは何を意味するのか、4月8日は何かの記念日なのか聞いてみた。これは「おおしまや」と読ませるそうだ。お客さんでデザイナーの方がいて描いてくれるらしい。
店主の「こだわり」と「心遣い」のある店である。今回、この記事を書くに当たり、改めて店内を見渡し、そう思った。どこになにが隠れているかわからない。また料理のメニューも多くなかなか食べ切れない。アメーラという謎のブランド・トマト(小玉180)もある。行くたびに発見があり、まだまだ新たな謎が出てきそうな店だ。

●大島や
電話:なし
住所:東京都中央区月島1-5-2 キャピタルゲートプレイス1階
営業:17:00~22:00 (日祝 休み 緊急事態宣言のあいだは変更される)

●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。
        (2021.4.19一部修正)

 


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