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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

バール・スタイルの立飲み居酒屋・八丁堀MARU

2020年10月10日 | 居酒屋・銭湯紹介
JR京葉線八丁堀駅のB1出口階段を上がったところに立飲み居酒屋MARUがある。新大橋通と鍛治橋通の交差点なので便利なところだ。入口は酒販店・宮田屋の店頭、右側は6段の大きな棚や冷蔵庫が並び左側にレジがある。奥のほうに立飲みコーナーが見える。酒販店併設立飲み居酒屋は伝統的な角打ちなので、池袋の三兵酒店、大井町の武蔵屋酒店など何軒か思い浮かぶ。ただしMARUの雰囲気はまったく違う。立飲みだからもちろんカウンターなのだが、長い直線カウンターだけでなく大部屋の壁に沿ってコの字型カウンターが続き、真ん中に10人近く立てる大きな丸テーブルを据え付けている。だから30人前後入れそうだ。立飲みとしては効率が悪いはずなのだが、オーダーを取るスタッフが3人くらい動き回っている。なおいちばん奥のほうのカウンターだけ腰高の椅子が4脚あり座って飲むことができる。

角打ちのメニューは乾きものと缶詰がメインだが、ここは違う。
まぐろ中トロ980円、バフンうに880円、真鯛酒蒸し780円、岩カキ600円、だるまイカ煮物480円といった魚料理もあるし、牛もも炙り焼き1500円、和牛煮込みハンバーグ800円、ミロトン(牛すじトマト煮)680円などの肉料理、安いものでは鶏のから揚げS300円、M580円、子羊のソーセージ300円があった。どちらもボリュームもあるうえ味もよく得をした気分になった。プロシュートというものがあり、何か聞くと燻製しない生ハムだそうだ。

その他、ポテトサラダ580円、自家製ぬか漬280円、オニオンスライス380円、金時草としめじのお浸し480円、里芋煮ころがし380円、焼ごま豆腐480円、カジキマグロのマリネ580円、サラミ盛合せ900円、チーズ(ハード、ブルー、白カビ)単品380円、3種盛650円、チョコ、ナッツ、ドライいちじく各280円など一品もの、変わったところではガトーショコラ450円、ダークチェリーのクラフティ450円といったデザート、ペンネアラビアータ1200円、ペペロンチーノ1200円のパスタ、鉄火巻き、かっぱ巻きの鮨まである。
酒はもちろん豊富な種類がある。グラス日本酒ですら〆張鶴純米吟醸800円、初孫生もと純米、金寶純米、浦霞本醸造 各300円、蓬莱泉特別純米400円、雲中梅500円、その他出羽桜、幻、まんさくの花、七賢、酔鯨など、変わったものではスパークリングのたまゆら誠鏡、りんごのお酒 梅酒のうぐいすとまりなど知らない銘柄が多くあった。
焼酎、ブランデー、シェリー、各国のビール、各種カクテル、ウォッカ、ジン、ウィスキーなども充実している。オープンの16時から18時はハッピーアワーでハイボールやグラスワインが280円というのもうれしい。本体が酒屋なので、小売価格+500円(一升瓶は+1000円)で持ち込める。
わたしはもっぱら日本酒か焼酎を飲んでいるが、おいしく感じるのは保存状態がよいからではないかと思う。さすが酒販店である。

こんなに料理の品数が多いのは2・3階がレストランになっていて、上の調理場からエレベータで料理を降ろして来るからだ。食べログによればレストランはディナーの予算6000-8000円とあるので入ったことはない。同じ料理を1階でも食べられるのだから、得といえば得だ。ただ、酒はすぐ出てくるが、料理は簡単なものでも時間がかかる。そのつもりで入ったほうがよい。
雰囲気も駅周辺の立飲み居酒屋ではなく、バールとかパブである。実際、立地場所が都心のせいもあるのだろうが、女性客や外人客も多い。一杯飲んでサッと引き上げるという雰囲気ではない。料理は多めで出てくるので3-4人で行きシェアして食べるのがよさそうだ。そういうグループ客のほうが多い。わたしにとっては、ちょっと高級感を味わいたいときに来るタイプの店である。落ち着いてゆったりした気分になれる。

帰りにレジのところで、この店はいつごろ創業したのか聞くと、なんと1864(元治1)とのことだった。150年以上の歴史をもつので、恐れ入る。わたくしがいままで行った居酒屋でもっとも古い歴史をもつのは、根岸の鍵屋で1856(安政3)年の創業である。復元した建物が小金井の江戸東京たてもの園に保存されている。それに次ぐ歴史である。
その当時はこの場所ではなく、もう少し北側で酒屋だったという。いつごろのことなのか区画整理があってこの場所に引っ越したらしい。そして30年ほど前の先代(6代目)のときに角打ちコーナーを始め調理も始まったそうだ。そしていまのオーナー(7代目)になり2階・3階のレストランを始めたが、それから10年くらい経つそうだ。ついでに「MARU」という店名の由来を聞きたかったのだが、それはオーナーの家族でないとわからないとのことだった。店のスタッフは総じて若い人たちだった。

MARUから100mほど西の京華スクエア(旧・京華小学校の前に与力・同心組屋敷跡の説明板がある
☆江戸時代と聞き驚いて、八丁堀の歴史を調べてみた。時代劇でも有名だが江戸時代の八丁堀には与力・同心組屋敷が多くあった。
江戸初期に埋め立てられたころは寺の多い町だったが、1635
(寛永12)年の江戸拡張計画で多くの寺は郊外に移転し、跡地が与力・同心組屋敷となり、初期の江戸町奉行板倉勝重の下に与力10人、同心50人が入り、北町奉行・南町奉行が成立すると与力50人、同心280人に増員され茅場町から八丁堀にかけて居住した。副業として家を貸す者も多く、町民が多く住んだ。ちなみに遠山の金さんがいた北町奉行所跡地は東京駅近くの呉羽橋付近、大岡越前がいた南町奉行所跡地は有楽町駅中央口の広場に碑がある。
明治に入ると武家地は整理され、町奉行所は市政裁判所になった。1873
(明治5)年の八丁堀は世帯数2700戸、人口1万人と人口密度が非常に高かった。建具屋、材木屋、古道具屋などが固まっている場所があり、あちこちに寄席もあった。第一次大戦後は鉄鋼問屋が集中した。21世紀の現代以上ににぎわっていたようすだ。

スタンドバーMARU
電話:03-3552-4477
住所:東京都中央区八丁堀3-22-10
営業:16:00~23:00 (土日祝 休み)

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