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そんな思いも手伝って、
私は、前々からのキヨヒメの頼みごとに、
乗ることにした。
天国で、チーコちゃんのまごころを、
返してもらわねばならない。
ブツブツはんたちの説く宗教は、
世界を大きく2つに分ける。
くるくると繰り返しを続けるループの世界。
彼らは、これを輪廻の世界と呼んで、
6つに区切っている。
天国界、人間界、修羅界、畜生界、餓鬼界、
そして、有名な、あの地獄界である。
もう一つは、非ループの世界である。
これは、解脱の世界とも呼ばれ、ループの世界から、
抜け出した世界である。
その世界に入るには、方法は、いくらでもあるそうだが、
宗派により、異なっている。
ブツブツはんたちの教えは、ループ(輪廻)の世界から、
非ループの世界に入る(解脱)ことを、主眼としている。
キヨヒメの恋人アンジンは、
Gスペースで、修業に専念している。
Gスペースは、極楽スペースの手前にある。
そのスペースにゆくというのだ。
キヨヒメは、人をそこに送る力を持っているのだが、
自分が行くのには、つり鐘ルート以外の別ルートから、
行かねばならないそうだ。
人を送りこむことは、出来るのだが、
残念ながら、自分を送る能力は、
備わっていないのである。
そのルートというのは、普通の平凡な死者の、
たどる道のりを通って、地獄から天国に渡り、
極楽スペースへ行く迂回ルートだ。
このルートは険しく、邪魔するモノも多いので、
ちょっとやそっとでは、ゆけないらしい。
すっと行けば、1日もかからないのだろうが、
障害物が、あまりにも多すぎるからである。
人選は、超天才の異名をとる、安倍の文殊菩薩の、
モンジュジュに、再び頼むことにした。
死出の山、死出の川、地獄から天国を通って、
Gスペースまで、無事にキヨヒメを送って、
ゆかねばならないから、それなりの人材が、
必要なのだ。
私は、もちろん付録で、ついてゆくようなものだ。
キヨヒメに、相談されたとはいえ、
単なる仲介者にすぎない。
つづく