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* クイズ「短歌」解読の頼み
クイズ短歌の解読は、そのちうに頼む事にした。
私よりは、ましだろうと思ったからだ。
非人間界には素晴らしい頭の持ち主も多いが、
住む世界が違うので解読は無理だろうと思った。
しかし、彼は今何処にいるのかわからない。
こういう時には、鏡の精ヤッタールに<
頼むことにしているのだ。
パチンコ。そうだ。
ちうは、パチンコの事をMBGと呼んでいる。
MBGは、ちうの造語でミニ・ミラクル・ボールゲームの
頭文字を取ったものだ。
本当は、MMBGなのだが、Mがダブるので、
Mを一つ抜いたらしい。
パチンコも、今やイメージアップする時代。
私も、ちうの造語を使ってやろう。
そのMBGの台には、2重のガラスが張られている。
ということは、鏡の役目を十分果たしている。
1枚でも鏡となりうるが、写りが悪いと、
人違いする可能性もある。
ヤッタールだと、全国約17,000店の、
どの台の前に、座っているかすぐに分かる。
1店、平均250台の台があるとして、425万台。
けれども、ヤッタールが、彼を捜し出すには、
5分とかからないだろう。
MBGランドの開店時間、10時に合わせ、
私は、Oさんの手鏡を借りて、ヤッタールを呼んだ。
念のため、ちうの写真を見せる。
何度か過去に頼んだことはあるのだが、
顔を忘れているかも知れない。
{オッさん、まかしときー}
数分もすると、「縄通」ネットにメールが入ってきた。
ありがたいことに、愛媛県のM市のK店に居る、
とのことだった。
私は、すぐさまNTTの電話番号検索サービス用の、
フロッピーディスクを取り出し、長男休太郎の、
パソコン通信を利用して、K店の電話番号を調べた。
K店に電話をかけ、ちうを呼び出して貰う。
「おう、ドンちゃん、何か急用かい?」
私は、手近に話す。
クイズ短歌を、プリント用紙を見ながら、
たどたどしく読んだ。
それで場所を特定しろなどとは、無理な話だという。
彼は、気ままに短歌は作るが、そんなに他人の作品は、
読んでないらしい。
頭のどこかに、それが残って左右されるのが、
恐いとも、言っていた。
「万葉初期の歌人に、手本はあったか?」が、
彼の持論のようだ。何事でも、始めの人は、苦労して、
様々な工夫を施す。
そういう産みの苦しみを、味わうのが好きのようだ。
私から見ると、暗い歌ばかり詠んでいる。
だから、時々、状況説明して、これ短歌にならないかと、
むりやり、私の世界に引っ張りこんでは、明るいものを、
詠まさせている。
彼も、そういう事は嫌いではないらしい。
よく付き合ってくれる。
今度は事情が事情なので、是非とも引き受けて貰わねば、
大変な事になる。
私は必死で頼んだ。
時間は2週間ほどしかないのだ。
親友の私の頼みだから、彼も正面きっては、
断れないようだった。
しぶしぶ引き受けてくれた。
一人では、心細いので、これからすぐ帰って、
N先生に相談しながら、解いてみようと言ってくれた。
もう、彼らに下駄を預けるしかない。
N先生は、私たちの高校時代の校長だ。
高校は別の県にあったのだが、偶然にも、
今は、3人とも同じ県に住んでいる。
ただ、ちうは住んでいると言っても、
住所不定に近いが、短歌だけは毎月欠かさず、
N先生に見て貰っているようだ。
つづく