現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

杉本博司展@森美術館

2005-10-10 | アート感想@関東
六本木の森美術館に行ってきた。休日でも雨の日の午前中だったのでさすがに空いていたけど、観終わって下界に下りたらチケット売り場が長蛇の列……。ダヴィンチ展目当て?

杉本博司 時間の終わり

世界的に活躍する杉本博司の代表的シリーズを集めた回顧展。モノクロ写真から派生して、近年は建築的な作品も手がけていて、この展覧会の展示デザインも本人によるもの。

最も印象に残ったのは、真っ黒い部屋に展示されていた《海景》シリーズと《能舞台》。《海景》シリーズは、世界中の海を同じ構図で撮影したモノクロ写真。杉本の言葉どおり、古代人も同じ風景を見たと思って観てみると、悠久の時の流れに身を任せているよう。《海景》に囲まれた島のような《能舞台》は、装飾が徹底的に排除されていて清々しい。でも、この部屋で鳴っていた池田亮司のサウンドは、キーンとした音でちょっと苦手。

《建築》シリーズも印象的だった。無限の倍の焦点距離で撮影したモノクロ写真は、はっきり言ってピンボケ写真。杉本によると、これは「建設前の建築家のイメージ」で、ピンボケでも優秀な建築は「溶け残る」とのこと。確かに、《サヴォア邸》や《光の教会》など、名建築と呼ばれるものはピンボケでも魅力的だった。

直島にある《護王神社》の1/100模型や写真も良かった。直島行きたいよう……。あと、護王神社に奉納された能「屋島」の映像もある。これは必見!

最後に、私が気に入った杉本の言葉。
「芸術は芸術的野心のない物にも宿るのだ。」(観念の形)
「どんな虚像でも、一度写真に撮ってしまえば、実像になるのだ。」(剥製)
「過多な情報は無に等しい。」(劇場)

2006年1月9日まで、10月19日休館。

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