現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

銀座、神楽坂ギャラリー巡り

2006-01-21 | アート感想@関東
続いて銀座へ。


國安孝昌展 ―静かに行く、遠く帰る―

前回、銀座に行ったときは見逃したんだけど、sayakaさんのブログ(→ArtsLog: 國安孝昌展)を読んで面白そうだったので早速行ってきた。

エレベータが8階に着いてドアが開くと、数え切れないほどのレンガと木が部屋を覆い尽くすように積み上げられていて圧巻。この作品は、ギャラリー全体を使ったインスタレーション《静かに行く、遠く帰る》。作品の隙間から奥へ奥へと入っていくと、銀座の中心にいることを忘れてしまいそうだった。

また、木がとぐろを巻いたような《往く鳥の御座》は、どこかで見たようなモチーフだなあ……と思って調べてみたら、松代城山(新潟県)で観た《棚守る竜神の御座》(越後妻有アートトリエンナーレ2000恒久設置作品)も國安孝昌の作品だった。あの作品も、ついさっきまで竜が座っていたかのようにパワー溢れる作品だったなあ。

ギャラリーなつかにて、2月4日まで(日曜休廊)


続いて、神楽坂に移動。雪で足元が滑りそうだったけど、やっとの思いで急坂を下りる。


田中偉一郎個展「クラシック・カラオケ 2006」

新しくオープンしたばかりのギャラリー。しかも、こけら落としに「ノーメッセージ、ノーミーニング」の田中偉一郎を持ってくるとはスゴイ!

ギャラリーの受付の壁にかかっていたのは、東急百貨店の紙袋を使った作品《東急本店》。紙袋にはマジックで大きく「東急本店」と書かれていたけど、その横のフリガナに思わず笑ってしまった。渋谷での位置関係を知っていれば10倍楽しめる作品。

そして奥の部屋には、本物のカラオケセットを使った映像インスタレーション《クラシック・カラオケ》。まず、ホワイトキューブの空間に、カラオケセットという組み合わせがなんとも異様。画面の映像も、本物のカラオケそっくり。しかし、流れる音楽は『ウィリアム・テル序曲』や『春の声』など、クラシックの超有名曲で、歌詞は「ペローン」とか「ニャニャニャン」とか無意味なモノ。これで「作詞:田中偉一郎、作曲:P.I.チャイコフスキー」などと表示されるのには思わず笑ってしまった。本当は歌いたかったけど、他のお客さんもいたのでグッと我慢。

Yuka Sasahara Galleryにて、2月18日まで(日・月・祝休廊)。


あるく 時間のあしあと 秋山さやか展

自身の足跡を、地図などに刺繍で表現する秋山さやかの個展。

海外での個展開催までの一部始終を、絵日記のように刺繍と文章で表現した作品が良かった。次から次へとトラブルに巻き込まれながらも、前向きにがんばっていく作家の姿勢が印象的だった。

高橋コレクションにて、3月11日まで(2/11を除く金・土のみ開場)。


中川トラヲ「日々の手入れ」

木の板に山などを描いた絵画が10点ほど。あえて木目を強調した表現がモチーフと一体になっていて効果的だった。なお、第一生命南ギャラリー(有楽町)でも個展開催中。
中川トラヲ展 妄想の賜物

児玉画廊|東京にて、2月18日まで(日・月・祝休廊)。


あと、以前観た山本現代の「奇想の庭」展に、西尾康之の彫刻が1点追加になっていた。こちらもお忘れなく!

アートジャム@丸ビル

2006-01-21 | アート感想@関東
今日の関東は朝から雪で、東京駅もすっかり雪化粧(写真)。こんな日も展覧会巡りをする私って一体……。

アミューズアートジャムエキシビジョン in 東京 2006

関西の公募系アートイベント「アミューズアートジャム 2005 in 京都」の受賞者11名による展覧会。992組の中から選ばれただけあって、どの作品もレベルが高い。

私が最も気に入ったのは、審査員特別賞のひらたたかひろによる映像作品。日常的な風景をコンピュータで加工し、不思議で面白い映像を作り上げていた。5分程度の映像が4本あったけど、最も印象に残ったのが《The Trains》。画面を山手線(内回り)の電車が横切ると、それを追いかけるように次から次へと同じ方向の電車が横切っていく。電車は次第に短くなっていき、最後には薄っぺらい形になってしまう。そして、三・三・七拍子をしたかと思うと、外回り電車と湘南新宿ラインを巻き込んで「かえるの歌」の輪唱が始まる。この文章を読んでもどんな映像だか想像できないかもしれないけど、だまされたと思って実物を観てほしい。

グランプリの大西康明の作品も良かった。この作品は京橋で観た《呼吸星雲》と同様に、巨大なビニール袋が膨らんだりしぼんだりする作品。蓄光シールの水玉は少ないけれど、代わりに水玉から光るヒモが垂れ下がっていて、このヒモが成長しているように見えるのが面白かった。

このほか、準グランプリの岩本愛子による、トランプのクイーンをマネキンでリアルに表現した作品が不気味で印象に残った。

丸ビル1Fマルキューブにて、明日(1/22)まで、11時~21時。