「シェルブールの雨傘」は、たぶん映画に興味が無いひとでもそのメロディぐらいは耳にしたことがあるんじゃないかと思うフランス映画。
そして多くの国で「フランス人の女優の名をひとつ挙げろ」と言われて一番多く挙がる名前だと思われるカトリーヌ・ドヌーブがヒロインのミュージカル、しかもモブキャラの一言セリフにさえメロディがついているという全編歌!でも有名な作品。
もちろん昔、まだ若い頃に一度観た記憶はあるんだけど、まだ若かった私にはそのよさはいまひとつ理解出来なかったと見えて「鑑賞済み」という以外のイメージが残っていませんでした。
そんな、有名だし観たことはあるけどいまいち覚えてない「名作」を、フランス語を勉強してることだし、また見てみよう!なんなら全部暗記しちゃうぞ!と意気込んでiTunes StoreでDLして見直してまんまとハマってしまいました。
練られたシナリオ、クラシックとジャズとが絶妙に融合したルグランの唯一無二なサウンドに、隙の無い映像、見事なカラーリング、そして俳優たちがね、ジュヌヴィエーヴのバービー人形のような美しさと、二枚目ではあるけど絶妙に「普通」なギイに、ドヌーブのお母さん役としてこれ以上無い美貌と色気のエムリー婦人、ハンサムで誠実そうではあるんだけどギイを捨てて鞍替えするのに「そりゃこっちに行くよね」って映画的な説得力があるよなないよな微妙なカサールと、最初は地味だけどどんどん脱皮して最後は「ギイ、めっちゃ結果オーライじゃん」て言いたくなる素敵な奥様になってしまうマドレーヌとかもう、見事。
絶版の対訳シナリオの古本を定価よりお高め価格でゲットし(ジュンク堂とかでまだ在庫があることに気がついたのは買った後でした)、オリジナルサントラも中古で買ってリピしまくること1ヵ月以上。
BSプレミアムでついに放送してくれました。
しかも「シェルブールの雨傘」の翌日に「ロシュフォールの恋人たち」まで!
20代の頃、実はいっときハリウッド黄金時代のミュージカルにハマっていたことがある私、当時大好きだったのはジーン・ケリーで、彼がフランスに招かれて「ロシュフォールの恋人たち」というミュージカルに出演したってことはもちろん知ってたんだけど、食指が動かぬまま四半世紀以上経っていました。
「ウエスト・サイド物語」で有名なあのジョージ・チャキリスも出るらしい。でも、ドゥミ監督とルグランのコンビの作品はシェルブールが一番でしょ。ロシュフォールは私の口には合わない気がしてしかたないわ」と、どちらかというと消極的な気分で観始めたわけですが、
「ロシュフォールの恋人たち最高!」ナウ!・・・です。(笑)
もう、何もかもが私好み。
当時50代半ばのジーン・ケリーは「雨に唄えばやの頃と比べるとさすがに老けた感はあるものの、身体はどこも弛んでないし踊れば全盛期と比べて遜色ないし、あの最強の武器である彼の笑顔は相変わらずだし、ダニエル・ダリュー以外歌は吹替えらしいんだけど、よくぞ探したって感心するぐらいジーン・ケリーの声や歌い方に似てる!
初登場シーンで彼の声を耳にしたときは凄い違和感を感じたような気がするんだけど、何度も観てると気にならなくなり、そのうち「あれ?実は本人?」って思えてきたぐらい。
・・・ていうか、少なくともシモンの店での彼、歌もセリフも本人によるものにしか聞こえないのは私だけ?
いや、歌はやっぱり吹き替えっぽいな。
エチエンヌはともかく、アンディはアメリカ人だから本人がそのまま歌えば良いと思うけど、監督の美学が勝ったのか。
そしてそのエチエンヌ役、ジョージ・チャキリスはやっぱり美しい。
クラシック・バレエのエトワールには彼ぐらいの動きが出来るダンサーはいくらでもいるはずだけど、なんでかエトワールに負けない、いやむしろ楽勝に思える魅力。
特に、あの脚を高く上げる振り付けが、「ウエスト・サイド物語」といえばあの図って皆の目に焼きついているのが論より証拠で、彼が脚を上げた姿の決まってること!
あの時の真っ赤なシャツを彷彿させるオレンジのシャツで脚を高くあげる振りも幾度となく盛り込んで踊りまくるのは、明らかにオマージュ。
せっかくアメリカから呼んできてるんだから、観客が「待ってました!」を提供するのがエンターテイメントってもんです。
ジーン・ケリーのダンスもどれも既視感があって、ネットのレビューを読んでると「パクリじゃん」て声もあるけど、だったら彼にどんなダンスを踊って欲しいんだい?って話だよね。
皆が望むのは、まさにあれですよ!
そもそも水兵さんと3人で踊るシーンなんて、脇の2人はマクサンスのユニフォームとは違って「踊る大紐育」で出てきてたアメリカ海軍のそれだし、ジーン・ケリーにオファーした時に「二年間待ってくれるなら出てもいいよ」って言われてちゃんと待った経緯を知るに、正々堂々のオマージュなわけですよ。
そして双子姉妹がめっちゃ可愛い!
この作品完成の直後に25歳という若さで亡くなってしまったドヌーブの実のお姉さんのフランソワーズ・ドルレアックが厚化粧のせいでおばちゃんに見えるのが残念だけど、コケットな魅力満載の美人さんで妹とは違った魅力。
ドヌーブも同じく厚化粧のせいで「シェルブールの雨傘」の可憐さは薄ーくなってるけど、やっぱり別嬪さんには違いなく。
ワンピースといい帽子といい部屋着のガウン(ネグリジェ?)といい、素敵過ぎるファッション!さすがおフランス映画!
そして相変わらず色彩が美しく、シェルブールと違って登場人物が多いけどバランスもよく、通行人も活き活きと動いていて楽しくて!
双子の妹のデルフィーヌと相思相愛になる予定(もう既に?)の兵役中でセーラー服姿の金髪の画家マクサンス役のジャック・ペランが巷ではイケメンらしいけど、私の好みではなく眼福感がないのが少々残念ですが、マクサンスの歌が良い!
いや、あの有名な「キャラバンの到着」といい、それぞれの主要キャラに名曲が割り振られている(エチエンヌにソロ曲が無いのはちょっと残念だけど、ジョージ・チャキリス主演!なバランスになっても困るからビルとセットで丁度いいのかも)ので、観れば観るほど、聴けば聴くほど愛着が増していきます。
主要キャラそれぞれに名曲が割り振られながらも、「キャラバンの到着」の中の流麗+ノリノリのメロディに歌詞をあてた「めぐり合い(Les Rencontres)」という、おまわりさんたち→野次馬たち→ソランジュ&マクサンス→マクサンス&アンディ→アンディ&デルフィーユ→デルフィーユ&ブブ&ソランジュな流れで持ち回る曲がまたとても良くて。
同じメロディをリフレインしながら会話を繋いでくだけなのに、どうしてこんなに多幸感に溢れてるのか、もう、天才としか言いようがない。
ああ、どこか大きなスクリーンでリバイバル上映やらないかなぁ!
そして多くの国で「フランス人の女優の名をひとつ挙げろ」と言われて一番多く挙がる名前だと思われるカトリーヌ・ドヌーブがヒロインのミュージカル、しかもモブキャラの一言セリフにさえメロディがついているという全編歌!でも有名な作品。
もちろん昔、まだ若い頃に一度観た記憶はあるんだけど、まだ若かった私にはそのよさはいまひとつ理解出来なかったと見えて「鑑賞済み」という以外のイメージが残っていませんでした。
そんな、有名だし観たことはあるけどいまいち覚えてない「名作」を、フランス語を勉強してることだし、また見てみよう!なんなら全部暗記しちゃうぞ!と意気込んでiTunes StoreでDLして見直してまんまとハマってしまいました。
練られたシナリオ、クラシックとジャズとが絶妙に融合したルグランの唯一無二なサウンドに、隙の無い映像、見事なカラーリング、そして俳優たちがね、ジュヌヴィエーヴのバービー人形のような美しさと、二枚目ではあるけど絶妙に「普通」なギイに、ドヌーブのお母さん役としてこれ以上無い美貌と色気のエムリー婦人、ハンサムで誠実そうではあるんだけどギイを捨てて鞍替えするのに「そりゃこっちに行くよね」って映画的な説得力があるよなないよな微妙なカサールと、最初は地味だけどどんどん脱皮して最後は「ギイ、めっちゃ結果オーライじゃん」て言いたくなる素敵な奥様になってしまうマドレーヌとかもう、見事。
絶版の対訳シナリオの古本を定価よりお高め価格でゲットし(ジュンク堂とかでまだ在庫があることに気がついたのは買った後でした)、オリジナルサントラも中古で買ってリピしまくること1ヵ月以上。
BSプレミアムでついに放送してくれました。
しかも「シェルブールの雨傘」の翌日に「ロシュフォールの恋人たち」まで!
20代の頃、実はいっときハリウッド黄金時代のミュージカルにハマっていたことがある私、当時大好きだったのはジーン・ケリーで、彼がフランスに招かれて「ロシュフォールの恋人たち」というミュージカルに出演したってことはもちろん知ってたんだけど、食指が動かぬまま四半世紀以上経っていました。
「ウエスト・サイド物語」で有名なあのジョージ・チャキリスも出るらしい。でも、ドゥミ監督とルグランのコンビの作品はシェルブールが一番でしょ。ロシュフォールは私の口には合わない気がしてしかたないわ」と、どちらかというと消極的な気分で観始めたわけですが、
「ロシュフォールの恋人たち最高!」ナウ!・・・です。(笑)
もう、何もかもが私好み。
当時50代半ばのジーン・ケリーは「雨に唄えばやの頃と比べるとさすがに老けた感はあるものの、身体はどこも弛んでないし踊れば全盛期と比べて遜色ないし、あの最強の武器である彼の笑顔は相変わらずだし、ダニエル・ダリュー以外歌は吹替えらしいんだけど、よくぞ探したって感心するぐらいジーン・ケリーの声や歌い方に似てる!
初登場シーンで彼の声を耳にしたときは凄い違和感を感じたような気がするんだけど、何度も観てると気にならなくなり、そのうち「あれ?実は本人?」って思えてきたぐらい。
・・・ていうか、少なくともシモンの店での彼、歌もセリフも本人によるものにしか聞こえないのは私だけ?
いや、歌はやっぱり吹き替えっぽいな。
エチエンヌはともかく、アンディはアメリカ人だから本人がそのまま歌えば良いと思うけど、監督の美学が勝ったのか。
そしてそのエチエンヌ役、ジョージ・チャキリスはやっぱり美しい。
クラシック・バレエのエトワールには彼ぐらいの動きが出来るダンサーはいくらでもいるはずだけど、なんでかエトワールに負けない、いやむしろ楽勝に思える魅力。
特に、あの脚を高く上げる振り付けが、「ウエスト・サイド物語」といえばあの図って皆の目に焼きついているのが論より証拠で、彼が脚を上げた姿の決まってること!
あの時の真っ赤なシャツを彷彿させるオレンジのシャツで脚を高くあげる振りも幾度となく盛り込んで踊りまくるのは、明らかにオマージュ。
せっかくアメリカから呼んできてるんだから、観客が「待ってました!」を提供するのがエンターテイメントってもんです。
ジーン・ケリーのダンスもどれも既視感があって、ネットのレビューを読んでると「パクリじゃん」て声もあるけど、だったら彼にどんなダンスを踊って欲しいんだい?って話だよね。
皆が望むのは、まさにあれですよ!
そもそも水兵さんと3人で踊るシーンなんて、脇の2人はマクサンスのユニフォームとは違って「踊る大紐育」で出てきてたアメリカ海軍のそれだし、ジーン・ケリーにオファーした時に「二年間待ってくれるなら出てもいいよ」って言われてちゃんと待った経緯を知るに、正々堂々のオマージュなわけですよ。
そして双子姉妹がめっちゃ可愛い!
この作品完成の直後に25歳という若さで亡くなってしまったドヌーブの実のお姉さんのフランソワーズ・ドルレアックが厚化粧のせいでおばちゃんに見えるのが残念だけど、コケットな魅力満載の美人さんで妹とは違った魅力。
ドヌーブも同じく厚化粧のせいで「シェルブールの雨傘」の可憐さは薄ーくなってるけど、やっぱり別嬪さんには違いなく。
ワンピースといい帽子といい部屋着のガウン(ネグリジェ?)といい、素敵過ぎるファッション!さすがおフランス映画!
そして相変わらず色彩が美しく、シェルブールと違って登場人物が多いけどバランスもよく、通行人も活き活きと動いていて楽しくて!
双子の妹のデルフィーヌと相思相愛になる予定(もう既に?)の兵役中でセーラー服姿の金髪の画家マクサンス役のジャック・ペランが巷ではイケメンらしいけど、私の好みではなく眼福感がないのが少々残念ですが、マクサンスの歌が良い!
いや、あの有名な「キャラバンの到着」といい、それぞれの主要キャラに名曲が割り振られている(エチエンヌにソロ曲が無いのはちょっと残念だけど、ジョージ・チャキリス主演!なバランスになっても困るからビルとセットで丁度いいのかも)ので、観れば観るほど、聴けば聴くほど愛着が増していきます。
主要キャラそれぞれに名曲が割り振られながらも、「キャラバンの到着」の中の流麗+ノリノリのメロディに歌詞をあてた「めぐり合い(Les Rencontres)」という、おまわりさんたち→野次馬たち→ソランジュ&マクサンス→マクサンス&アンディ→アンディ&デルフィーユ→デルフィーユ&ブブ&ソランジュな流れで持ち回る曲がまたとても良くて。
同じメロディをリフレインしながら会話を繋いでくだけなのに、どうしてこんなに多幸感に溢れてるのか、もう、天才としか言いようがない。
ああ、どこか大きなスクリーンでリバイバル上映やらないかなぁ!