PICO's BLOG~きままな日記帖~

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国宝探訪 飛騨安国寺 経蔵

2016年09月14日 01時02分29秒 | 寺社めぐり

はっきりしない天気が続いている飛騨地方

マラソン応援のついでに、飛騨高山は国府町に

ある安国寺・経堂を訪ねた。

 

蕎麦の花が咲き長閑な田園風景が広がる飛騨国府町

 

ちなみに安国寺は現在日本に45ヶ寺あり、昔の

一国に一つ造られたものである。

時は室町時代に「怨親平等」という仏教思想から

敵味方を超え区別なく死者を弔うことを目的に

幕府を開いた、足利尊氏、直義が建立した。

しかし最初から造営は時間もかかることから

現存しているお寺を改修、改名して一国に一つ造った

とされている。

 

山門

 

高山から国道41号線を富山方面に走り、国府町に

入って右に折れ少し行くと小高い丘の上に見えてくる。

前日に予約を入れておいたので、すぐ案内・説明を

聞く事ができた。

昔は大寺であったようで広大な寺領に寺の主要な

建物である七堂伽藍に加え、9つの塔頭を擁していたそうだ。

 

応永15年(1408)に造られた経典を収蔵する経蔵が

国宝に指定されている。ちなみに全国の経蔵で国宝に

指定されているのは三つ(ここ飛騨安国寺と法隆寺、

唐招提寺)である。

 

安国寺の経蔵は強く反り返った二重の屋根や中央が丸みを

おびて上下端がすぼんだ柱をもつ典型的な禅宗様(唐様)

建築。

禅寺の特徴でもある質素な作りで漆など施してなく、素木を

使っていることもあり、素朴な印象。

ただ経蔵を開けてもらい中に入ると7Mはあると思われる

経典をしまっている八角輪蔵(八角形の形をした

経典を納める回転する蔵)が聳え立っている。

真ん中の芯柱を八角形に造られた棚には実際に

経典が当時のまま保管されていて、よく見かける

箱の中に入れてあるのではなく、ただ棚の上に

無造作に置いてあるだけだ。

案内をしてくれた人に聞くと、この方が虫食いなどには

強いとのこと、経蔵そのものもあちっこち隙間だらけで

虫もはいってくるようだが、逆に出入りも自由だから

住み着かないのではと話されていた。

確かに納められている経典はしっかりしている。

 

 

経蔵 唐様の屋根の反りが美しい

 

 

八角輪蔵と名のとおり回転することが出来、私も回させて

もらった。これはマニ車(チベットなど山岳地方に多く

残っている仏教道具の一つでエベレスト登山隊などが

登るときによくこれを回して安全祈願をする)

仏を念じながら輪蔵を一回転させると、それだけで

すべての経典を読んだのと同じご利益があるとされる。

チベットにあるマニ車

 

今は所々剥げ落ちている色も往時は素晴らしく

綺麗なものであったであろうことを想像し蔵から出て

階段を下ると右手にこの寺を開いた瑞巌和尚の

坐像が安置してある開山堂(重文指定)や薬師堂が

あり、本堂には釈迦三尊像がおられる。

開山堂

 

左が薬師堂

 

やさしい顔の釈迦三尊像

 

ちなみに輪蔵の釈迦三尊像は、中央に釈迦如来、脇侍には

普賢菩薩と文殊菩薩がおられるが禅宗の寺院では

十大弟子の大迦葉尊者・阿難尊者がおられる。

 

輪蔵:これを回転することができる。中段にある像が釈迦三尊像である

 

 本堂前の赤い萩の花が印象的な、静かな寺院である。

お礼を言って高山に帰った。