飛行機に続き、今度は誘拐なんて・・・
「本当にツイテナイ・・・」
僕は独り言を言った。
すると、男が
「んぁ?!なんか言ったか?坊主?」
と、僕の方を振り向いた。
男の目の周りはどす黒くうち窪んでいて、その動作は落ち着きがなかった。
何日もお風呂に入っていないと思しき髪は、顔や首筋に張り付き、油っぽくべたついていた。
クスリをやっているのかもしれない・・・。
その証拠に男は目が乾くのかしきりに目を擦っていた。
「吐きたいって言ったの。車に酔っちゃったみたい」
「・・・・・・」
「ねぇ。車、止めて。吐きそう」
「・・・・・・吐けばいい」
「嫌だよ」
「俺は構わねぇさ」
やはり、常套手段ではダメだ。
僕はシートの下に沈みこみながら、
「本当に吐きそうなんだ」
と、再度言ってみた。
男は不気味なまでに無反応だった。
「うっ!!」
僕は吐き気を催すフリをして、口を押さえた。
男が徐にティッシュボックスに手を伸ばしたその瞬間、
僕は男の足元に滑り込み渾身の力でアクセルを押した。
「な!なにをするんだ!!」
男は慌てて僕を下から引き摺りだそうとした。
だけど、僕は必死でアクセルを押し続けた。
車はぐんぐんと加速していった。
そのため男は、運転に集中せざるを得ない状況となり、形勢は逆転した。
車は猛スピードで蛇行を続けた。
周囲からクラックションを鳴らす音と、怒鳴り声が聞こえてきた。
この速度でまともにクラッシュしたら、僕も男も助からないことは分かっていた。
燃料切れが早いか、クラッシュするが早いか・・・。
とにかく人目を惹くことには成功したと言っていいだろう。
「放せ!このガキゃぁ!!」
男は左手で何度も僕を殴ったけれど、僕は男の両足の自由を自らの体で固定することで奪っていた。
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「んぁ?!なんか言ったか?坊主?」
と、僕の方を振り向いた。
男の目の周りはどす黒くうち窪んでいて、その動作は落ち着きがなかった。
何日もお風呂に入っていないと思しき髪は、顔や首筋に張り付き、油っぽくべたついていた。
クスリをやっているのかもしれない・・・。
その証拠に男は目が乾くのかしきりに目を擦っていた。
「吐きたいって言ったの。車に酔っちゃったみたい」
「・・・・・・」
「ねぇ。車、止めて。吐きそう」
「・・・・・・吐けばいい」
「嫌だよ」
「俺は構わねぇさ」
やはり、常套手段ではダメだ。
僕はシートの下に沈みこみながら、
「本当に吐きそうなんだ」
と、再度言ってみた。
男は不気味なまでに無反応だった。
「うっ!!」
僕は吐き気を催すフリをして、口を押さえた。
男が徐にティッシュボックスに手を伸ばしたその瞬間、
僕は男の足元に滑り込み渾身の力でアクセルを押した。
「な!なにをするんだ!!」
男は慌てて僕を下から引き摺りだそうとした。
だけど、僕は必死でアクセルを押し続けた。
車はぐんぐんと加速していった。
そのため男は、運転に集中せざるを得ない状況となり、形勢は逆転した。
車は猛スピードで蛇行を続けた。
周囲からクラックションを鳴らす音と、怒鳴り声が聞こえてきた。
この速度でまともにクラッシュしたら、僕も男も助からないことは分かっていた。
燃料切れが早いか、クラッシュするが早いか・・・。
とにかく人目を惹くことには成功したと言っていいだろう。
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