僕は何度もあの男に追いかけられる夢を見ては起きた。
無事に逃げ果せたハイな状態から、僕は悪夢に悩まされた。
外傷後ストレス障害。
PTSD――――。
心に巣食う病魔と戦う日々が始まっていた。
その日も僕は男に追いかけられ、捕まる寸でのところで目が覚めた。
冷たい汗が額に滲んでいた。
ふと窓辺に目をくれると夕日が差し込み始めていた。
「もうこんな時間・・・」
そう言いかけて、窓の際の人影に気付いた。
「誰だ!!」
僕はベッドから跳ね起きて、黒い人影に向かって叫んだ。
無精髭をはやし、ルーズにネクタイを結んだ40代半ばの男はゆっくりと隅から出てくると、夕陽を背後に僕の方へと歩いてきた。
「驚かせてすまなかったね。実はこういう者で・・・」
男は僕に名刺を渡した。
僕は心的な動揺があるといけないという病院側の配慮から、両親以外の人間とは一切面会しないことになっていた。
「どうやってここに・・・」
大声で叫ぶ僕に向かって男は、
「しーーっ!美人なナースさん達に気付かれて押しかけられたら、オジサンの身が持たないよ」
と、人差し指を立てながら僕の目を鋭く見据えた。
「君が僕の尋ねることにちゃぁぁんと答えてくれたら、直ぐに消えてあげるよ」
男は口の端をにっと上げると不敵な笑みを浮かべた。
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冷たい汗が額に滲んでいた。
ふと窓辺に目をくれると夕日が差し込み始めていた。
「もうこんな時間・・・」
そう言いかけて、窓の際の人影に気付いた。
「誰だ!!」
僕はベッドから跳ね起きて、黒い人影に向かって叫んだ。
無精髭をはやし、ルーズにネクタイを結んだ40代半ばの男はゆっくりと隅から出てくると、夕陽を背後に僕の方へと歩いてきた。
「驚かせてすまなかったね。実はこういう者で・・・」
男は僕に名刺を渡した。
僕は心的な動揺があるといけないという病院側の配慮から、両親以外の人間とは一切面会しないことになっていた。
「どうやってここに・・・」
大声で叫ぶ僕に向かって男は、
「しーーっ!美人なナースさん達に気付かれて押しかけられたら、オジサンの身が持たないよ」
と、人差し指を立てながら僕の目を鋭く見据えた。
「君が僕の尋ねることにちゃぁぁんと答えてくれたら、直ぐに消えてあげるよ」
男は口の端をにっと上げると不敵な笑みを浮かべた。
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