「主人のところに行かなくちゃ」
嗚咽するおばさんの声を聞いて我に返った。
「おばさん!私がかずにぃに知らせてくる!だから、おばさんは早く病院に行って!」
「春名ちゃん。有り難う。ごめんなさいね」
おばさんはまた泣き出した。
おじさんの入院先と連絡先を聞くと、おばさんにかずにぃの家の鍵を貰い、トモとスズに急用が出来たことを告げて急いで電車に飛び乗った。
おじさん。何ともないといいけど。
おばさん一人で大丈夫かな……。
揺れる電車の中で扉に寄り掛かり、通り過ぎる景色に目をくれた。
かずにぃとはあの海以来、連絡を取っていない。
……もう1ヶ月位、経つ。
正直、顔を合わせづらい・・・。
そんなことを考えているうちに電車はかずにぃの住む駅へ着いた。
改札口を出て、駅の近くを流れる鶴見川の土手を歩きながら、ふとトオル君と一緒に歩いた多摩川の星空を思い出していた。
心に温かい感覚が広がってくる。
トオル君のことを考えると心がぽかぽかして、勇気が湧いてきた。
一度しか行った事がないけど、記憶を頼りに何とかかずにぃの住むマンションに着いた。
学生には不相応な位、近代的な立派なマンションを目の前にして、私はちょっと気後れしていた。
それでも勇気を振り絞ってチャイムを押した。
返事が無い……。
聞き逃したのかもしれないと、気を取り直し、2度3度とチャイムを押した。
やっぱり、返事がない。
仕方なく、おばさんから預かった鍵を鍵穴に差し込んだ。
オートロック式の扉がすーっと開いた。
もしかしたら、来てはいけなかったのかもしれない……。
その時、なぜそう思ったのかは分からないけど、そんな気がしながら、扉を通り抜けた。
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嗚咽するおばさんの声を聞いて我に返った。
「おばさん!私がかずにぃに知らせてくる!だから、おばさんは早く病院に行って!」
「春名ちゃん。有り難う。ごめんなさいね」
おばさんはまた泣き出した。
おじさんの入院先と連絡先を聞くと、おばさんにかずにぃの家の鍵を貰い、トモとスズに急用が出来たことを告げて急いで電車に飛び乗った。
おじさん。何ともないといいけど。
おばさん一人で大丈夫かな……。
揺れる電車の中で扉に寄り掛かり、通り過ぎる景色に目をくれた。
かずにぃとはあの海以来、連絡を取っていない。
……もう1ヶ月位、経つ。
正直、顔を合わせづらい・・・。
そんなことを考えているうちに電車はかずにぃの住む駅へ着いた。
改札口を出て、駅の近くを流れる鶴見川の土手を歩きながら、ふとトオル君と一緒に歩いた多摩川の星空を思い出していた。
心に温かい感覚が広がってくる。
トオル君のことを考えると心がぽかぽかして、勇気が湧いてきた。
一度しか行った事がないけど、記憶を頼りに何とかかずにぃの住むマンションに着いた。
学生には不相応な位、近代的な立派なマンションを目の前にして、私はちょっと気後れしていた。
それでも勇気を振り絞ってチャイムを押した。
返事が無い……。
聞き逃したのかもしれないと、気を取り直し、2度3度とチャイムを押した。
やっぱり、返事がない。
仕方なく、おばさんから預かった鍵を鍵穴に差し込んだ。
オートロック式の扉がすーっと開いた。
もしかしたら、来てはいけなかったのかもしれない……。
その時、なぜそう思ったのかは分からないけど、そんな気がしながら、扉を通り抜けた。
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