フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

苦悩の日々

2005年09月26日 00時00分00秒 | 第5章 恋愛前夜編~トオルの章~
僕は様々な場面で奇異の目で見られた。
まず第一にこの容姿。
金髪にグリーンの瞳。

僕は日本人ではないという事実を否が応でも突き付けられた。

でも、問題はそれだけじゃなかった。

それは4歳の時のことだった。

幼稚園の通常の保育時間が終った後、僕は算数の勉強をそこで教えてもらうことになった。
だけど、3回目の授業の後、先生はマミィに告げた。

「私はもう、この子に教えることはできません。遥かに私の能力を超えてしまっています」

算数の先生は最初は軽い気持ちで僕にテストをさせ始めた。
それを解く僕に対し、賞賛の声を上げ、徐々に難しい問題をテストしていった。
小学1年、2年、3年と難易度を上げていき、遂に3回目の授業では、高校生の問題を出すまでになってしまっていた。

僕は楽しくて、夢中になって関数や微分、積分と言った問題を解いていった。
その頃には、もう、先生の目は「異質のものを見る目」に変わっていたと思う。

両親は、決断をしかねていた。
僕と同年代の子供達と一緒に子供らしい教育を受けさせるべきか、それとも、能力に見合った教育をさせるべきかどうかと言うことを……。

僕は幼稚園の先生や友達が好きだったから、このままでいたいと思っていた。
でも、勉強を教わると楽しくなって、その勉強にのめり込み、知的好奇心が満たされることも確かだった。

子供に合った教育を……

それが両親の願いだった。
唯一それだけだった。

問題は基準だ。

体の成長に合わせるべきか、それとも精神の、つまり頭の成長に合わせるべきかで大きく揺れていたようだ。

そんなことばかり考えて逡巡していた両親に、ある朝アメリカからメールが届いた。

僕はポストに入った癖のある字で書かれたエアメールを取り出すと、マミィに渡した。
マミィは一瞬躊躇しながら震える手でその手紙を受け取った。

「じゃ!マミィ!ダディ!行って来ま~す」

僕はその日も意気揚揚と幼稚園バスに乗り込んだ。


そのメールがこれからの僕の人生を大きく変えるとは夢にも思わずに……。




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