楽しみに観ていた『任侠ヘルパー』が、先週とうとう終わってしまいました。
なんだか寂しい。
それにしても最終回の剛君の演技は凄かった。
「剛君のヤクザの役、最初から最後まで迫力のある演技だったね」
次の日、娘からそんなメールをもらった。
テンポよく、いろいろなものがギッシリと詰まっていて、目を逸らすことができなかった。
タイヨウに来た、介護難民たちが元住んでいた介護施設を見に行った彦一が見たのは、
介護施設とは名ばかり。
悪臭に彦一と春菜は思わず口と鼻を押さえて窓を開ける。
部屋は荒れ放題で、大部屋に隙間なく乱雑に敷かれた不衛生な布団。
老人たちの悲惨だった生活が一目瞭然だった。
「こんな所に押し込められていたのかよ」
彦一が言った。
「こういった無届の施設、最近増えているみたいです。最低の料金で最低のサービス。
こういったひどい環境でも、入りたいお年よりはたくさんいますから」
春菜の言葉を、彦一は無言で聞いた。
そこに、入居者だった老人に、振り込めサギの催促の電話がかかってくる。
電話に出た彦一が凄むと、相手も凄んで電話を切った。
受話器を握っている腕の袖から見える刺青。
その刺青を見て、同じ悪行をしていた自分を思い起こした彦一は胸が苦しくなる。
窓を開け、苦しそうに何度も息を吐く彦一。
部屋を見渡すと、この部屋に押し込められていた老人の姿やうめき声が浮かんできた。
この場面から、彦一の心理状態がひしひしと伝わってきて、私は涙ぐみます。
タイヨウで、老人にお食事のお椀を渡そうとした彦一が、
受け取ろうとした老女のお椀を掴んで離さない。
戸惑う老女を前に、お玉を激しく叩きつけて部屋を出て行った。
ヘルパーは仮の姿。
ヤクザな自分の偽善に耐え切れなくなった彦一。
彦一の苦悩に涙ぐみます。
警官や機動隊と戦う彦一の凄いこと!
毎週、剛君、メイサさん、清史郎ちゃんを観るのが楽しみでした。
涼太の父である厚生省の職員、藤堂が、
厚生省で「介護保険制度改革の概要」を審議しているとき、このように提言した。
「まず、現場ありきと考え方をシフトした方がいいと思う。
自分の周りにいる弱者を守るためにはどうしたらいいのか。
僕らは本気で議論をすべき時がきたんだと思います」
この言葉こそ、このドラマのテーマではないか、私はそう思った。
ラスト。
いかにもヤクザな彦一が、キザに花束を持って施設に入っている晶を訪ねるところ。
キザなヤクザの彦一が、とても魅力的だった。