今の研究室では,相変わらずいろんなお仕事がパラレルで走行しているのだが,その中でも重要なのが,過去(200年くらい前)のデータをGIS上にのせ議論することだ.私一人では,その論点がわからないので,先生に指示を頂きつつ,分析を進めていく.
大体の場合地図を作りそれについて述べるぐらいでよいのだが,最近ではもう少し突っ込んだ分析も必要になってきた.例えば.「○○の要因は,△△と□□でありこの相関を示す地図を図◎に示す」という具合だ.ほう,相関を示す地図とな.それは初耳だ(勉強不足).
相関を示す地図...って,この場合空間的「自己」相関じゃないし,相関係数だとちゃらっと係数が出るだけで地図にはならないし.重回帰してみたところでやっぱり地図になるわけでもない.有意な要因の△△と□□の地図を作って並べればいいんだろうか.いいっちゃいいんだろうけど,それだけじゃちとさみしい.
何か相関に関係するような分析はできないものかと,ESRIの本を開く.「The ESRI Guide to GIS Analysis」というシリーズで,その2巻目,「Volume2: Spatial Measurements & Statistics」という本だ.
この本は英語なのだけれど,地図が満載なので,眺めているだけでもなんだか勉強した気分になれる.もちろん地図だけじゃなくて,いろいろな空間的な分析にかかわる説明がわかりやすく書いてある.英語なのでわかりやすく,の度合いも私の場合少し変わってしまうのだが,とりあえず,個々の分析でどんな数式を使うのかとか,その数式はどういう意味なのかがきちんと書いてある.
たいへんすばらしーと思いながら読み進めるが,この数式を当てはめてArcGISなりExcelなりに計算をさせるのは大変だなーとため息をついていた.なにかもっとぴったりくる資料ないかなぁ.
少々あきらめつつも,ArcToolboxにGeostatistics Analysisのツールがあったような気がしてそれものぞいてみる.いや,それよりこの空間統計ツールボックスって何が入っているの?とこちらものぞいてみる.そこにはいくつかの使えそうなツールが登録されている.でも中で何をやっているのかいまいちよくわからない.
そこで,いつものようにヘルプを探して読んでいたら「回帰分析についてよくわからない人はこのチュートリアルを読みなさい」と紹介されている.
そのチュートリアルを見てみたら!
チュートリアル用のデータもセットになっていて,その説明通り作業を進めれば,空間的な回帰分析の進め方がわかるようになっている.すばらしー.
内容はアメリカのとある地域で911の電話件数が増えてきたので,その要因は何か,新しい局を増やすべきか,それとも別の手立てはあるのかを考えるというものだった.解釈の中身に異論がないわけではないけれど,チュートリアルとしてはばっちり私のほしいものに当てはまっている.
所要時間の目安は1時間半と書いてあるが,英語がネイティブではない学生さんに対する授業で使うなら2コマ分ぐらいはかかるかもしれない.でも操作が難しいわけではない.回帰分析の他にもホットスポット分析なんかもあって,そちらも時間があったらやってみようと思う.わーいわーい.
GISで地図化だけじゃものたりないな,という方にも,結構よい資料だと思う.
回帰分析のチュートリアルはこちら.
空間分析の資料置き場はこちら.ホットスポット分析の資料へのリンクなどもあります.