てくてくダイアリー

GISとか使ってました

フリーデータを使う(3)-7 町丁目毎の平均傾斜角度の集計

2011-12-27 | ArcGIS

じゃあ今回はささっと町丁目毎の平均傾斜角度の集計を。

まず集計の前に、集計対象である傾斜角度を計算する。えーっとArcToolboxのSpatial Analyst>サーフェス>傾斜角(Slope)で、DEMから傾斜角が計算できる。

入力ラスタはDEM(先週からの例だと、bunsp5m2)、出力ラスタ名はまぁ適切に(数字で始めない、半角8文字以下、特殊文字を使わない方がベター)、あとはデフォルトのままOKをクリックする。

そうすると以下のようなグリッドが出力される。

傾斜の緩いところは薄い色で、きつくなるに従って濃い茶色になるよう表示されている。谷筋は結構傾斜がきついことがわかる。確かに後楽園の方から大学まで歩くと、道によっては急な坂を上ることになるからなぁ。

で、前回と同じよう町丁目でゾーンデータにして、ゾーン統計をテーブルに出力(Zonal Statistics as Table)を実行して、出力されたテーブルを町丁目界のデータに結合する。で、表示してみると以下のような感じ。

平均の傾斜角が緩い町丁目は薄い色で、急になるに従って濃い色で表示されている。

念のため、人口密度の方も再掲してみる。

人口密度が低いと青くて、人口密度が高くなるに従って黄色を経て、赤くなる、という配色である。

一番平均傾斜角が急なところは人口密度が確かに低いといえなくもないかもしれない。先週から、いえなくもない、ばっかりだな。

人口密度と平均傾斜角の散布図は以下のようになる。

縦軸が人口密度、横軸が平均傾斜角度である。一つ傾斜角が10付近に、人口密度0.004の外れ値があるが、これは関口二丁目という町丁目である。これも地図を見てみると椿山荘があるあたりである。かなり広大な敷地だったと記憶しているので、傾斜角度が大きいから人口が少ないというよりは、大型の施設があるから人口が少ないのかもしれない。

それを除くとまぁ、団子かなぁ。。。地形の影響で傾斜がきついところには確かに人が住みにくいのかもしれない部分と、大型の施設があって人口が少ないところ、などなど、人口(密度)を決定する要因は当然ながらいくつかあって、単相関でははっきりとは現れにくいのかなと思う。

そもそも、町丁目毎に標高とか傾斜角度とか集計するってどうなのよ(ノリつっこみ気味)。町丁目っていう人工的なくくりと高さとか傾斜角度とかってほんとに関係あるわけ?

あ、でも、それを確認するためにやったってことで。ついでに、ポリゴンでグリッドを集計する方法を確認したってことで。

さぁ、これで、今度こそ、今年の記事はおしまい。

いろいろあった一年だったけど、みなさま。よいお年を。


フリーデータを使う(3)-6 町丁目毎の平均標高の集計

2011-12-20 | ArcGIS

今回は予告通り?町丁目ごとの平均標高とか平均傾斜角の集計を。これにはSpatial Analystが必要。どうもDEM関係はエクステンションを多用しちゃうよなぁ。

まずArcMapに基盤地図情報から作成したDEMとe-Statからダウンロードした町丁目界のデータを追加する。

んで、ArcToolboxから「Spatial Analyst>ゾーン>ゾーン統計をテーブルに出力」を起動して以下を指定する。

  • 入力ラスタ、またはフィーチャゾーンデータ:文京区の町丁目界のデータ(h17ka13105)
  • ゾーンフィールド:MOJI
  • 入力値ラスタ:DEMのデータ(bunsp5m2)
  • 出力テーブル:何か適切な名前(数字で始めない、特殊記号を使わない)。
    ここでは例えばZoTakasaにする。Zonal Takasaの略のつもり。
  • 統計情報の種類:ALL

指定ができたら、OKをクリック。ほぼ瞬時に処理が終わって、ZoTakasaテーブルがArcMapに追加される。このテーブルを開いてみると以下のような感じ。

ZoTakasa.dbfテーブルのMOJIは、e-Statの文京区の行政界のデータのMOJIから引っ張ってきたものなので、両者を結合することができる。行政界のデータの方にDBFテーブルを結合して、MEANで地図化してみると以下のような地図ができる。

平均標高が低いところが緑色で、高いところに行くに従って黄色くなり、最終的に赤くなっている。西側が平均標高が高く、南側&東側が標高が低めである。文京区の位置を考えたら当たり前か。

んじゃ、肝心の人口密度はどうだったかというと、以下のような分布である。

人口密度が低いところが青くて、薄い黄色を経て、赤いところが最も人口密度が高いという地図である。

両者を見比べてみると、平均標高が低めところ(特に文京区の北東部にある町丁目)では人口密度が高めといえないこともないかもしれない。

しかし、いえないような気もする(笑)。特に南側真ん中あたりの人口密度が最も低いところは標高も最も低い色に分類されている。

じゃあこの例外的な傾向(というほどのものでもないけど)を示す、南側真ん中あたりのところはどんなところなのかを、GoogleMapで確認してみよう。ちなみにこの町丁目は後楽一丁目である。なんとなく、住所だけでピンときた人も多いんじゃないかと思うけど。。。

http://maps.google.co.jp/maps?q=%93%8C%8B%9E%93s%95%B6%8B%9E%8B%E6%8C%E3%8Ay%88%EA%92%9A%96%DA&z=16

後楽一丁目は東京ドームや後楽園のある町丁目なので他と同じぐらいの密度で人が住んでいたとしても、人が住めない部分が広いので、結果として人口密度が低くなっていたわけだ。確認していないが、おそらく東大のある町丁目(本郷七丁目)も同じように人口密度が低いんじゃないだろうか。

さて、個別に値を確認したり値の空間的な分布の関連を確認するなら、平均標高と人口密度の地図を見比べるのもいいんだけど、全体の値の傾向をもっとちゃんと知りたいときはグラフを描くとわかりやすい。

例えばArcMapで町丁目界のデータに人口密度を入れるフィールドを追加して、JINKO/AREAを計算、で、平均標高とともに散布図を描くと以下のようになる。(このあたりはExcelとかでやる方が手っ取り早いかも)

横軸が平均標高で、縦軸が人口密度である。左下隅の(X,Y)=(6,0.0002)のあたりの○が後楽一丁目のデータである。

とてもとても引いてみれば、平均標高が高くなるに従って(右に行くに従って)人口密度が低くなる(縦軸の値が小さくなる)、逆相関に見えなくもない(かなり苦しいけど)。統計処理を行うソフトでほんとに逆相関なのか、などなど確認する、ということになると思う。

しかし、山の手の方が低層の住宅地がひろがっていて、一軒一軒の面積が大きいんだろうか。。。低層って言うなら、下町の方がそういうイメージがあるけどなぁ。。。標高が低い方が高層住宅を建てやすいのかなぁ。。。いやむしろ、山の手は商業施設とか大学みたいな、居住面積が小さいエリアなんだろうか。。。と、傾向がおぼろげにわかったところで、それがなぜだかはまだ考えて確認する必要があるわけだけれど。

じゃあ今週はっていうか今年はこれにて。。。

あああ、傾斜角の計算、忘れてた!ということで、来週ちょろっとやってみましょう。ちょろっと。


フリーデータを使う(3)-5 シェープファイルを鳥瞰表示

2011-12-13 | ArcGIS

今年も残すところあと半月ほどである。昔はこの時期になると「今年もあれができなかった」とか「年内にあれをやらなきゃ」とか、あせったりしてものだが、今はといえば「うううう」とか「あああ」と擬音語を発することぐらいしかできなくなってきた。これが年をとると言うことか。

このまま年をとり続けると、一年中「うううう」と「あああ」で過ぎ去ってしまいそうである。

さて、楽しかった先週の鳥瞰図表示のついでで、鳥瞰図の上にシェープファイルを重ねて表示をしてみたいと思う。重ねて表示するのは、以前ダウンロードしたe-Statの国勢調査のデータだ。

シェープファイルを地形のでこぼこに沿わせて表示するには、やっぱりArcSceneを使う。先週の通り鳥瞰図が表示できたら、さらに「データの追加」アイコンで、シェープファイルを追加する。えーっとシェープファイル名はh17ka13105.shpだったかな。

シェープファイルを追加すると以下のように表示される。

まだ地形に沿っておらず真っ平らな緑のやつがシェープファイルである。

でこれを地形に沿って表示するには、DEMをでこぼこに表示したのと同じように操作する。具体的には、h17ka13105レイヤのレイヤプロパティを開いて、「基準高度」タブ内で、「指定したサーフェス上に配置する」を選択し、DEM名を指定する。今回の場合だと、bunsp5m2というグリッド名を指定する。

これで「OK」をクリックすると以下のようにレイヤが表示される。

なんかDEMの段採図とシェープファイルの色が部分部分で入り混じっていて気持ち悪いな、という人もいると思うのだが、長くなりそうなので(実際かなり長い)今回は見なかったことにする。きれいにポリゴンが表示できたとすると下にあるDEMは見えなくなるわけだから、あんまりここで時間をとっても何でしょう。。。と言い訳したりして。

とりあえず、DEMの方の表示をオフにして、人口の方の様子に注意してみることにする。

例えば、人口密度の分布を鳥瞰図上で確認してみよう。国勢調査のシェープファイルには「JINKO」フィールドに人口が、「AREA」フィールドに面積が入っているので、人口を面積で割った値を地図化してみる。指定の方法は、ArcMapと同じである。

すると以下のように表示される。

ちょっと地形の凹凸でがわかりにくいので、視点を移動して水平方向から見てみると。。。

人口密度の高いところ(濃い色で表示されている町丁目)は谷に沿ったところにあるような気がする。あるいは平らなところなのかな。ちょっと鳥瞰図をくるくる回してみるとよりわかりやすいかも。

もし人口密度と標高や傾斜角が関係あるなら、町丁目毎の平均標高を出してみたくなったりするのが人の常ではないだろうか(強引)。

次回は、町丁目ごとの平均標高や傾斜角を集計してみようと思う。さぁうまい結果がでるかどうか。。。まだ私もやっていないので、次回の記事はどきどきだなぁ。

ではでは、今週は短めだけど、これにて。。。


フリーデータを使う(3)-4 標高グリッドの鳥瞰図表示

2011-12-06 | ArcGIS

世の中3次元なゲームとか3次元テレビ、飛び出す映画とか、3次元がはやりである。大昔、立体視鏡で空中写真を見てみたら、地形の高低がくっきり浮かび上がってきたが、あんな感じなのだろうか。

さて今回は、標高グリッドの傾斜でも出して行政界毎に集計でもするか、と思ったのだが、なんだかまじめな内容が続いているので、楽しく鳥瞰図を表示することにする。ただし鳥瞰図表示するには、3D Analystが必要。持ってない人、またまたごめんなさい。

普段はArcGISで地図を表示というとArcMapを使うことがほとんどだが、鳥瞰図を作るときにはArcSceneを使う。

ArcSceneを起動したら、ArcMapと同じように、データの追加アイコンをクリックして、先週作成したグリッドを追加する。

すると、以下のように、斜め上から文京区を見下ろすような視点でデータが追加される。

ArcGISのヘルプを確認すればよいのだが、確か南西の方向からデータを見る感じで追加されるはずである。

ここで、ツールバー中にある「ナビゲート」アイコンをクリックし、鳥瞰図上を上下左右にドラッグすると、地面がドラッグに従ってくるくる回る。

ちなみに、マウスを右クリックしてシーン上を上に動かせばシーンが縮小、下に動かせば拡大される。もちろん、拡大縮小アイコンを使っても構わないが、マウス右ドラッグだと視線のターゲットとなる点がデフォルトであるグリッドの中央付近から動かないので、最初はこちらの方がオススメ。

で、地面をくるくる回しているとお気づきの通り、この地面は真っ平らである。そこで、このグリッドの持っている値(標高)によって、地面を起伏させる設定をする。

これには、ArcScene内でレイヤプロパティを開き(レイヤ名上を右クリックしてプロパティを選択)、「基準高度」タブで、「指定したサーフェス上に配置する」を選択して、標高グリッド名が指定されていることを確認する。

これでも、地面は真っ平らなまま表示される。水平方向の広がりに対して、上下方向の起伏があまりにも小さいので、でこぼこが表現できないのだ。そういうわけで、上下方向を強調して表示する設定をする。

これには、シーンプロパティ(「シーンレイヤ」という文字を右クリックして「シーンプロパティ」を選択)の「一般」タブで「高さ強調」のところで0以外の数字を指定する。「範囲から計算」をクリックするとArcSceneの方で適切と思われる強調スケールを計算してくれるが、強調しすぎ。。。と感じることもなきにしも、なので、参考程度にその値を見つつ適宜強調スケールを指定するとよいと思う。

今回は高さ強調を「5」にしてみた。それでよってみるとこんな感じ。

まぁまぁ強調されている気がする。あとは再度レイヤプロパティで配色を変えて、「陰影起伏効果を使用」をオンにすると。。。

こんな風に表示される。まぁいい感じかな。

きれいに表示できたところで、今週はこれにて。。。