改めて、私たちの農園の立地を見ると、四方津御前山の南斜面に面し、正面東寄りに栃穴御前山、南正面に鶴島御前山と、3つの御前山に囲まれた緑豊かな環境の中にあります。また、桂川と並行して走る国道20号線の往来が少ない深夜から早朝にかけて、心地よい静寂に包み込まれます。が、時として、その静寂が破られることがあります。蝉です。梅雨に入る頃ともなると「ひぐらし」の鳴き声が聞かれます。「ひぐらし」という名前から、夕方にカナカナカナと鳴く蝉と思われがちですが、早朝にもかなり鳴いているのです。農園を取り囲んでいる樹々を通して蝉のコーラスが始まると、畑仕事が、にわかに活気づくから不思議です。では、なぜ、どうして、どの蝉も全身を振るわせて鳴くのでしょうか。一般的には、牡だけが鳴くので雌に存在を知らせるためといわれます。そこで話は飛躍しますが、昆虫への好奇心と観察力に長けた、「昆虫記」の著者である、ファーブル先生は、このことに疑問を投げかけていたといわれます。先生の観察では、フランス・プロバンス地方では、プラタナスの樹に牡雌が群がっている光景をよく目にしたようです。牡雌仲良く幹に止まっているのに、なぜ大声で雌を呼び寄せるのか納得がいかないという意見は、なるほどと思います(日本に、海外の国々に、蝉は分布され、やはり牡が鳴くようです)。このように自然界には、分からないことが多いワケですが、農園愛好家としては、夏野菜作りに励みながら、プラタナスの木々に止まって鳴き続けるプロバンスの蝉に、思いをはせてみたいと思うのです。また先日「ひぐらし」の鳴き声を追って、農園の裏に咲く深紅の大百日紅に出会いました。そう、自然の樹々も、小生物も、農園の尽きない愉しみです(ストロー・ハット)。
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