農園の愉しみ, 感動の種を蒔きたい。

畑から一句(俳句)
畑のエピソード(エッセイ)
畑の感動(写真)

 満月や 畝の眺めに 寒さ飛ぶ

2018-10-29 09:22:42 | 日記
農園の秋は、思いのほか多忙です。秋の収穫、畝作り、冬野菜の種蒔きと、週イチの野菜作りに、余裕がないのが実情です。それにもかかわらず、農園ライフを愉しみたい私たち。ちょっと、変わった4人組かも知れませんね。この秋のテーマは、お月見。耕うん機のピアンタと、鍬、鋤を使って畝作り中の畑で気が付いたことが、お月見。御前山の緩やかな斜面に面し東方から南方が開けた、絶好のロケーション。畝から仰ぐ月は最高の眺めということになります。今年の場合、一年で一番美しい月が見られる、いわゆる中秋の名月、十五夜の月は9月24日、その前日が十六夜の満月。その次の満月は10月25日、午前1時45分。この日に、上野原の上空に輝く満月を眺めようと、昭和の時代に盛んに行なわれていた、お月見を計画した次第。諸般の事情で一日ズレてしまい、26日の金曜日に月見のお供えを畝に供え、うきうき、わくわく、満月を迎える準備にかかりました。幸いなことに、物置の奥に、丸テーブルを発見、昔の言い方をすると、懐かしの「ちゃぶ台」。畝に置いた「ちゃぶ台」には、ススキを飾り、梅酒を頂き、「ピアンタ」さん、「レデイバード」さん、「レッドブーツ女史」、それぞれの手作り、手持ちの里芋の煮つけや蒟蒻、人参、おダンゴ、シメに平安貴族が愉しんだ月見酒ではなく、半熟卵の月見うどん。畝という自然空間、澄み渡る空気、土の匂い、夜空のもとでの手作りの月見が、こんなにも充実した時間をもたらせてくれるとは。ノスタルジックな、単なる子供の遊びに見えますが、純粋な子供に帰った、2時間でした。ただ、ひとつだけ計算ちがい。前日クッキリ見えていた月をほとんど眺められなかったのは心残りですが、この「畝見月」、来年の愉しみです(ストロー・ハット)。













里山よ 蝶よ 花よ 里芋よ

2018-10-09 08:46:27 | 日記
私たちが野菜作りをしている、上野原の里山の農園に秋の風情を感じる季節となりました。ほんの数か月前、鮮やかな紅色の佇まいで見る目を楽しませてくれた百日紅は、いつの間にか、紅葉を始めています。こういった環境の中、ここでは、色々な命のドラマが繰り広げられていますが、ファーブル先生や、熊谷守一画伯のように、生き物や、昆虫、作物、あらゆる樹々をしっかりと見つめないと、小さなドラマを見逃してしまうことになります。たとえば毎年、この時期になると、色鮮やかな暖色系のコスモスが、収穫を終えた畑や農道を彩ります。その蜜を求めてやって来るのが、蝶々類です。この頃に姿を現す紋白蝶、モンキ蝶、揚羽蝶などは、秋の蝶、つまり秋蝶と呼ばれ束の間の命を燃焼させて舞い続けているわけです。ただ、揚羽蝶は春から夏にかけて年に6回ほど繁殖するのが一般的で、蛹になるのは別として、成虫では冬を越せない宿命があります(冬の寒さの厳しさと、栄養源の蜂蜜が収集できないことが要因と、言われるようです)。その上に成虫になってから2週間くらいで寿命が尽きてしまうという、自然界の厳しい現実が待っているワケです。つまり先程見かけた揚羽蝶と、その2週間後に見る揚羽蝶は、もう違う揚羽蝶ということですね。
ですから、これをきっかけとして、農園にやって来る小生物や花や木を、見つめていこうと思うのです。ところで、この命のドラマの舞台では、いつもと同じように、里芋の葉が黄色に色付いて、収穫のシグナルを送り始めています。週末は、天気も上々、まず試し掘り。先日見かけた揚羽蝶が、週末も、元気で飛んでいますよう!(ストロー・ハット)。







絵となった 種まく人と なって蒔く

2018-10-03 12:27:03 | 日記
種蒔きの畑に立ったとき、大地と共に力強く生きる農民の生活を描いた、ルネッサンスや印象派の農民絵画を思い浮かべることがあります。とくに、「種まく人」という同じモチーフで描かれたゴッホとミレーの作品には、脳裡を離れ難い魅力を感じます。種を蒔くという行為が描かれた絵画には、宗教的な意味合いも背景にあるといわれますが、蒔いた種が発芽し、豊かに実り、収穫の時を迎えるプロセスには、生命のドラマが秘められているからでもありますね。大股で大地に歩を進め、力いっぱい種を蒔いている農夫のダイナミックな姿。種を蒔く農業と生命の原点を、構図が物語っているとも、考えられます。この構図と、とくにゴッホの色彩に共感を覚えて以来、小麦の種ではなく、たい肥や石灰を左わきに抱え、「種蒔く人」のように精を出しているのです。この秋は、台風の間隙をぬって、食いしん坊四人組は、まず小かぶと、ほうれん草の種まきを行いました。気温も、地温も、予想通りの高さのお陰で、一週後には3割方の発芽が実現。振り返ってみると、この秋は、土サラサラで肥沃な畝が出来上がっているように、自我自尊ですが思われます。ピアンタも、怪我が癒え快調そのもの。「ピアンタ」さんも、操縦快調。「レッドブーツ女史」と、「レデイバード」さんの畝作りも、ナカナカ。自分の農園が、一番の出来と思いたい(ストロー・ハット)。