池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

アビダルマ哲学要諦(31)

2024-08-05 10:38:53 | 日記

第2章は「心所の概要」であり、心の付随物である52の心所(チェータシカ)が記載されている。これらは、普遍的、特殊的、善、不善の4クラスに分類される。その上で、これらの心所を2つの補助的な方法を使って検討する。まず第1は関連づけ(sampayoganaya)であり、1つ1つの心所について、それがどのタイプの心と対応しているかを調べる。もう1つは、排除または組み合わせの方法(sangahanaya)で、それぞれのタイプの心について、どの心所が構成要素として入っているかを調べる。この章も、主に「法集論」の第1章に基づいている。

第3章は「雑分析」と呼ばれており、心のタイプとその心所を、原因(hetu)、感受(vedanā)、働き(kicca)、扉(dvāra)、対象(ārammaṇa)、基底(vatthu)の6カテゴリーに従って分類する。

最初の3章は、主に心の構造、その内部構造や外部変化との関連性を取り扱っている。これとは対照的に、次の2章は心の力学、すなわちその発生様式を論じている。アビダンマによれば、心は、能動的プロセスとして受動的フローという、別個ではあるが互いが絡み合った様式で発生するという。第4章は「認知プロセス」を論じており、第5章は受動的な「プロセスを離れた」フローで、最初に伝統的な仏教コスモロジーが概説されている。ここでの説明は、おおむねアビダンマ注釈書に基づいている。第6章「物質の概論」では、心的な次元から物質界へ転じる。これは、主に「法集論」の第2章に依拠し、物質的現象のタイプを数え上げ、様々な方法でそれらを分類し、その発生方法について説明する。また、この章では、物質グループに関する注釈書の概念も紹介しており、異なる存在次元において物質プロセスがどのように発生するかも詳細に説明している。この章は、究極的真実の4番目、体系の中で唯一条件付けのない要素であるニッバーナに関する短いセクションで締めくくっている。

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