池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

次元を超えるヨーガの神髄(仏教の神秘主義)

2024-08-03 10:18:59 | 日記

最初のコンテンツの続編として出した第2作。

『ヨーガスートラ』の説明が興味深い。

 

Original text: MYSTICAL BUDDHISM IN CONNEXION WITH THE YOGA PHILOSOPHY OF THE HINDUS By Sir MONIER MONIER-WlLLIAMS 今回の章立ては以下の通りです。 ヨーガ哲学の理論 超自然的能力を獲得するための八つの必要条件 第一の前提条件-五つの悪行為 第二の前提条件-五つの建設的義務 第三の前提条件-姿勢 第四の前提条件-呼吸 止息を習得した行者の驚異的な事例 第五の前提条件-制感 第六の前提条件-凝念、そして超能力 第七・第八の前提条件-静慮と三昧 モニエル博士がどうしてこういう奇抜なテーマの講演を行ったのか? その理由について触れておきます。それは、この講演の数年前に起きた神智学協会をめぐるスキャンダルに関連しています。 神智学協会は一八七五年にニューヨークで誕生しました。設立とその後の運営の中心になったのが会長であるオルコット大佐とブラヴァツキー夫人です。 謹厳実直な退役軍人と霊媒師の女性というのは奇妙な取り合わせのように見えますが、教理の垣根を超えタブーを設けず普遍的原理としての霊性を追求するという協会の趣旨から見れば、けっして悪くない組み合わせかもしれません。東洋の精神文化への興味が高まった時代背景もあり、協会は順調に拡大します。しかし、それに水を差したのがクーロン事件でした。 ブラヴァツキー夫人は、チベットに入って偉大な教師(マハートマー)から教えを受け(しかし、当時外国人の立ち入りができず、本当にチベットに入国したかどうかは不明)、今でもその謎めいた宗教指導者から霊的な通信という形で手紙を受け取っていると主張し、その手紙を公開しました。もちろん、その手紙が世間の評判を呼んだのは言うまでもありません。しかし、協会の元使用人が、解雇された腹いせに、この超自然的通信はインチキであるとキリスト教系新聞社に暴露したことで大騒ぎになりました。このクーロン事件は一八八四年のことですが、これを契機に神智協会は苦しい時代を迎えます。これが本当にインチキだったかどうかは今もよくわかっていません。 オルコットは、インドに住み続け、パーリ語や仏教の教理を真剣に学び、ちゃんとした解説書も書けるくらいの人物ですが、どうも女運が悪いらしく、ロシア貴族の出と称するこの女霊媒師に鼻面を引き回されている感があります。私のような真面目な男はこういう被害に遭いやすい。 この事件を受けて、オックスフォード大学のサンスクリット教授であったモニエル博士が仏教と神秘主義に関する講演をするようになったというわけ。実際に、講演の最後で神智学協会についても言及しています(この動画では割愛)。 長くなりますが、もう1つだけ付言。モニエル博士の説明では、後代の仏教徒がブッダの尊厳を高めるために、いろいろな超自然的な能力をブッダに与えたことになっています。しかしパーリ三蔵の長部経典の2番目にある『沙門果経』ではブッダ自身が出家者の神通力獲得について語っています。モニエル博士は、これは後代の仏教徒がヨーガ思想の影響下で付加したものだろうと考えているのでしょうね。たしかに、私の知る限り、他にこのような能力についてブッダが語った経典はありません。最初に出てくる六師外道の話しといい、この経典は非常に不思議で特殊なものに見えなくもありませんが。

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